☆ 「Yes! I can!」2000人がノーベル平和賞受賞者の応援に駆け付けた オスロの冬の夜
   鐙麻樹 | 北欧ノルウェー在住 ジャーナリスト&写真家

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CANのフィン事務局長と、被爆者のサーロー節子さん Photo:Abumi

 10日のノーベル平和賞授賞式が終わった夜、オスロでは2000人以上の人々が受賞者を祝いにパレードに参加した。
 オスロ中央駅から、カール・ヨハン通りをまっすぐに歩き、受賞者が宿泊するグランド・ホテル前まで歩く。ホテルのバルコニーから受賞者が姿を現し、人々に手を振る。これは毎年おこなわれている恒例行事だ。

 受賞者の姿はテレビ画面などで見ることが多い。
 この夜の行事では、現地の人々がみんなで歩き、思いを共にし、受賞者と最も近い距離を体感できる。


 この日のオスロは冷え込み、18時過ぎに行進は始まった。
 マイナス6度の中、肌に冷たい風が痛く刺さる。

 筆者はホテル前で撮影のために場所取りをしていた。駅方向からゆらゆらと近づいてくる行進は、大きな波のように見えた。
 この出来事を日本へと伝えようと、日本からは大勢の報道陣が駆け付けていた。

 ノルウェーに住んで9年目になるが、現地でここまでたくさんの日本メディアが集まっているのは初めて見た。
 被爆者の思いを日本へと伝えようと、各地で取材をする日本人の姿はノルウェーのメディアにも印象強く残ったようだ。知り合いのノルウェー人フォトグラファーたちが「日本のメディアがたくさん来ているね」と何度か話しかけてきた。

 19時頃にホテルのバルコニーからはICANのベアトリス・フィン事務局長と、カナダ在住の被爆者のサーロー節子さんが姿を現す。

 通りからは大きな歓声があがり、2人はその光景に感動しているようだった。

 ピースボートのツアーで参加した広島や長崎被爆者の姿も、ノルウェーのメディアで報道される(NRK)。筆者の隣では現地の通信社が動画をストリーミング配信でノルウェー各社に流していた。

 「Yes! I can!」(イエス!アイ・キャン!)という言葉を、人々は何度も繰り返していた。

 冬の冷たさは、人々の元気な掛け声と、明るく揺れるたいまつの光に打ち消されていた。

 Photo&Text: Asaki Abumi

 ※鐙麻樹
 北欧ノルウェー在住 ジャーナリスト&写真家
 オスロ在住ジャーナリスト、フォトグラファー。上智大学フランス語学科08年卒業。オスロ大学でメディア学学士号、同大学大学院でメディア学修士号取得(副専攻:ジェンダー平等学)。ノルウェーの政治、社会、教育、若者の政治参加、観光、文化、暮らしなどの情報を幅広く寄稿。オーストラリア、フランスに滞在歴あり。外国語能力:英語、フランス語、ノルウェー語、デンマーク語、スウェーデン語。2015年に産業革命の推進などを支援するイノベーション・ノルウェーより「ノルウェーを突出した方法で日本に広めた優秀な大使」として表彰される。『ことりっぷ海外版 北欧』オスロ担当、「地球の歩き方 オスロ特派員ブログ」でも連載中

『Yahoo!ニュース 個人(鐙麻樹)』(2017/12/12)
https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20171212-00079197/

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