識名トンネル住民訴訟について:
識名トンネル、司法究明へ 住民訴訟で
2014年4月3日 06:23朝刊裁判・司法
識名トンネル建設工事に関する補助金不正受給・返還問題をめぐる住民訴訟の弁論で那覇地裁(鈴木博裁判長)は2日、訴訟要件である住民監査請求が適法な期間内になされたという前提で審理に入ることを決めた。次回は6月11日。
住民側は、県の虚偽契約による違法な公金支出の概要などを明らかにする。識名トンネル問題の追及は、司法の場に移った。
仲井真弘多知事を被告に、県内在住の11人が12年12月、提訴。仲井真知事や当時の土木建築部長、南部土木事務所長、工事を請け負った大成JVの計4者で国への返還金5億8千万円の利息分7177万円余を連帯して支払わせるよう求めている。
県は2010年度、追加工事の公金を支出した。
住民監査請求ができる期間は、公金支出から原則1年以内とされる。住民側は「期間制限は当てはまらない」と主張。県側は「監査請求ができる時期を過ぎている」と審理に入る法的根拠がないとしていた。
原告の北上田毅さんは、「百条委は与野党の対立で真相を明らかにできなかった。法廷で初めて真相究明できる。知事は法廷で説明してほしい」と話した。
県の當銘健一郎土木建築部長は「これまで請求の原因などに対する認否は留保していたが、裁判所の方針に従い適切に対処したい」とコメントした。
問題は11年に発覚。県議会の百条委は、追加工事をめぐる対応を「談合と指摘されてもやむを得ない」などと結論づけた。補助金適正化法違反などで県土木建築部の幹部ら十数人の書類送検を受け、那覇地検が捜査している。
県警、「識名トンネル」問題で元土建部長ら書類送検
2013年10月20日 10:05
県が識名トンネル工事で虚偽契約を結び国の補助金5億円を不正に受給していた問題で、県警は19日までに元県土木建築部長の漢那政弘石垣市副市長(65)ら、契約当時の県幹部と担当職員計12人前後を補助金適正化法違反、虚偽公文書作成・同行使の容疑で書類送検した。県警は身柄不拘束を理由に書類送検を公表していない。
識名トンネル工事は2006年に47・2%の落札率で大手ゼネコンの大成建設と県内2社の共同企業体(JV)が受注した。工事途中で地盤沈下対策が必要となり、契約額を上回る費用が発生した。
捜査関係者によると、県幹部らは、トンネル掘削に伴い新たに必要になった地盤強化工事を、契約変更や追加発注などをせずに同じ業者に実施させたという。工事終了後の09年1月に別工事として工期を偽り、同じ業者と随意契約を結び、国の補助金を不正に受給した疑いが持たれている。
県は12年3月、利息を含め5億7886万円を国へ返還した。同年6月、沖縄総合事務局が補助金適正化法違反と虚偽公文書作成・同行使罪に当たるとして、被疑者不詳のまま那覇署に告発した。県警は同年9月に県庁や南部土木事務所、工事を受注した建設業者など数カ所の関係先を家宅捜索し、契約時の書類などを押収した。
県議会は識名トンネル工事虚偽契約問題の真相究明を図る調査特別委員会(百条委員会)を設置して調査を進めており、11月定例会で最終報告のとりまとめを目指している。また昨年12月には、市民団体が国への補助金返還額のうち、利息分の約7千万円を仲井真弘多知事や当時の土木建築部長、南部土木事務所長らに返済させるよう県知事に求める住民訴訟を那覇地裁に提起した。
2012年12月20日 18時35分
識名トンネル問題 7000万円返還求め住民訴訟
知事の責任も追及したい考えです。識名トンネル建設の補助金返還に伴い発生した利息が県の損害にあたるとして、住民が知事や業者などに、利息を返済させるよう求める訴状を那覇地裁に提出しました。訴訟を起こしたのは、那覇市などに住む住民11人です。
識名トンネル建設問題を巡っては住民監査請求の結果、県が国に返還した補助金の利息分7177万円が県の損害と認められたものの、その利息分の返還は請求されず「必要な措置」を講ずるよう勧告するに留まりました。
これを不服とした住民側は今回の訴訟で、仲井真知事や業者らに国庫補助金の利息分7177万円を返済させるよう請求し、虚偽契約に至る全貌を明らかにすることを求めています。
原告・北上田毅さんは「県民の被った損害を県民の税金で支払うのではなく、違法行為を行った県の職員、それから受注業者が支払うのは当然のこと」と話しました。
また、住民側はこの裁判で「知事の監督責任も追及していきたい」と話すと同時に、19日の監査委員の勧告に対し、知事が「必要な措置」を講じなかった場合、改めて住民訴訟を検討するとしています。