A/HRC/37/NGO66
国際連合
37回人権理事会
226-323
議題項目6
UPR
 
国連経済社会理事会特別協議資格NGO 言論・表現の自由を守る会
201822日提出
 
日本の憲法第9条は、日本国民の宝であり地球市民の宝です
 
私たち言論・表現の自由を守る会は、みなさんに
 世界人権宣言70周年を目前の今
日本とアジア及び世界の平和を築くために、
日本国憲法9条を守り抜き、
憲法9条を世界の憲法にするプロジェクトピースナインの
サイドイベントへの参加を呼びかけます。
 
みなさん、第37回人権理事会において勧告の受け入れについて表明する日本政府に対し、同政府が批准済みのすべての人権条約に備わっている個人通報制度批准を閣議決定し、法の支配を確立するよう働きかけてください。そして、第3UPR(普遍的定期的)審査のすべての勧告を受け入れ、NGOと市民と共に、その実現に着手するよう働きかけてください。
 
今年1210日には世界人権宣言70周年を迎えます。
アジア太平洋戦争(第二次世界大戦)の侵略国である日本政府は、昨年1114日、4回目の人権理事国として第3UPR審査を受け、106の国と地域から前回より25パーセント増の218もの勧告が出されました。
 
日本政府は、20167月人権理事会で宣誓し、人権理事国選挙に立候補し当選し、4回目の人権理事国として昨年20171月、第2UPR審査で多くの国が勧告した個人通報制度の批准について「受け入れる」と公表しています。
しかし、安倍晋三内閣が、個人通報制度の批准を拒絶し続けています。
そのため、アジア太平洋戦争の侵略国である日本において、未だ法の支配が確立していません。
現内閣の閣議において「日本が批准済みの人権条約に備わっている全ての個人通報制度を批准する」と決定するだけで、拷問等禁止条約の個人通報制度(同条約第22条)の留保は撤回され、その日のうちに批准手続きを完了します。
 
安倍首相は、日本政府が昨年元旦から4回目の人権理事国であるにもかかわらず、昨年2017年6月、人権理事会のプライバシーの権利に関する特別報告者であるジョセフ・カナタチ氏の首相宛書簡に回答せず、市民的政治的権利に関する国際規約(自由権規約)を完全に無視し、国会法に基づいた審理すら行わず、共謀罪を強行採決し施行してしまいました。
 
安倍首相は2013年、人権理事会・自由権規約第19条:フランク・ラ・ルー言論・表現の自由に関する特別報告者(当時)とアナンド・グローバー心身ともに最高の健康を享受する権利に関する特別報告者連名の書簡も、国連高等弁務官ナビ・ピレイ氏の記者会見における批判をも無視し、同年12月秘密保護法と日本版NSCの採決を強行(2013年)し、政府は採択し施行しており、第70回国連総会直前の20159月には、自由権規約20条第1項違反の戦争法を強行採決し施行しています。
 
日本は1979年、国会で自由権規約と社会権規約を批准した際、衆議院・参議院両外務委員会において、自由権規約第一選択議定書の早期批准についても全会派一致で決議しています。しかし、日本政府は、この国会決議を実現していません。
日本政府は、公務員に対して国際人権条約と勧告について周知啓蒙を行っていません。文部科学省は、大学の法学部で人権条約の履修を必修とせず、司法試験にも国際人権の設問はなく、司法修習生は2年間の修習期間中、1コマ2時間しか勉強していません。日本の地裁・高裁・最高裁において、人権条約違反の法律を条約に適合するよう法改正もしくは立法措置を求めた判決はありません。
 
1、憲法違反の軍隊である自衛隊を、災害救助隊とするのではなく、憲法を変えて戦争できる国を完成させようとしている犯罪 
                  (自由権規約第20条第1項)
安倍晋三総理大臣は、日本国憲法制定70周年の憲法記念日にあたる2017年5月3日「2020年までに自衛隊の存在を明記する憲法改悪を行う」と宣言しました。自衛隊は、日本の軍隊であり、その主任務は戦争をすることです。
アジア太平洋戦争(第二次世界大戦)の侵略国であり、アジアに位置する日本政府が、軍隊を保持していることは、日本国憲法第9条第2項に違反しています。
国連創設後、国連に加盟することを11年間承認されなかった日本の総理大臣が、「憲法第9条に軍隊の存在を明記する」と宣言したことは、憲法第9条と憲法第99条違反であるとともに、市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)第20条第1項に違反する国際犯罪です。
日本政府は、世界人権宣言50周年に当たって作成した外務省のパンフレット「世界人権宣言と国際人権規約」では20条第1項について『わが国は憲法第9条で戦争を放棄しており『戦争宣伝』という抽象的なものを法律で罰する必要はありません。』と広報していました。
1999年に国旗国歌法強行採決し、翌2000年1月に、国会法を一部改正し衆議院参議院にそれぞれ「衆議院憲法調査会」「参議院憲法調査会」を設置し、安倍第一次内閣においてさらに国会法を一部改正し20078月7、両議院に後継組織として憲法審査会を設置し、憲法第9条改悪に着手する準備を整え、憲法第9条を改悪するために急ピッチで国内法の改悪と国家公務員の功労大異動人事を繰り返し、憲法9条改悪の準備を強行しています。
日本の国会では憲法調査会設置から現在に至るまで、人権条約に照らした審議を行ったことがありません。
日本政府が、自由権規約第20条第1項を適用する国内法を制定せず憲法調査会を設置し、憲法9条を改悪について明言したたことは、同法違反であるとともに国連憲章第13項「人権及び基本的自由を尊重するように助長することについて、国際協力を達成すること」、第55条及び第56条「人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び遵守」のためにすべての加盟国が「共同及び個別の行動をとることを誓約する」旨の規定に違反しています。
現在日本政府が、いずれの個人通報制度も批准せず法の支配の実現を敵視し続け、「ナチスに学べ」と白バラ事件のように政府を批判するビラを配布した市民を逮捕し、起訴し、有罪とされた弾圧被害者の人権救済を行っていない一方で、憲法9条改悪を宣言し、現在の国会で憲法改悪に着手しようとしている事態は、人権理事会において日本政府の人権理事国資格を剥奪すべき宣誓違反です。
 
