現在、日本は国連人権理事会で2016年宣誓し、同年アジア地域の人権理事国選出選挙に立候補し当選し、現在来年12月31日まで4期目の人権理事国です。

 しかし、日本政府はこれまで国際人権規約をはじめとする人類普遍の基本的人権を保障する法律を制定せず、司法も国際人権規約違反の主張を無視し続け、適用した判例がありません。

 これまで、人権理事会におけるUPR審査や自由権規約委員会(ICCPR)、拷問等禁止委員会(CAT)から勧告を受けています


161.135. 被収容者の権利を保証するなど、国の司法行政制度を改善し続けること。(ロシア)

161.136. 代替収容制度の廃止に向けた第一段階として、被告人に対し,弁護士への速やかなアクセスを認め、訴追(charge)されないままの勾留期間を最長 48 時間に制限すること。(スイス) 

161.137. 代替収容制度(いわゆる「代用監獄」)の徹底的な見直しを目的として、司法・刑事手続の分野において現在進行中の改革を継続すること。(フランス) 




日本の第 2 回定期報告についての総括所見 拷問禁止委員会の第 50 会期(2013年 5 月 6 日~31 日)において採択1. 拷問禁止委員会は,2013 年 5 月 21 日及び 22 日に開催された第 1152 回及び第 1155 回の会合において,日本の第 2 回定期報告書(CAT/C/JPN/2)を審査し,2013 年 5 月 29 日の第 1164 回の会合において,以下の総括所見を採択した(CAT/C/SR.1164)。

代用監獄 
パラグラフ10.
 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の下で,警察の捜査と拘禁の機能が正式に分離されていることに留意しつつも,委員会は,代用監獄制度にセーフガードが欠如し,締約国の条約上の義務遵守を低下させていることに深刻な懸念を表明する。特に,この制度の下で,被疑者が,とりわけ逮捕から最初の72 時間は弁護士へのアクセスが制限され,保釈の可能性がない状態で最長23 日間,拘禁されうることを深く遺憾に思う
警察留置場での起訴前拘禁に対する効果的な司法的統制の欠如,独立した効果的な査察及び不服申立メカニズムの欠如もまた,深刻な懸念事項である。

さらに,委員会は,こうした起訴前拘禁制度の廃止ないし改革は必要ではないとの締約国の立場(A/HRC/22/14/Add.1, パラグラフ 147.116)を遺憾とする(第 2 条及び第 16 条)。 

委員会は前回の勧告(パラグラフ 15)を繰り返す。すなわち締約国は; 
(a). 捜査と拘禁の機能の分離を実際上も確保するため,立法その他の措置をとり; 
(b). 被拘禁者が警察留置場において拘禁されうる最長期間を限定し; 
(c). 起訴前拘禁におかれたすべての被疑者に,独立した医療的援助を受ける権利及び親族と接触する権利のみならず,取調べの過程を通じて弁護人に秘密にアクセスする権利,逮捕時点から法律扶助を受ける権利,自己の事件に関する全ての警察記録にアクセスする権利を含め,すべての基本的な法的保護措置を保障し
 (d). 締約国の法と実務を国際基準に完全に合致させるため,代用監獄制度の廃止を検討するべきである。  



4取調べ及び自白 

11. 委員会は,有罪判決は自白だけに基づくものではなく,取調べの指針が,確実に被疑者が犯罪について自白を強要されないようにしているという締約国の発言に加え,拷問及び虐待のもとで獲得された自白が法廷で証拠として許容されないことを規定する日本国憲法第 38 条第 2 項及び刑事訴訟法第 319 条第 1 項について留意する。
しかしながら,委員会は以下の事項について依然として深刻な懸念を抱いている
:(a). 締約国の司法制度が,実務上,自白に強く依存しており,自白はしばしば弁護士がいない状態で代用監獄での拘禁中に獲得される。委員会は,叩く,脅す,眠らせない,休憩なしの長時間の取調べといった虐待について報告を受けている
;(b). すべての取調べの間,弁護人を立ち会わせることが義務的とされていないこと
;(c). 警察拘禁中の被拘禁者の取調べが適切な行為であることを証明するための手段が欠けていること,特に,連続的な取調べの持続に対して厳格な時間制限がないこと
;(d). 被疑者及びその弁護士から検察官に申し立てられた取調べに関する 141 件の苦情のうち,一件も訴訟に至っていないこと。(第 2 条及び第15 条) 

