<神戸製鋼不正>出荷500社 社長会見、辞任は不可避

 アルミ・銅製品などの品質検査データを改ざんしていた神戸製鋼所は13日、新たに9製品で不正があったと発表した。前日には否定していた主力の鉄鋼製品も含まれ、出荷先は約270社から約500社に拡大した。不正は国内外のグループ会社にも広がっており、川崎博也会長兼社長の引責辞任は避けられない見通しだ。

 ◇原発、防衛装備品も

 新たに不正が判明したのは国内やマレーシア、タイ、中国のグループ会社が製造した銅管やアルミニウム合金線、特殊鋼など。いずれも検査データを書き換えたり、引っ張りの強さの試験を省略した上で推定値を入力したりしていた。

 また自動車部品のバネなどに使われる「線材」と呼ばれる鉄鋼製品でも不正があった。線材は神戸製鋼の主力商品。これらは過去の取締役会で報告されたが、公表していなかった。いずれも現時点で安全性に問題があるとは確認されていないとしている。

 川崎社長は「不適切な行為によりユーザーならびに消費者の皆様に多大なご迷惑をかけ本当に申し訳ない」と陳謝。自身の経営責任については「(納入先の)メーカーで行われている安全性の検証を最大限支援することと、徹底的な原因分析と対策が私の使命。進退はその後で考えたい」と調査終了後に判断する考えを示した。

 鉄鋼製品の不正を公表してこなかった理由について「損益に影響する法令違反ではないなどの判断だった」と釈明。鉄鋼での不正は過去の事例で「今回の緊急監査、自主点検で発覚したものではない」とも述べた。問題製品の納入先から点検費用などの支払いを求められた場合の負担について「その腹積もりはある」と話した。

 一方、東京電力は13日、福島第2原発3号機の原子炉を冷却する熱交換器に使われる部品に問題の製品が納入されていたと発表。防衛省も問題のアルミ製品が航空機や誘導武器、魚雷などの防衛装備品に使用されていたと明らかにした。

 神戸製鋼は今回の不正を8月末に社内監査で把握し10月8日に公表。この段階ではアルミ・銅製品で約200社に供給としてきた。11日には鉄粉製品や光ディスク材料などでも不正があり、約70社に納入していたと公表。影響は国内外の主要自動車メーカーや航空機、鉄道、ロケットなどにも広がっている。