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 信濃毎日新聞2018年10月25日

川金HD子会社の制振用オイルダンパーが使われていた信大国際科学イノベーションセンター棟=長野市

 川金ホールディングス(HD、埼玉県川口市)の子会社が免震・制振用オイルダンパーの性能検査記録データを改ざんしていた問題で、県内では信州大工学部(長野市)内にある国際科学イノベーションセンター棟で、不正の疑いがある制振用オイルダンパーが使われていたことが24日、信濃毎日新聞の取材で分かった。同大は川金側に説明を求めているが、同日時点で回答はなく「極めて遺憾」(山田総一郎理事)としている。

 川金HDは23日、不正があったオイルダンパーは2005年2月〜18年9月に子会社が出荷したと発表。26都道府県の学校や病院、自治体庁舎など93の建物に納入され、県内でも1件該当があるとした。HDや国土交通省、県などは具体的物件名を明らかにしていない。

 信大によると、23日に長野市から、同センター棟のオイルダンパーのデータが改ざんされた恐れがある―と連絡があった。信大は、川金グループのダンパーが使われているのを確認し、すぐに事実確認と安全性の検証を求めた

 同センターは、水を効果的に浄化する処理膜や再利用システムの開発を目指す産学連携プロジェクトの拠点。鉄骨造り地上7階、地下1階建てで、15年3月に完成した。同大によると、60本の制振用オイルダンパーを壁に埋め込むなどして使っているという。

 同センターには多くの研究室が入居しているが、これまで不具合はないため退避などの措置は取っていない。山田理事は「濱田州博(はまだくにひろ)学長以下、憤っている。すぐに安全性を確認し、交換など必要な措置をしてほしい」としている。