森法相は9日の参院予算委員会で、黒川弘務東京高検検事長の定年延長問題で、野党から具体的な説明を求められ、唐突に原発事故時のケースを例示し「検察官は福島県いわき市から国民、市民が避難していない中で最初に逃げた」などと発言した。
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3/11(水) 15:05配信時事通信
「震災時に検察逃げた」 森法相が答弁を撤回、野党は辞任要求
参院予算委員会が自身の発言で休憩となり、厳しい表情を見せる森雅子法相=11日午後、国会内
森雅子法相は11日の参院予算委員会で、9日に「東日本大震災の時に検察官は最初に逃げた」などと答弁したことについて、個人的見解だったとして撤回した。
審議は中断し、反発した野党は閣僚辞任を要求した。
森氏が発言したのは9日の同委集中審議。黒川弘務東京高検検事長の定年延長をめぐる質疑の中で「東日本大震災の時、検察官は福島県いわき市から国民、市民が避難していない中で最初に逃げた。身柄拘束をしている十数人の方を理由なく釈放して逃げた」と断じた。
この発言を立憲民主党の山尾志桜里氏が11日の衆院法務委員会で追及。森氏は発言内容は事実と主張したが、重ねて問われると「『理由なく』と『逃げた』は個人的見解だ」などと迷走。審議は紛糾したまま打ち切りとなった。
この後、舞台が参院予算委に移り、森氏は「個人の見解と事前に示すことなく申し上げたことは不適当であり、撤回する」と語った。
山尾氏は記者団に「虚偽に基づいて検察の信頼をおとしめる発言をしている」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で「即刻職を辞すべきだ」と訴えた。共産党の穀田恵二国対委員長も会見で「法相の任にあたわず」と語った。
■3/6(金) 19:27配信共同通信
検察官の定年延長、自民了承せず 閣議決定に「三権分立脅かす」
自民党は6日の総務会で、検察官の定年63歳を65歳へ引き上げる検察庁法改正案の了承を見送った。国家公務員法の解釈を変更して黒川弘務東京高検検事長の定年を延長した閣議決定に関し「三権分立を脅かす」と異論が出た。両法の関係についても質問が相次ぎ、理解を得られなかった。10日に再び審議する。
出席者によると、首相官邸に近く、検事総長起用も想定される黒川氏の定年延長について「官邸の人事介入だ」「99パーセントの国民がおかしいと思っている」と批判が出た。政府が説明した両法の関係にも「分かりやすく整理されていない」(鈴木俊一総務会長)と不満が上がった。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200306-00000163-kyodonews-pol
■日刊ゲンダイ公開日:
森法相の奇々怪々答弁 検察官定年延長理由は東日本大震災
ノラリクラリはぐらかすというレベルではない。もはや支離滅裂だ。大臣を交代させないと、この国の法務行政はどうなるか分からない。政府が今国会で成立を目指す、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案について答弁した森法務相のことだ。
新型コロナウイルスの感染拡大の問題に隠れ、新聞、テレビではほとんど取り上げられていないが、9日の参院予算委では、森法務相の“奇々怪々”な答弁をめぐって議場が紛糾した。
この日の委員会では、昨年10月ごろの法務省の当初原案には検察官の定年延長規定が含まれていなかったことが判明。ところが、今年1月末には黒川弘務・東京高検検事長の定年が「口頭決裁」による法解釈の変更で半年間延長されたため、立憲民主党などの統一会派の小西洋之議員(無所属)が「どのような社会情勢の変化があって検察官に勤務延長が必要になったのか」と質問したのだ。
すると森法務相はこう答弁した。
「例えば、東日本大震災の時、検察官が福島県いわき市から、市民が避難していない中で最初に逃げ出した」
「国際間を含めた交通事情は飛躍的に進歩し、ヒトやモノの移動は容易になっている上、インターネットの普及に伴い、捜査についても様々な多様化、複雑化していることを申し上げたい」
東日本大震災で検察官が逃亡した? ネットの普及で捜査が多様化? これらが一体、定年延長と何の関係があるのか。
質問と答弁がかみ合っていないではないか。というよりも、質問と全く関係ない答えだろう。こんなデタラメ答弁が許されるのであれば、民主主義は成り立たない。
森法相は11日の参院予算委で、9日の「東日本大震災の時に検察官は最初に逃げた」という答弁について「個人の見解だった」と釈明したが、答弁を撤回してもしなくても、延長問題とてんで関係ないのはいうまでもない。