E/C.12/JPN/CO/3配布:一般2013年5月17日原文:英語

 経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会
 第50会期において委員会により採択された日本の第3回定期報告に関する最終見解

(2013年4月29日-5月17日)

 
パラグラフ24
. 東日本大震災及び福島原発事故の被害への救済策の複雑さに留意して、委員会は高齢者、障害者、女性及び子供といった不利益を被っている脆弱な集団の特別な要望が、避難の際並びに復旧及び復興の努力において十分に満たされなかったことに懸念を表明する。 

東日本大震災及び福島原発事故の結果から得られた教訓が、将来の救済及び復興の努力において、脆弱な集団を含む被災した地域社会の要望に十分に対応するよう新たな計画を採択するよう導いたことに留意し、委員会は締約国に対して、災害対応、リスク緩和及び復興の努力において人権の観点に基づくアプローチを採択するよう勧告する。

特に、委員会は締約国に対して、災害管理計画が、経済的、社会的及び文化的権利の享受において差別したり、差別を導くようなことのないことを確保することを勧告する。委員会は締約国に対して、次回定期報告において、東日本大震災及び福島原発事故の被害の管理並びに避難時、復旧及び復興の作業時における被害者の経済的、社会的及び文化的権利の享受に関する性別、脆弱な集団別に分かれた統計データを含む、包括的な情報を提供することを要請する。

また、委員会は、締約国に対して、いかに被害者に対し裁判を受ける権利が保障されているかについての情報を含むよう要請する。


パラグラフ 25

. 委員会は原子力発電施設の安全性に関する必要な情報の透明性及び開示が欠如していること、及び福島原発事故の事例において、被害者の経済的、社会的及び文化的権利の享受に関する否定的な影響を導いた原子力事故の防止及び対処に係る全国的な地域社会における準備が不十分であることに再度懸念を表明する。(第11条及び第12条) 

  委員会は、再度、締約国に対して、原子力施設の安全性に関する問題の透明性を増すこと及び原子力事故に対する準備を強化させることを勧告する。特に、委員会は締約国に対して、潜在的な危険、予防手段及び対応計画に関する包括的で、信頼できる、正確な情報を国民に提供すること、及び災害発生時に全ての情報を迅速に開示することを確保することを要求する。委員会は締約国に対して、すべての者の到達可能な最高水準の身体及び精神の健康の享受の権利に関する特別報告者が締約国を訪問した際の勧告を履行することを慫慂する。

 



規約第16条及び第17条に基づく
締約国により提出された報告の審査

経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会の最終見解
2001年9月24日
C.主な懸念される問題
  1. 委員会は、阪神・淡路大震災後に兵庫県により計画し実行された、大規模な再定住計画にもかかわらず、最も震災の影響を被った人々が必ずしも十分に協議を受けず、その結果、多くの独居老人が、個人的注意がほとんどあるいは全く払われることなく、全く慣れない環境に起居していることに懸念を有する。家族を失った人々への精神医学的又は心理学的な治療がほとんどあるいは全くされていないようである。多くの再定住した60歳を越える被災者には、地域センターがなく、保健所や外来看護施設へのアクセスを有していない。

  2. 委員会は、阪神・淡路地域の被災者のうち、貧困層にとっては、自らの住宅再建資金の調達がますます困難になっていることに懸念をもって留意する。これらの者の中には、残余の住宅ローンの支払いのために、住宅を再建し得ないまま財産の売却を余儀なくされた人々もいる。

  3. 委員会は、全国に、特に大阪の釜ヶ崎地区に、多数のホームレスの人々がいることに懸念を有する。委員会は、締約国がホームレスを解消するための包括的な計画を策定していないことにさらに懸念を有する。

  4. 委員会は、強制立ち退き、とりわけ仮の住まいからのホームレスの強制立ち退き、及びウトロ地区において長い間住居を占有してきた人々の強制立ち退きに懸念を有する。この点に関し、委員会は、特に、仮処分命令発令手続においては、仮の立ち退き命令が、何ら理由を付すことなく、執行停止に服することもなく、発令されることとされており、このため、一般的性格を有する意見4及び7に確立された委員会のガイドラインに反して、あらゆる不服申し立ての権利は無意味なものとなり、事実上、仮の立ち退き命令が恒久的なものとなっていることから、このような略式の手続について懸念を有する。


22
委員会は、報告された原子力発電所事故、及び当該施設の安全性に関する必要な情報の透明性及び公開が欠如していることに懸念を有するとともに、原子力事故の予防及び処理のための、全国規模及び地域社会での事前の備えが欠如していることに懸念を有する。



E.提言及び勧告

49  委員会は、原子力施設の安全性に関連する問題に関し、周辺住民に対して、全ての必要な情報の透明性及び公開性を促進することを勧告する。さらに、締約国に対し、原子力事故の予防及び事故が起きた際の迅速な対応のための準備計画を策定することを要求する。

54 委員会は、締約国が兵庫県に対し、とりわけ高齢者及び障害者への地域サービスの向上及び拡大を勧奨することを勧告する。

55 委員会は、貧しい被災者が、住宅ローンの支払いを続けるために財産を売却せざるを得なくなることを防ぐために、それらの者が破壊された住宅を再建するために公的住宅基金あるいは銀行に対する債務の支払いを支援するため、締約国が規約第11条の義務に従って、効果的な措置を迅速にとることを勧告する。

56 委員会は、締約国が自ら、そして都道府県と共同で、日本におけるホームレスの範囲及び原因を判定する調査を実施することを要求する。また、締約国は、ホームレスの人々の相当な生活水準を確保すべく、生活保護法のような既存の法律を十分に適用することを確保するために適切な措置をとるべきである。




  1. 委員会は、締約国が兵庫県に対し、とりわけ高齢者及び障害者への地域サービスの向上及び拡大を勧奨することを勧告する。

  2. 委員会は、貧しい被災者が、住宅ローンの支払いを続けるために財産を売却せざるを得なくなることを防ぐために、それらの者が破壊された住宅を再建するために公的住宅基金あるいは銀行に対する債務の支払いを支援するため、締約国が規約第11条の義務に従って、効果的な措置を迅速にとることを勧告する。

  3. 委員会は、締約国が自ら、そして都道府県と共同で、日本におけるホームレスの範囲及び原因を判定する調査を実施することを要求する。また、締約国は、ホームレスの人々の相当な生活水準を確保すべく、生活保護法のような既存の法律を十分に適用することを確保するために適切な措置をとるべきである。