山あいにある市立松末小学校(同市杷木星丸)には5日から、小学生18人を含む54人が身を寄せていた。しかし複数の川が合流する地点にあるため濁流が押し寄せたとみられ、校舎1階が浸水。市によると、6日午前8時ごろ、陸上自衛隊が到着し、約4キロ離れた市街地の杷木中学校に再避難を始めたという。
総合市民センター「ピーポート甘木」(同市甘木)では、約180世帯の約300人が一夜を明かし、畳のない学習室などで身を休めたり、車中泊したりした人もいた。職員数人が徹夜で住民対応に当たったが、毛布や食事を提供することはできず、男性職員は「硬い廊下などで休んでいる人がいる。物資が必要だ」と話した。
自衛隊員に担がれ、冠水した道路から救助される男性(左から2人目)=6日午前8時5分、福岡県朝倉市
朝倉市役所の南5キロほど離れた古江地区では、筑後川支流の桂川が氾濫した。避難できず取り残された世帯が多数おり、一夜明けて自衛隊の救助活動が始まった。川近くの道路には車が数台放置され、車内は土砂でまみれていた。10メートルの折れた木々、干し草のロールが流れ着き、水田には道路から流れる水があたかも別の川を形成しているようだった。
園芸を営む空閑正樹さん(46)のビニールハウスからはほぼ全ての花が流出。トラックも水に漬かり、100台あった金属棚も流され、損失は億単位。「もう駄目かもしれない。壊滅だ」と肩を落とした。
桂川上流の三奈木地区にも大量の流木が流れ着き、崩落した橋が無残な姿をさらした。近くの半田恵さん(34)は「通学路なのにこれほどの増水は初めて。夜は家の周りが冠水し避難もできず、とても怖かった」とショックを受けた様子だった。
佐賀県から駆け付けた川原博利さん(47)は、80代の伯母とその娘の50代のいとこを捜していた。「自宅に電話しても出なかった。2人とも携帯電話を使わないので連絡が取れない」と話し、近隣の避難所を回るつもりだという。
時事通信2017/07/06-11:44