米バージニア州シャーロッツビルで12日に白人至上主義団体と反対派が衝突し死傷者が出た事件で、トランプ大統領が当初極右派を明確に非難しなかったことを受け、製薬大手メルクのケネス・フレイジャー最高経営責任者(CEO)が14日、大統領の経済助言組織である製造業評議会を辞任した。

同CEOはアフリカ系米国人。

フレイジャー氏は声明で「米国の指導者は、すべての人々は平等であるというわが国の理想に反する敵対感情、憎悪、白人至上主義の拒否を明確に示し、われわれの基本理念を尊重すべきだ」と表明。「メルクのCEOとして、また個人的な良識に基づき、私は不寛容と過激思想に反対する責任を感じている」と述べた。

これに対しトランプ大統領は、ツイッターで「フレイジャーCEOが大統領の製造業評議会を辞任した。CEOは、これからは『不当に高い薬価の引き下げ』に向けてもっと時間を割けるようになるだろう!」と揶揄(やゆ)した。

フレイジャーCEOは2016年の大統領選時、共和党・民主党双方に献金するなどの政治的貢献をしていたが、大統領候補には献金を行わなかった。

同CEOに対し、同じ製薬会社であるアルナイラム・ファーマシューティカルズのジョン・マラガノーレCEOも賛同を表明。他業界でもヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)のメグ・ホイットマンCEO、ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファインCEOらも支持を宣言した。

国内最大の労組、米労働総同盟産別会議(AFL─CIO)は声明で「当会議は、シャーロッツビルで発生した国内過激派による敵対感情に基づく行動を明確に非難するものであり、大統領にも同様の対応を求める」と述べた。

2017年8月15日