違法高層マンションを、建ててしまったら被害甚大!
横浜傾斜マンション 全棟建て替え正式決定 合意に向け管理組合奔走
横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、住民らでつくる管理組合は十九日、全四棟の建て替えを正式決定した。全七百五戸の巨大なマンションだけに意思決定に困難が伴ったが、組合が住民の意思統一に奔走し、問題発生から二年でほぼ全員の賛成を取り付けた。
昨年十一月に組合が全戸から集めたアンケートでは、全棟建て替えへの賛成は七割だった。組合の男性は「反対者からは、自分の棟には不具合がなく建て替える必要があるのか、という疑問も出た」と話す。
ただ、一連の騒動によりマンション全体の資産価値が下落。西棟以外の三棟でも、七十本分のくい施工時のデータ改ざんが発覚し、組合独自の調査で柱内部の鉄筋切断など五十カ所の施工不良も見つかった。
組合は、住民に施工不良とともに全棟建て替えの必要性を説明し「西棟のみ建て替え」の案を消していった。今年七月のアンケートでは「全棟建て替え」への賛成者は、89%に増加。最終的に二戸が反対したが、組合は「今後、賛成してくれるだろう」とみる。
一方、住民にはこれからも苦労が待ち受ける。市が事業主の三井不動産レジデンシャルなどに指示した施工不良の原因調査は、早くても十月末まで続く。建物が解体されれば調査はできなくなるため、市とのスケジュール調整が必要だ。
建て替え工事中は住民が仮住まいに離散するため、再入居の四年後まで住民同士のつながりをどう維持するかも課題だ。既に事業主に売却するなど計四百四十三戸が空室になり、男性理事は「十年かけてつくりあげたコミュニティーが崩壊している」と嘆く。
組合と事業主とのやりとりも続く。組合は新たに設計者や施工業者を決めるよう、事業主に求めているが、具体的な回答はまだない。住民には根強い不信感があり、組合の男性は「まだ予断を許さず、業者側の動きをチェックしないといけない」と気を引き締めていた。
- 日本経済新聞2016年9月19日
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全棟建替えを 住民が正式決定
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横浜傾斜マンション
横浜市都筑区の大型マンションが傾いている問題で、マンションの管理組合は19日、同市内で集会を開き、傾いている1棟を含む全4棟の建て替えを決議した。来年4月にも解体作業を始め、約3年半で完成する予定。2020年冬までの入居を目指す。工事費用の約400億円は事業主側が負担する。
集会後に記者会見した管理組合の担当者は「問題発覚から住民として本当に苦労した。事業主にはどうかこの痛みを理解してほしい」と訴えた。
マンション建て替えには、区分所有者などの5分の4以上の賛成が必要と区分所有法が定めている。管理組合によると、この日の決議では専有面積の割合などに応じた議決権の総数711のうち709、区分所有者総数635のうち633が、それぞれ建て替えに賛成し、要件を満たした。
今後、建て替え組合が設立され、手続きを進める。マンションの設計監理と工事は施工主の三井住友建設ではなく別の業者を選ぶ方針で、再入居を希望する住民は工事期間中、近隣で仮住まいする。
マンションを巡っては、昨年10月に1棟の傾きが発覚。杭(くい)の一部が強固な地盤に届いていなかったことなどが判明した。
事業主の三井不動産レジデンシャルは19日、「売り主としての責任を果たすべく、住民の皆様が一日でも早く安心して暮らしていただけるよう誠心誠意対応してまいります」とのコメントを出した。
東京新聞 2016年9月19日
横浜の傾斜マンション 全棟建て替えを決定
横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、住民ら所有者でつくる管理組合は19日、総会で建て替えの賛否を問う投票を行い、ほぼ全員の賛成で全棟建て替えを正式に決めた。住民同士の意見調整や事業主側との交渉などの課題を乗り越え、傾きが発覚して二年で決断を下した。来年4月までに全住民が退去して建物の解体に着手、2020年中の再入居を目指す。
投票では全区分所有者数635のうち、賛成633票、反対2票。区分所有法で全棟建て替えに必要と定める5分の4以上が賛成した。反対の2戸には、新たに設立する「建て替え組合」が賛成するよう働き掛ける。不調の場合は同法に基づき、同組合が強制的に買い取る。
総会後の記者会見で、管理組合の男性理事は「各世帯とも子どもがいたり、高齢だったりと(建て替えを決めるまで)悩んだと思う。二年間の痛みを事業主に知ってほしい」と話した。
事業主の三井不動産レジデンシャルは「住民の皆さまが一日でも早く安心して暮らせるよう対応する」とのコメントを出した。同社が300億円とみられる建て替え費用と、各戸への慰謝料300万円、仮住まい費用を負担する。
<マンション傾斜問題>
2014年9月、横浜市都筑区の全4棟のマンションで、西棟と中央棟の連結部に2センチの高低差が見つかった。市は昨年10月、事業主の三井不動産レジデンシャルと元請けの三井住友建設に、建物を支えるくいの健全性などの調査を指示。西棟のくい52本のうち6本が強固な地盤に届いておらず、自重や複数回の震度5強程度の地震に耐えられないことが分かった。市は今年8月、建築基準法違反で事業主側に是正勧告を出した。
