第2回日本政府報告書審査

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第3回政府報告書審査



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C.主な懸念事項及び勧告 

7. 委員会は、締約国が本規約の規定を国内法体系において効力を与えていないという従前の懸念を再度表明する。この結果、締約国の裁判所は本規約の規定が国内的に適用できないとする判断を下している。また、委員会は、締約国が本規約の下での義務について即時的効力がないと解釈していることに懸念を表明する。(第2条1) 

 委員会は締約国がその国内法体系において本規約の効力を完全に発生させるため、本規約の規定が自動執行力がないと判断する場合の関連法の制定を含め、必要な措置を講じることを要求する。この関連で、委員会は締約国に対し本規約の国内適用に関する同委員会の一般的意見9番(1998年)につき言及する。 
 さらに、委員会は、締約国の義務の性質に関する同委員会の一般的意見3番(1990年)に言及しつつ、締約国に本規約に定める諸権利は加盟国に対し最小限の中核的な義務を即時的に負わせるものであり、「漸進的実現」との用語は本規約の権利の完全な実現を可能な限り迅速かつ効果的に達成するよう義務を課すものであることを想起させる。 また、委員会は、委員会の法体系及び一般的意見に留意して、締約国に対し日本の司法研修所の課程並びに司法の専門家及び弁護士のための研修プログラムが経済的、社会的及び文化的権利の司法適合性を適切に扱うことを確保するよう要求する。 

8. 委員会は国内人権機構が未だに締約国において設立されていないことに懸念をもって留意する。本件に関する前回の勧告を再度表明しつつ、委員会は締約国に対しパリ原則に沿った国内人権機構の設立を迅速化するよう要求する。
委員会は特に経済的、社会的及び文化的権利の保護における国内人権機構の役割に関する一般的意見10番(1998年)※に言及する。 

9. 委員会は、社会保障への予算分配の大幅な削減が、特に不利益を受け主流から排斥されている集団の経済的及び社会的権利の享受に否定的に影響していることに懸念を持って留意する。

 締約国の義務の性質に関する一般的意見3番(1998年)を想起し、委員会は締約国に対し後退的措置は最大限の利用可能な資源を完全に活用した状況でのみ講じられることを確保するよう要求する。さらに、委員会は締約国に対し社会保障費の削減が本規約の権利を享受する裨益者に与える影響を監視することを要求する。委員会はまた、社会保障の権利に関する一般的意見19番(2007年)パラグラフ42及び世界経済・財政危機の状況における本規約の義務に関する委員長から締約国に対する2012年5月16日の書簡への締約国の注目を促す。



24. 東日本大震災及び福島原発事故の被害への救済策の複雑さに留意して、委員会は高齢者、障害者、女性及び子供といった不利益を被っている脆弱な集団の特別な要望が、避難の際並びに復旧及び復興の努力において十分に満たされなかったことに懸念を表明する。 

  東日本大震災及び福島原発事故の結果から得られた教訓が、将来の救済及び復興の努力において、脆弱な集団を含む被災した地域社会の要望に十分に対応するよう新 な計画を採択するよう導いたことに留意し、委員会は締約国に対して、災害対応、リスク緩和及び復興の努力において人権の観点に基づくアプローチを採択するよう勧告する。
特に、委員会は締約国に対して、災害管理計画が、経済的、社会的及び文化的権利の享受において差別したり、差別を導くようなことのないことを確保することを勧告する。 

 委員会は締約国に対して、次回定期報告において、東日本大震災及び福島原発事故の被害の管理並びに避難時、復旧及び復興の作業時における被害者の経済的、社会的及び文化的権利の享受に関する性別、脆弱な集団別に分かれた統計データを含む、包括的な情報を提供することを要請する。
また、委員会は、締約国に対して、いかに被害者に対し裁判を受ける権利が保障されているかについての情報を含むよう要請する。 


25. 委員会は原子力発電施設の安全性に関する必要な情報の透明性及び開示が欠如していること、及び福島原発事故の事例において、被害者の経済的、社会的及び文化的権利の享受に関する否定的な影響を導いた原子力事故の防止及び対処に係る全国的な地域社会における準備が不十分であることに再度懸念を表明する。(第11条及び第12条)

  委員会は、再度、締約国に対して、原子力施設の安全性に関する問題の透明性を増すこと及び原子力事故に対する準備を強化させることを勧告する。特に、委員会は締約国に対して、潜在的な危険、予防手段及び対応計画に関する包括的で、信頼できる、正確な情報を国民に提供すること、及び災害発生時に全ての情報を迅速に開示することを確保することを要求する。 委員会は締約国に対して、すべての者の到達可能な最高水準の身体及び精神の健康の享受の権利に関する特別報告者が締約国を訪問した際の勧告を履行することを慫慂する。 