2、市民の参政権が未確立でありプライバシー保護の危機的な問題について
                                         (自由権規約第17条、第19条、第25条)
最高裁は201212月、国家公務員法違反を問われ逮捕起訴された受けた堀越明男氏の裁判を大法廷に回付せず、自由権規約委員会の勧告CCPR/C/JPN/CO/5 Concluding observation paragraph26を無視し、警察官らによる重大な違法捜査による犯罪を不問にし、警察官らを訴追提起せず、堀越氏がこうむった甚大な人権侵害被害に対する救済を命令しなかったため、堀越氏は当然の無罪判決を確定させたものの、侵害された人権は救済されていません。
政府に対する批判的な内容のビラを私人の郵便受けに配布したことに対して、住居侵入罪もしくは国家公務員法等に基づいて、政治活動家や公務員が逮捕され、起訴され、最高裁で有罪とされた堀越氏以外のビラ配布弾圧5事件の被害者7人は有罪とされたままであり、市民に対する強烈な萎縮効果を及ぼしています。
総務省は、この勧告“パラグラフ26”を無視し続け、公職選挙法と国家公務員法の改正に着手していません。
戦後の日本において、公職選挙法と国家公務員法によって選挙における言論・表現の自由は厳しく制限され、弾圧が繰り返し行われ、参政権が確立していません。そのため、正当な選挙は戦後一度たりとも行われていません。
 
さらに、安倍第二次内閣における日本では、軍事基地建設や原子力発電所再稼動および高層マンション建設等に反対する人権NGOと市民団体幹部やメンバー及び市民を、礼状なしで逮捕し拘留し、工事を強行し、原子力発電所を稼動するという事件が多発しています。
すでに、日本政府は自由権規約第17条に違反するマイナンバー制度を強行しており、さらに共謀罪を6月15日に強行採決し、7月11日施行してしまいました。
 
3、国連の人間の安全保障と防災の主流化及びSDGs実現の課題について
第2次安倍内閣誕生した2012年以後、それまで年に2回開催していた外務省人権人道課長と政府関係者および国連人権条約機関における日本政府代表と日本のNGOと市民らが一堂に会し、国連の取り組みを共有するための人権コンサルテーションが開催されていません。そのため、日本語以外の言語に対する言葉の壁が高く、日本語が国連公用語ではないため、日本のNGOと市民は、国連人権理事会や自由権規約委員会など国連の人権条約機関の情報を手に入れるすべを失ってしまいました。
 
4、自由権規約委員会第6回日本政府報告書審査(CCPR/C/JPN/CO/6) 
パラグラフ67222324の勧告を実施していません。

日本政府は1999年に国旗国家法を強行採決した後、学校教育において日の丸と君が代斉唱を教師とこどもたち及び保護者に強制し、国歌「君が代」を、日の丸に向かって立って歌え、立って歌わない教師に対し、減給や戒告処分を科し、さらに処分を受けた教師には、60歳の定年後再雇用を認めず、年金支給の65歳まで収入を断って強制しています。
『日の丸・君が代』の強制により、再び戦争賛美・天皇制教育を推進し、フクシマや貧困や暴力にさらされているこどもたちに「助けて」とさえ言わせず、貧困化政策を強行し、すでに戦争する国が完成してしまいました。
 
教育現場での日の丸・君が代の強制がエスカレートし、保育園や幼稚園の幼児にまで強制しています。これは自由権規約第18条及び第19条違反です
さらに、2011年の3・11東日本題震災後、防災を口実に、軍隊である自衛隊を容認する世論操作をおこない、文部省と防衛省及び47都道府県・全自治体が一体となって米軍と自衛隊の共同演習や米国新政権による朝鮮半島での軍事緊張を利用し、戦争・治安国家体制を構築しようとしています。
 
アジア太平洋戦争(第二次世界大戦)の侵略国である日本の政府は、世界人権宣言50周年の翌1999年、その旗印とした日章旗を国旗とし、戦争責任者である天皇をたたえる君が代を国歌とする自由権規約第20条第1項違反の国旗国歌法を強行採決し、世界人権宣言を踏みにじり国連憲章を犯しています。
しかも、当時の首相が、この法律は「国民に強制するものではない」としたにもかかわらず、教育労働者に対する処分を厳罰化し、こどもたちに『日の丸・君が代』の強制を徹底しています。
東京都教育委員会は2003年、「1023通達」を発出し400人以上の教員を処分し、大阪府は20116月「日の丸・君が代条例」を強行採決し、さらに「日の丸・君が代」に異を唱える教職員を大阪府の組織から排除するために、「君が代」不起立を理由に3回の処分を受けた教員を免職するという大阪府職員基本条例」を作り、次々に教師を処分し、大阪府の教育現場から排除しています。
儀式において全生徒に対し、日章旗日に向かって起立させ、アジア太平洋戦争の責任者である昭和天皇をも含む天皇の治世が永遠に続くようにという内容の国歌「君が代」を歌うことを強要され、歌わせられています。
 
ミサイル攻撃を理由に地下鉄を止め、自治体ではミサイル攻撃避難訓練を開始しています。軍隊である自衛隊の本質を隠蔽し、国家が防災を利用して戦時体制作りをすすめることを助長していることは、自由権規約第20条第1項に違反しています。

以上