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2019/01/05 日刊ゲンダイ

乗客677人の貴重な4時間46分奪う ANA系飲酒機長の「大罪」

 たった1人の機長の飲酒が原因で、乗客677人が計4時間46分もの貴重な時間を奪われた。

 Uターンラッシュのピークを迎えた3日、全日空グループ「ANAウイングス」の40代男性機長の呼気からアルコールが検出され、全日空の運航便を含む計5便が遅延し、最大104分の遅れが出た。

 全日空による本人からの聞き取り調査によると、機長は前日2日、滞在中のホテルの自室で翌日同乗予定の副操縦士と缶ハイボール(350ミリリットル)を2本飲み、社内規定で定められた乗務前12時間以上前の午後7時までに飲酒を終えたという。

 機長は3日午前6時ごろ、大阪・伊丹空港に出社。乗務前の検査でアルコールを検知した。感知器は呼気1リットル中0.05ミリグラムを上回ると反応が出るタイプで、数値は表示されないが、10回程度再検査を繰り返しても同じ結果だったため、乗務を交代。副操縦士からはアルコール反応は出ず、予定通り乗務した。

 機長は当日、伊丹~宮崎便、宮崎~中部便、中部~沖縄便に乗務予定で、それぞれ出発が17分、19分、49分遅れた。さらに乗員繰り(乗務員の確保)に伴い、伊丹~沖縄便が97分、沖縄~伊丹便が104分遅延。計5便、乗客677人の足に影響が出た。

 同社は事態の詳細を確認後、遅延理由について機内アナウンスで「乗務員からアルコール反応が出たため」と説明した。

 空港で待っていた家族や関係者も予定を狂わされ、乗客も乗り継ぎの飛行機や空港からの交通手段の手配、待ち合わせや帰宅時間の変更などに追われたはずだから、影響は乗客だけにとどまらない。社内規定に反していないとはいえ、時期が時期だけに酒を控えるのが普通の感覚だろう。それをいい年こいた機長の立場をわきまえない軽率な行動により、どれだけの人が振り回されたことか。

 ANAウイングスといえば、昨年10月に男性機長(諭旨退職)が二日酔いで乗務できず、沖縄県内の5便に遅れが生じ、国交省から行政指導を受けたばかり。これだけ世間から厳しい目を向けられているというのに、相次ぐ乗務員の飲酒問題。とても「乗客の命」を預かっている自覚があるとは思えない。

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