日刊ゲンダイ2018年9月11日
震度7が国内で観測されたのは、2016年の熊本地震以来6回目。立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)は、「今回が本震とは限らない」とした上で、こう警鐘を鳴らす。
「北海道の地震は、3.11の地震で動かなかった部分が活動したためだと考えられます。3.11は、日本列島が乗っかっている北米プレートと太平洋プレートとの間にたまったひずみが東北沖で解放されたことで発生しました。しかし、3.11で動いたエリアの北側と南側にはひずみがたまったままだったのです。今回の地震は、その北側のひずみが解放されたことで発生したとみられます。地震の規模を考えると、まだ完全にエネルギーは放出されていないので、同じ地域でもっと大きな地震が起こり得ます」
■政府の推計をうのみにしてはいけない
今回は、3.11でエネルギーが解放されなかった「北側」で震度7の大地震が発生したが、同じように「南側」に位置する千葉県や茨城県も注意が必要だという。
「とりわけ千葉の幕張や勝浦、浦安などの地域は地震の影響を受けやすい。大昔、気候が温暖だった時期に海が入り込んでいたため、地盤が緩いからです。豆腐やプリンのように揺れの影響を受けやすいのです。万が一に備えて、テレビやタンスなどの家具を置かない“家庭内シェルター”を1部屋でも用意しておくといいでしょう」(高橋学氏)
政府が6月に発表した「全国地震動予測地図2018年版」によると、震源となった胆振地方の「今後30年間に震度6強以上の揺れに見舞われる確率」は0.1~3%だった。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地震学)がこう言う。
今回は、3.11でエネルギーが解放されなかった「北側」で震度7の大地震が発生したが、同じように「南側」に位置する千葉県や茨城県も注意が必要だという。
「とりわけ千葉の幕張や勝浦、浦安などの地域は地震の影響を受けやすい。大昔、気候が温暖だった時期に海が入り込んでいたため、地盤が緩いからです。豆腐やプリンのように揺れの影響を受けやすいのです。万が一に備えて、テレビやタンスなどの家具を置かない“家庭内シェルター”を1部屋でも用意しておくといいでしょう」(高橋学氏)
政府が6月に発表した「全国地震動予測地図2018年版」によると、震源となった胆振地方の「今後30年間に震度6強以上の揺れに見舞われる確率」は0.1~3%だった。武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏(地震学)がこう言う。
「政府の推計をうのみにしてはいけません。北海道に限らず、日本全体が直下型地震のリスクにさらされているからです。巨大地震を引き起こす可能性のある『隠れ断層』は、地表からは確認できない厄介な断層。これが全国各地に潜んでいるのです」
北海道では「胆振地方で2、3カ月前からM3~4の内陸直下地震が起きていた」(高橋学氏)という。千葉でも6月から東方沖を震源とする地震が多発しているため、予兆はあるのだ。
きのうの地震と同規模の地震が千葉で発生したら、パニックになることは必至だ。
北海道では「胆振地方で2、3カ月前からM3~4の内陸直下地震が起きていた」(高橋学氏)という。千葉でも6月から東方沖を震源とする地震が多発しているため、予兆はあるのだ。
きのうの地震と同規模の地震が千葉で発生したら、パニックになることは必至だ。
■震源特定できない原因 首都圏も危ない“隠れ活断層”の脅威
2018年9月11日
もし、直下の活断層が震源だったら…(泊原発)/(C)共同通信社
最大震度7の強烈な北海道胆振東部地震の震源は、いまだに特定されていない。地震調査委員会は、発生現場近くの「石狩低地東縁断層帯」ではないと言ったきり。6月の大阪府北部地震(最大震度6弱)も、周辺の有馬―高槻断層帯や生駒断層帯が動いた証拠はなく、震源の特定は迷宮入りの様相だ。どうやら、2つの大きな直下型地震は、名前も付けられていない“隠れ活断層”の仕業であることが濃厚だ。 政府の地震調査研究推進本部の用語解説では「我が国の陸域には約2000の活断層があるとされています」とある。立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)がこう言う。
「『約2000の活断層』は、発見できた数に過ぎません。これらは一部が表土に露出していたり、埋まっていても容易に確認できた断層です。このほかに、確認できていない断層が少なくとも数万個以上はあると考えられています。さらに、活発なプレートの動きが日本列島を刺激して、新たな断層も生まれています。われわれは地上にいる限り、地下の活断層をほとんど把握していないと認識すべきです」
数万個のうち、たった2000の活断層しか知らないのだから、震源を特定できないのもうなずける。地道な調査で、隠れ活断層をコツコツ見つけるしかないわけだが、至難の業だ。とりわけ、火山灰が堆積している地域は活断層を見つけるのが難しい。九州、東北、北海道のほか、関東ローム層の首都圏が挙げられる。
「東京の山の手エリアは富士山、箱根山、浅間山などの火山灰で覆われていて、7~14メートルほどの層になっている。その下の活断層を確認することは、現在の技術ではほとんど不可能です。また、首都圏はビルや住宅などが立ち、地表を塞いでいる。調査のためにわざわざ掘り起こすというわけにはいきません」(高橋学氏)
隠れ活断層がある以上、直下型地震はいつ、どこで起こってもおかしくない。とすると、原子力規制委の新規制基準は滑稽に見える。基準では「活断層」の真上に原発の重要施設の建設を禁じているが、あまたの隠れ活断層は視野の外だ。2つの地震は、隠れ活断層の脅威を見せつけた。もはや、日本中のどこを探しても、原発を置ける場所はないんじゃないか。
■「中央防災会議は人殺し」 告発に安倍政権は反論できるか
〈中央防災会議が人を殺したのだということを、たくさんの人に知ってもらいたい〉
衝撃的な結びで締めくくった地震研究者の告発が注目を集めている。月刊誌「世界」(岩波書店)の10月号に掲載された「歪められた地震予測 3.11の犠牲がもたらした構造」だ。