 ※ 一般的意見第10 (1998) 
 経済的、社会的及び文化的権利の保障における国内人権機関の役割 (E/C.12/1998/25)1 規約第2条1項は、各締約国に、「すべての適当な方法により...権利の完全な実現を漸進的に達成するため、...措置を取ること」を義務づけている。委員会は、重要な措置を取ることができるそのような方法の1つは、人権の促進及び保護のための国内機関の活動であることを注記する。
 近年、こうした機関は急激に増加しており、その潮流は、総会及び人権委員会によって強く奨励されている。人権高等弁務官事務所は、国内機関に関して国家を援助し奨励するための主要なプログラムを設置している。

 2 こうした機関は、国内人権委員会、オンブズマン事務所、公益又はその他の人権「擁護団体」、人民の擁護者(defensores del pueblo)などにわたっている。
 多くの場合、国内機関は政府により設置され、行政府及び立法府からの相当程度の自律性を有し、当該国に適用されうる国際人権基準を十分に考慮に入れている。そして、人権の促進及び保護のためさまざまな活動を行う権限を与えられている。このような機関は、大きく異なる法文化をもつ国において、またその国の経済状況にかかわらず、設置されているのである。 

3 委員会は、国内機関が、すべての人権の不可分性及び相互依存性の促進及び確保において、非常に重要な役割を果たしうる可能性を有していることを注記する。[しかし]残念ながら、この役割が当該機関に与えられていないか、無視されているか、又は低い優先順位しか与えられていないことがあまりにも多い。従って、こうした機関の関連する活動のすべてにおいて、経済的、社会的及び文化的権利に対して十分な注意が払われることが不可欠である。
以下に列挙する事項は、経済的、社会的及び文化的権利に関して、国内機関が行いうる、又はいくつかの例ではすでに行われている活動の種類を示したものである。

 5(a)一般住民及び、公務、司法府、民間部門、労働運動のような特定の集団の両方における、経済的、社会的及び文化的権利に対する認識と理解を高めるための教育及び情報プログラムの促進 
(b)経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の要請を合致することを確保するため、既存の法律及び行政行為、並びに法律案及びその他の提案を精査すること 
(c)公的機関又はその他の関連機関の要請によるものを含め、経済的、社会的及び文化的権利に関する専門的助言又は調査の実施(d)規約上の権利の実現を評価できる国内的な指標の設定
 (e)国全体又は地域内において、あるいは特に脆弱な地域社会に関して、特定の経済的、社会的及び文化的権利が実現されている程度を確かめるための研究及び調査を行うこと
 (f)規約の下で認められている特定の権利の遵守の監視、及びそれに関する公的機関及び市民社会への報告書の提出 
(g)当該国で適用可能な経済的、社会的及び文化的権利の侵害を主張する申立ての審査4 委員会は、締約国に対して、すべての国内人権機関に与えられる権限の中に、経済的、社会的及び文化的権利に対する適切な注意が含まれることを求める。また、締約国に対して、委員会に提出される報告書において、こうした機関の権限及び関連する活動の主なもの双方についての詳細を含めることを要請する。


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04/06 05:00

胆振東部地震7カ月 仮設と自宅 二重の心労 農家や事業主 経済的負担も


 【厚真】胆振東部地震発生から6日で7カ月。土砂崩れなど大きな被害を受けた胆振管内厚真町では、応急仮設住宅と被災した自宅を行き来する「二重生活」を強いられる人々がいる。農繁期に向けて準備に追われる農家や、自宅で仕事をしてきた個人事業主だ。損壊した自宅を使う不安に加え、光熱費や地震前はかからなかった費用が膨らみ、被災者の心身の負担は増している。

 4日午前5時半。佐藤幸一さん(71)は、土砂崩れ現場に近い町高丘地区の自宅で目を覚ました。顔を洗い、1階居間の灯油ストーブの前で、コンビニのおにぎり2個をほおばる。

■壊れた家使用

 農家3代目。5ヘクタールの水田で夫婦でコメを作ってきた。昨年9月の地震で自宅は大規模半壊し、水田の一部が土砂で埋もれた。妻と町中心部の仮設住宅に入ったが、佐藤さんは1人で1日おきに壁に大きな亀裂が入った自宅で寝泊まりする。

 「また揺れれば家が崩れ落ちるんじゃないかと、恐怖は消えない」と佐藤さん。だが「田植え準備のため、家にいなければならない」。2階の寝室は使わず、すぐ外に逃げられるよう、居間に布団を敷いて寝る。