委員会は,締約国が,条約第 15 条はもとより,日本国憲法第 38 条第 2 項,刑事訴訟法第319 条第 1 項に従い,拷問及び虐待のもとで獲得された自白が法廷における証拠として許容されないことを実務上確実にするために,すべての必要な手段をとるべきであるという,前回の勧告(パラグラフ 16)を繰り返す。
とりわけ以下の措置をとるべきである
:(a). 取調べ時間の長さについて規程を設け,その不遵守に対しては適切な制裁を設けること
;(b). 刑事訴追における立証の第一次的かつ中心的な要素として自白に依拠する実務を終わらせるために,犯罪捜査手法を改善すること
;(c). 取調べの全過程の電子的記録といった保護措置を実施し,その記録が法廷で利用可能とされることを確実にすること
;(d). 委員会に対し,強制・拷問もしくは脅しのもとでの自白,あるいは長時間の逮捕ないし拘禁の後においてなされた自白であって,刑事訴訟法第 319 条第 1 項に基づき証拠として許容されなかった自白の数を通知すること。 

 


≪市民的、政治的権利に関する国際規約
自由権規約委員会第6回日本定期報告審査にかかる総括所見≫


規約第 40 条に基づき締約国から提出された報告書の審査-国際人権(自由権)規約委員会の総括所見日本(仮訳) 

パラグラフ18.
 委員会は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律のもとで、捜査と拘禁の警察機能が正式に分離されたにもかかわらず、代替収容制度(代用監獄)は、そのもとで、捜査を容易にするため被疑者を最長23日間にわたって警察の拘禁施設に拘禁することが可能であり、その間保釈の可能性はなく、また弁護士へのアクセスも限定され、特に逮捕後最初の72時間はそうであって、自白を得る目的での長期に及ぶ取調べ及び濫用的な取調方法の危険を増加させていることについて、懸念を繰り返し表明する(7 条、9 条、10 条及び 14 条)。 

 締約国は、代用監獄制度を廃止すべきであり、あるいは、規約第14条に含まれるすべての保障に完全に適合させることを確保すべきである。
締約国は、すべての被疑者が取調べ中を含め弁護士と秘密に交通できる権利、逮捕されたその時から、かつ、犯罪嫌疑の性質に関わりなく法律扶助が受けられる権利、自分の事件と関連するすべての警察記録の開示を受ける権利及び医療措置を受ける権利を確保すべきである。
締約国は、また、起訴前保釈制度も導入すべきである。 

19. 委員会は、警察内部の規則に含まれる、被疑者の取調べ時間についての不十分な制限、取調べに弁護人が立ち会うことが、真実を明らかにするよう被疑者を説得するという取調べの機能を減殺するとの前提のもと、弁護人の立会いが取調べから排除されていること、取調べ中の電子的監視方法が散発的、かつ、選択的に用いられ、被疑者による自白の記録にしばしば限定されていることを、懸念を持って留意する。



 
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日本の刑事手続きに批判集中=ゴーン容疑者再逮捕で―仏メディア

12/10(月) 18:29配信 時事通信

【パリ時事】日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者は10日の再逮捕で、勾留がさらに長期化することになった。

 同容疑者が会長を務める自動車大手ルノーの拠点フランスでは、勾留長期化のほか、取り調べに弁護人が同席できないなど、フランスと異なる日本の刑事手続きへの批判がますます強まっている。

 フランスでは欧州人権裁判所の判決を踏まえ、取り調べに弁護人を同席させる権利が認められる。さらに仏紙ルモンドは、最初の逮捕容疑と実質的に同じ容疑での逮捕・勾留について「この手法では判決を受けずに何週間も拘束されてしまう」と、勾留長期化に懸念を示した。仏メディアでは日本の刑事手続きを異質とみなし、人権軽視ととらえる報道が目立つ。

 また容疑内容や認否に関して公式に説明を避ける東京地検特捜部にも批判が強い。世界的企業トップのゴーン容疑者の逮捕は、外国メディアも同容疑者が勾留される東京拘置所前に取材に行くほどの国際事件。仏紙フィガロは「逮捕容疑ですら日本メディアへのリーク情報でしか知ることができない」と、内向きな情報公開手法を非難した。

 海外からの批判を受け、東京地検の久木元伸次席検事は先月29日の定例会見で、国ごとに制度は異なるとした上で、ゴーン容疑者の勾留は「問題ない」と反論した。

 一方、日本側には日本の制度が特殊ではないという見方もある。フランスで日本の「逮捕」に相当する「警察留置」は通常24時間以内、テロ容疑でも最大6日で、取り調べに弁護人が立ち会う。しかし重大事件では、警察留置後の「予審判事」による取り調べのために「起訴前勾留」が1年間程度に上ることもあるからだ。

 ただフランスでは、全地球測位システム(GPS)端末で容疑者を監視しながら在宅捜査が可能で、保釈するケースも少なくない。捜査に支障がないと判断されれば起訴前でも家族との面会も可能だ。

 龍谷大の赤池一将教授(刑事法)は「仏メディアは両国の制度の違いを理解した上で、弁護権が制限される日本の刑事手続きを批判している」と指摘。「人権は国にかかわらず普遍的であるべきだ。日本の刑事制度を振り返る機会にしなければならない」と解説した。