=立川テント村通信=
 ★ 朝雲レポート(9/28~11/16)


 ★9月28日号の二面「時の焦点」では「解散権論争」について政治評論家の宮原三郎がコメント。解散権を首相が持っているなどと言うことは、実は日本国憲法には明記されていない。「内閣の助言と承認」によって天皇が国事行為として解散できるだけだ。宮原は一九四八年にも尾崎行雄議員が吉頃茂首相が解散を公言したことを緊急質問で批判した例や、与党と首相の意見が食い違った「小泉郵政解散」などを述ぺている。結論は解散権を憲法に明記した方が混乱が少ないというものだ。しかし議会解散可能な各国では、権力の暴走を防ぐ様々な制限を作っているのだが。

 ★同号三面では日出生台演習場での模擬滑走路修復訓練。実際に爆破・復旧を行ったが、石ころ一つ残っていても現代のジェットエンジンは吸い込んで故障するから念入りな修復がいると言う。オスプレイもハワイではその粉じん吸い込みで落ちてるんだが、それでも買うのか?


 ★10月5日号「朝雲寸言」ではミサイル避難訓練について。住民を不安にするからと実施をためらう自治体があることへの批判。「脅威があるのだからやるべき」というのだが、訓練内容は茶番劇、全く役立たずである。そういうものによる洗脳こそがむしろ怖い。

 ★同じ号の「時の焦点」では政治評論家の植田高直が選挙の話題で「希望の党は左派には衝撃」と述べる。「市民の戦いがかつてなく大きく広がるに違いないと勘違いしていたに過ぎない」と述べる。これは同感。この「勘違い」を反戦派のSNSでよく見てその点は確かに「衝撃」でした。反戦運動もひどい状況なのだな、と思えた。

 ★10月12日号では一面に小さい記事だが、C2の初の国外運行訓練を11月8日から12月1日まで開始という記事が載る。ジプチやUAE、ニュージーランドなどが行き先だ。売り込み先へのアピールだろう。武器輸出もなし崩しに拡大しつつある。

 ★同号三面「地本ホッと通信」には、福岡で予備自衛官志額者募集用漫画リーフレツトを自衛隊退職予定者に配布という記事。主人公は企業と自衛隊の架け橋になることを決意する筋書き。こういうものを使ってあらゆる場所に軍隊は入り込む。それにしても自衛官募集ポスターにも萌えキャラが使われるものが多いようだ。

 ★10月19日号「時の焦点」では植田が「ノーベル平和賞」受賞のICAN批判。日本より「全体主義国家」を批判しろ、と言う。だが日本の「核の傘」無批判の態度こそ大問題だ。もちろんすべての核を批判すべきと思うけど。

 ★同号米空軍テストパイロット協会の総会で空自飛行開発実験団は「XC2の飛行試験における新しい取り組み」を研究発表。部門賞を初めて取得したという。海外売り込みも狙って開発された輸送機なので試験方法にも力を入れているのか。強度不足やソフトの不具合など問題多発の新型輸送機だったが、大丈夫なのか?本当に?

 ★10月26日号では一面の下に10月17日のUH60墜落事故が載る。視界の悪い夜間訓練中だった。危険な訓練だったと思うが、今年は米軍・自衛隊機の事故が非常に多いのだ。

 ★同号5面には対空レーザー兵器の特集記事。米軍では実用化の一歩手前。SFもどきの兵器が登場しつつある。

 ★11月2日号一面左下には航空観閲式が初めて台風のために中止という小さい記事が載った。米軍B2も飛来予定だつたが、中止は大変結構なことである。

 ★11月9日号一面「春夏秋冬」で名古屋大教授の小田亮が「潜水艦とトースター」と題して書くのは、自衛隊の潜水艦ではなくベルヌの「海底二万里」のノーチラス号。交易無くしてトースターも潜水艦も作れないという話。
 この人は前の号に人類の歴史では実は暴力(戦争)は次第に減少、日本でも殺人事件は昭和30年代から半減という話を書いている。その戦争を減らす原因は交易、つまり相手国とのパートナー化だとまともなことも書いている。軍事強化よりやはり人と物の交流が大切だよね。

『立川自衛隊監視テント村通信 478号』(2017年12月1日)