4/25(木) 毎日新聞
11府省の大臣の面会や会合などの日程記録「不存在」 短期間で廃棄
NPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京都)が、大臣の面会や会合の出席などを記録した約2年分の日程表を開示するよう全12府省に情報公開請求したところ、11府省が「不存在」と回答した。
毎日新聞の取材で12府省が保存期間を裁量で廃棄できる1年未満に設定し、日程表を作成当日や短期間で廃棄していることも判明した。
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NPOの三木由希子理事長は「大臣日程は国民が権力を監視する上で重要な基本情報。短期間での廃棄を可能にしている政府のガイドラインは改正が必要だ」としている。
政府高官の記録を巡っては、首相官邸が首相と省庁幹部との面談で使われた説明資料を1年未満で廃棄していることが毎日新聞の取材で判明しているが、官庁トップである大臣の日程も同様に短期間で廃棄されている実態が明らかになった。
クリアリングハウスによると、今年3月、12府省に対し各大臣の2017年4月~19年2月末の日程とこれに類する記録を請求した。11府省が「不存在」と回答し、防衛省は開示の判断を延長した。
毎日新聞が12府省に取材したところ、どの府省も日程表の保存期間を1年未満に設定し廃棄していた。
このうち、内閣府、総務、厚生労働、国土交通、農林水産、環境、防衛省は「作成日に即日廃棄」「日々、廃棄」と説明。財務、外務、法務、経済産業、文部科学省は役割が終わった時点で「廃棄している」とした。国交、農水省関係者は「日程表はパソコンで作るが、1日が終われば翌日の日程を上書きする」と明かした。
政府は、重要な記録を1年未満にしていた森友学園問題や自衛隊日報問題を受けて17年12月に公文書ガイドラインを改定し、1年未満にできる記録を▽日程表▽コピー▽意思決定の途中段階のもの――など7類型に限定。重要情報を含む場合は1年以上にしなければならないが、府省は大臣日程を機械的に1年未満にしている可能性がある。
1年未満の行政文書は作成日に情報公開請求すると開示される場合があるため、クリアリングハウスは各大臣の日程を毎日請求する取り組みを始める。
請求対象文書は1年間の保存延長が義務づけられることから、廃棄防止にもつながるという。