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勤労統計調査 厚労相 官邸の影響ないと認識
2019年2月25日 21時43分
毎月勤労統計調査の調査方法の変更について、根本厚生労働大臣は衆議院予算委員会で、統計的な精度を高めるために行われたものだとして、変更にあたって総理大臣官邸の影響は受けていないという認識を重ねて示しました。
衆議院予算委員会の午後の審議で国民民主党の玉木代表は、毎月勤労統計調査の調査方法の変更をめぐる総理大臣官邸の関与について、ただしました。
根本厚生労働大臣は「純粋に統計的な精度を高めるという観点で行われたものなので、中立的だと思っているし影響はないと思っている」と述べました。
また統計委員会の西村委員長が国会審議への協力に否定的な姿勢を示しているとする、総務省が差出人の文書の存在を指摘され、石田総務大臣は「担当の職員が西村氏とやり取りをする過程のもので、大変申し訳ない」と陳謝しました。
そのうえで石田大臣は25日、西村委員長からそうした文書は極めて遺憾で、国会審議には協力する旨を記した文書が正式に出されたことを説明しました。
統計調査をめぐる経緯
《平成27年1月 賃金データ 大きく下落》
毎月勤労統計調査では2~3年に一度、調査対象の事業所をすべて入れ替える「総入れ替え方式」という方法が採られ、平成27年1月に入れ替えが行われました。
この1月の調査結果では入れ替え前に比べて賃金データが大きく下がったため、過去3年間のデータがさかのぼって下方修正されました。
《3月 首相秘書官が「問題意識」》
こうした結果が4月上旬に公表される前に、厚生労働省の姉崎元統計情報部長らは3月31日、中江前総理大臣秘書官に調査結果を報告しましたが、中江氏はさかのぼって修正されることについて、「専門家の意見を聞くなど、改善の可能性を考えるべきではないか」などとして、問題意識を伝えたということです。
《6月 「改善」検討開始》
6月3日、厚生労働省は調査方法の改善に向けて、有識者検討会を立ち上げました。
《8月 検討の素案 書き換えられる》
検討会では調査対象の一部を入れ替える「部分入れ替え方式」が議論されたものの、8月7日には「当面、現在の総入れ替え方式で行うことが適当だ」とする報告書案の素案がまとまりました。
しかし、この報告書案の結論は1か月後には書き換わります。
《9月4日 「官邸に説明中」メール》
9月4日に厚生労働省の担当者が検討会の阿部座長に送ったメールには、厚生労働省側から総理大臣官邸の内閣参事官らに、検討会での検討結果などを説明しているとする記述があります。
《9月14日 「報告書修正を」「官邸と調整か」》
14日午前中までには、姉崎元部長が部下に対し、報告書案について「部分入れ替え方式も含め、引き続き検討する」という内容に修正するよう指示したとしています。
その日の午後には、姉崎元部長は中江前総理大臣秘書官と面会したとしていますが、中江氏は記憶がないと話しています。
また厚生労働省の担当者が阿部座長にメールで「委員以外の関係者と調整をしている中で、部分入れ替え方式で行うべきだとの意見が出てきた」と報告しています。
この関係者は中江氏だった可能性があることがわかっています。
《9月16日 初めの案 くつがえる》
9月16日に最後の検討会が開催され、修正された内容の報告書案が示されました。
「部分入れ替え方式」はその後、総務省検討委員会などでの検討を経て去年1月から導入されました。