オスプレイ事故、情報開示求め米遺族提訴 米高官16年に欠陥認める

2017年10月5日 

2000年にアリゾナ州で起きた米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故を巡り、ウォルター・ジョーンズ米下院議員(共和、ノースカロライナ州選出)と遺族は、情報の自由公開法(FOIA)に基づき、国防総省に対して事故に関連する全ての情報の開示を求め、ワシントンDC連邦地裁に訴訟を起こした。ジョーンズ議員らが3日、記者会見し、明らかにした。

 2000年、アリゾナ州ユマ海兵航空基地を飛び立った試験飛行中のオスプレイが墜落し、19人が死亡した。国防総省は当初、墜落の主な原因は操縦士2人の「人為的要因」と発表した。

 16年、ワーク国防副長官(当時)はジョーンズ議員宛てに書簡を送り、人為的要因が事故の一因だったことに疑いはないとする一方、操縦士2人にだけ責任があるのではなく、開発段階だったオスプレイに欠陥があったことを認めた。

 下院軍事委員会委員でもあるジョーンズ氏は、約15年にわたり事故に関する情報の提供を求めてきたが、十分な回答がなかったと説明。「オスプレイは、海兵隊がそうなると考えていたドリームマシン(夢の航空機)とは思わない」と述べた。

 原告となった操縦士2人の妻、トリシュ・ブロウさん、コニー・グルーバーさんは「求めているのは、全ての事実の開示と透明性だ」と訴えた。




■オスプレイ シリア墜落は大破

2017年10月1日

 シリアで29日に墜落した米海兵隊MV22オスプレイについて、米FOXニュースは機体は「大破」したと報じた。一方、米中央軍は同日午前、有志連合の航空機が「中東でハードランディング(激しい衝撃を伴う着陸)した」という声明を公表して以降、墜落の場所や機体、事故の状況について公表していない。

 米メディアは国防総省関係者などの証言として、「機体は米海兵隊のオスプレイ」「墜落の原因は敵による攻撃ではない」と報じている。ワシントンポスト紙は機体は「全損」で地上で炎上したと伝えた。FOXニュースは軍関係者の証言として、墜落について「ほとんどけが人もなく、奇跡だ」と話したと報じている。

 米中央軍広報は29日午前、「負傷した2人は医療施設に搬送されたが、退院し命に別条はない。ほかの搭乗員にけがはない」という発表以外明らかにしていない。本紙などの取材に対し、「調査中のため、コメントはない」と回答した。

 米軍主導の有志連合は過激派組織「イスラム国」(IS)掃討を進めており、オスプレイはシリア国内や周辺で米軍の部隊を移動させるために使用されていたという。