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10/23(火) 7:00配信 毎日新聞
<免震装置不正>KYBが新規受注停止 2020年まで
油圧機器メーカーKYBと子会社による免震・制振装置の検査データ改ざん問題で、両社は改ざん疑いのある装置の交換作業が終了すると想定している2020年9月までの約2年間、装置の新規受注を停止する方針を決めた。約1万本とされる交換作業に注力するため。ただ作業が長期化すれば、受注再開がさらに遅れる可能性もある。
KYBによると、国の基準や顧客との契約に適合しないか、その疑いのある装置は、免震ダンパーが903物件7550本、制振ダンパーが83物件3378本に上る。
KYBはこれら全製品を20年9月までに交換する。ダンパーを製造する子会社のカヤバシステムマシナリー(KSM)が設備増強で製造能力を現在の月約100本から4~5倍程度に引き上げて交換用製品の生産に集中する。営業社員も改ざん問題の対応に投入しており、余力がないため新規受注は製品の交換作業が終了するまでは困難と判断した。
ただ交換作業の終了時期が遅れる可能性もある。15年3月に偽装が発覚した東洋ゴム工業の免震ゴムのケースでは、3年以上が経過した今も交換作業は続いている。国土交通省によると、今回の免震ダンパーは、東洋ゴム工業の免震ゴムより比較的交換が容易とされるが、制振ダンパーは壁に覆われている物件があり、交換作業が大がかりになるケースも想定される。交換作業は建物の所有者に加え、作業を請け負う建設会社との調整も必要で予定通り作業が終了するかは不透明だ。
一方、ダンパーの交換費用が膨らみ、両社の経営を圧迫する可能性も出てきた。KYBは交換用のダンパーの価格を1本30万~100万円程度、総額で数十億円と見積もっているが、建設会社に支払う工賃のほか、マンションや商業施設などを一時閉鎖する場合の補償なども必要になるからだ。
不適切な免震・制震オイルダンパー設置で国交省から指示書の交付を受け、記者会見で謝罪する(右から)KYBの中島康輔会長兼社長、カヤバシステムマシナリーの廣門茂喜社長、KYBの斎藤圭介専務=国交省で2018年10月16日、手塚耕一郎撮影
【KYBが発表した不正装置の建物名】