2015/11/21 ニコニコニュース
【マンション杭打ち不正】
首都直下地震で高層ビル倒壊!? 不正よりも怖い現実
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■横浜は地盤も相当ヤバかった!! それ以上に憂慮すべき場所も?
環境考古学や災害リスクマネジメントを専門とし、地盤と地震の関係について長年研究してきた高橋学・立命館大学教授。高橋氏は、阪神淡路大震災で倒壊した建物があった土地の地盤を調査し、その大半が「旧河道」、すなわち昔は川だった場所であることが判明した。このように、大地震発生時には地盤の良し悪しが生死を決定づける大きな要因となる。
高橋氏によれば、杭打ち工事は「杭の長さが長くなればなるほど、お金も作業時間も倍以上になります。さらに近所からの騒音に対する苦情も多いため、不正に走る会社は少なくないのです」(日刊ゲンダイ、2015年10月21日)という。
また、杭打ち不正が発覚した横浜の「パークシティLaLa」が建つ場所は、2万年前の氷河期に深い谷が形成され、そこに縄文時代に海水が侵入したことでプリンのように柔らかい粘土が溜まっている土地だという。つまり、洪水や地震に弱い湿田、すなわち軟弱地盤だったというわけだ。東京23区も縄文時代は海だった土地が多いうえ、かつて川だった土地が埋め立てられた場所も多い。軟弱地盤の層は地下30~50mの深さにまで及び、かなり深く杭を打ち込む必要があるという。
高橋氏は、基本的に高層ビルでは支持層まで到達する杭打ちなどの耐震化が徹底されており、そのような対策がなされていない中層ビルよりも却って安全性が高いという。実際、阪神淡路大震災や東日本大震災でも、高層ビルは倒壊せず、むしろ中層ビルの方が倒壊などの大きな被害を受けた。
しかし、高層ビルや高層マンションが安全というのは、データ改ざんなどの不正がなく、支持層まで杭が打たれているという前提があってこその話だろう。いつ起きてもおかしくないとされる首都直下地震に見舞われたとき、液状化現象が心配される都心のウォーターフロントに建つ高層ビルやマンションで、もしも杭打ちの不正があったとすればどうなるだろうか? 最悪の場合、ビル倒壊の可能性もあるのではないか。大地震発生時に懸念される液状化現象への対策は、杭打ちである程度は可能とされるが、杭が折れたり、建物の下の土が流されて空洞になったりした結果として傾く可能性も残されており、たとえ不正がなかったとしても絶対に安全とは言い切れないようだ。
■問題はまだまだ広がる?
実は、横浜「パークシティLaLa」の販売主である三井不動産レジデンシャルの親会社、三井不動産では、建設中の別のマンションでも杭打ちに関する問題が発覚している。今月11日付の日刊ゲンダイによると、問題のマンションは東京23区の主要駅に近い好立地で建設が進められているという。当初は7月に分譲予定だったものが、近隣住民が建築工事の中止を求めて同社を提訴しているため、遅延が出ている。
近隣住民の1人は、「この辺はもともと沼地だったので、地盤が緩い。道路が突然陥没したり、地下水が噴き出したこともあります。だから、近隣のビルは高くても7階建てまで。ところが、三井不動産側は"固い支持層まで杭を打つ"と言って、14階建て、高さ40メートルもある高層マンションを建てようとしているのです」(日刊ゲンダイ、2015年11月11日)と心配する。
三井不動産は、杭が硬い地盤に到達する36mまで掘り進めると説明したが、ボーリング調査(パイプ状のロッドを地面に押し込み、地層を調べる調査)の結果などは内部事項のため開示できないとしており、調査自体が本当に行われたのかと疑問を抱く住民も多い。そもそも同社がボーリング調査をしたと説明する日には、まだ以前の土地所有者が住んでいたのだという。しかも近隣住民の不安を煽るように、工事が始まってからは下水管が破裂したり、隣のビルの花壇が傾いたりと、周囲の建造物に異変が出始めているというのだ。
近隣住民にしてみれば、万が一大地震が起きてマンションが倒壊すれば、自分たちが住む住居に影響が及ぶかもしれないということだろう。「パークシティLaLa」の問題では、施工主やデベロッパーや旭化成建材などが責任のなすり合いをしているような状況だが、杭打ち業界全体で不正が常態化しているとすれば、建設業界全体への不信感が一層募っていくことになるだろう。
いつどこで大地震が起きてもおかしくない現状で、大地震から生き延びるためには、今後「軟弱地盤の土地には住まない」というのが最大の優先事項になるのかもしれない。