12/27(水) 時事通信
JR西日本の「のぞみ」の台車に亀裂が見つかった問題で、同社は27日、鉄の焼けるような臭いや「びりびり伝わる振動」を乗務員や車両保守担当社員らが気付きながらも、3時間以上も走行させた経緯を明らかにした。
のぞみは今月11日午後1時半に博多(福岡市)を出発。午後1時35~50分の間に、車掌が13号車のデッキで甲高い異音を感じた。小倉(北九州市)―広島間を走行中も車掌は同じ異音を感じたほか、7・8号車付近では乗務員が鉄の焼けたような臭いを感じていた。
車掌は異臭がする旨、東京の指令員に報告したが、列車を止める指示はなかった。指令員は岡山支所の車両保守担当の当直に車内で異臭があることを連絡し、のぞみに乗車するよう手配した。
その後も車掌は異音が大きくなっていると感じ、13号車では乗客から「臭いと、もやがある」と乗務員に連絡があった。車掌が13号車を確認すると、客室内全体がかすみ、焦げた臭いを感じ、岡山駅到着直前に指令員に状況を報告した。岡山駅から乗車した保守担当社員らは13号車の洗面所付近で、びりびりと伝わる振動を確認。異臭より音の方が気になったという。
乗務員の1人は下から「ドンドン」とうるさく感じるくらい大きい音を聞いたという。
岡山―新神戸間を走行中、指令員が電話で「走行に支障があるのか」と尋ねると、保守担当社員は「そこまではいかないと思う。見ていないので現象が分からない」と回答したことから、走行には問題ないと判断した。
その後、保守担当社員は「安全をとって、新大阪で床下(点検)をやろうか」と指令員に報告したが、指令員は上司と話すために受話器を離し、点検の打診を聞き逃した。
その後も「のぞみ」は乗客約1000人を乗せて名古屋駅まで運転を続けた。見つかった亀裂は破断寸前で、脱線など重大な事故につながりかねない状態だった。