個人請求権消滅せずと文氏 2017-08-17 

 【ソウル共同】韓国の文在寅大統領は17日、日本の植民地支配下での徴用工問題について、1965年の日韓請求権協定では韓国人の個人請求権は消滅していないとした2012年の韓国最高裁の判断を挙げ「政府はこの立場から歴史問題に臨んでいる」と述べた。韓国最高裁の判例を、政府の立場だと明言するのは初めて。

8/17(木) 20:24配信 毎日新聞
<韓国>日韓間に新たな火種か 「徴用工に個人請求権」発言

韓国の文在寅大統領=AP
 ◇文在寅大統領が就任100日の記者会見で見解を初めて示す

 【ソウル大貫智子】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は17日、就任100日を迎えた記者会見で、日本の植民地時代の元徴用工の個人請求権は消滅していないとの見解を初めて示した。韓国政府はこれまで個人請求権問題への言及を避けており、日本政府に前向きな対応を促す狙いがあるとみられる。ただ、日本側は解決済みとの立場で、日韓間の新たな火種となる可能性がある。

 「強制徴用者の問題も(日韓)両国間の合意が個々人の権利を侵害することはできない」。文氏は会見で、元徴用工が日本企業を相手取る訴訟が韓国で相次いでいることに理解を示した。また、2012年に韓国最高裁が初めて元徴用工の個人請求権は消滅していないとの判断を示したことに触れ、「強制徴用者個々人が三菱(重工業)など(徴用された)企業に対して持つ民事的な権利は残っているというのが判例であり、政府はこうした立場で歴史問題に臨んでいる」と最高裁の判断を尊重する考えを明らかにした。