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横浜傾斜マンション、全棟建て替えを決議
来春から解体
横浜市都筑区の大型マンションが傾いている問題で、マンションの管理組合は19日、同市内で集会を開き、傾いている1棟を含む全4棟の建て替えを決議した。来年4月にも解体作業を始め、約3年半で完成する予定。2020年冬までの入居を目指す。工事費用の約400億円は事業主側が負担する。
日本経済新聞 2016年9月19日
東京新聞2016年5月25日
住民流出で壊れる共同体 横浜・都筑の傾斜マンション
旭化成建材がくい打ちした横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、施工不良発覚後に住民の流出が相次ぎ、近所付き合いなどコミュニティーの維持が難しくなってきている。全705戸のうち、一時的な転居や売却をした住民は約240戸に上る。管理組合は「いま災害が起きれば、自分たちで対応できるか…」と心配している。 (志村彰太)
休日の二十二日、マンション中庭では子どもたちが遊び、大人たちはお茶を飲みながら歓談していた。「これでも、子どもの数は大きく減ったんです」と、管理組合理事の一人は明かす。
昨年十月の発覚後、約百八十戸が「建物の安全性が証明されるか、建て替え方針が決まるまで」との条件で一時的に転居。事業主の三井不動産レジデンシャルに売却を決めた世帯は約六十戸になった。全戸の三割以上が空き家になる計算。取材時にも、ロビーで売却手続きをする同社社員と住民の姿が見られた。
住民が減ったことで、昨年末に行われるはずだった防災訓練は中止に。防災面では十戸で一班をつくるが、班長と副班長が不在の班もあるという。毎年夏に住民で開いていた夏祭りも、今年は取りやめた。理事は「近所付き合いが希薄になっている」と話す。
他にも不安の種は尽きない。今後、区分所有法に基づく建て替え決議に臨むが、全棟建て替えを決めるには全戸の五分の四の賛成が必要。しかし、売却する住民が増えると、新たな所有者となる三井不動産レジデンシャルの持つ議決権が多くなる。管理組合は同社に住民の総意に従うよう求めているが、口頭での約束にとどまる。同社の持つ議決権の行使について、三井不動産広報部は取材に「住民との交渉ごとなので答えられない」と話した。
横浜市建築局とのやりとりも、本年度で市の担当者が変わってから少なくなったという。別の理事は「横浜市が何をやっているのか、当事者の私たちでさえ報道で初めて知ることが増えた。もっと業者側とのやりとりを詳しく教えてほしい」と、ため息をつく。
一方、少しずつ前進していることもある。二月末の管理組合総会で、全棟建て替えに向けて動きだすことが決まったが、建て替え決議には「建て替え案」のほかに、「傾いた棟だけ補修する案」など別の選択肢も議題に挙げて採決しなければならない。五月に入りようやく、補修案が三井不動産側から提示された。
管理組合は六月中旬までに住民説明会で全ての案を説明し、アンケートなどで意向を確認しながら、九月の建て替え決議実施を目指す。理事は「心配事はあるが、来年度には建て替えを開始したい」と話している。
東京新聞2016年2月22日
横浜のくい打ち施工不良問題 マンション内部を公開 隙間、ずれ…亀裂も
旭化成建材がくい打ちした横浜市都筑区のマンションが傾いた問題で、住民でつくる管理組合は二十一日、傾いた西棟などマンション内部を初めて報道各社に公開した。 (志村彰太)
このマンションでは、西棟で八本、北棟で四本のくいが、強固な地盤に届いていないか、打ち込み不足だったとされている。傾いた西棟は、中央棟との連結部付近が数センチ沈み込み、高さがそろっていなかった。連結部付近の床に亀裂もあり、案内した理事の一人は「昨年秋に修繕したとき、亀裂はなかったはず。悪化していないか心配だ」と話した。
また、くいの先端に流し込むセメント量のデータ改ざんがあった中央棟内の連結部にも、隙間やずれが生じていた。管理組合は、これらの不具合の原因を事業主の三井不動産レジデンシャルに問い合わせているという。
管理組合では二十七日に通常総会を開き、全棟建て替えの方針を提案する。過半数の賛成で可決されれば、区分所有法で定める「建て替え決議」を九月末までに行う。この決議に全区分所有者の五分の四が賛成すれば、全棟建て替えが正式決定する。
パークシティLaLa横浜
西側公道より。連結部左側の棟の手すりが、右側の棟より下がっているのが確認できるパークシティLaLa横浜(パークシティララよこはま)は、2007年11月に完成した、横浜市都筑区にある705戸4棟からなる分譲マンション。隣接するショッピングセンター「ららぽーと横浜」と一体で開発された。所在地は神奈川県横浜市都筑区池辺町4035-13。
鉄筋コンクリート構造、地上12階建、敷地面積は30,380.06m2。専有面積80m2の部屋を主としており、「ららぽーと横浜」との提携サービスなどソフト面の充実が図られている。2006年時点で分譲価格は坪単価155万円だった。建設の欠陥が2015年10月に指摘された。事業者は三井不動産と明豊エンタープライズ、設計・施工は三井住友建設、販売は三井不動産レジデンシャル。
2011年にパークシティLaLa横浜自治会が設立された(池辺町連合自治会に未加入)。パークシティLaLa横浜管理組合は横浜市資源集団回収登録団体のひとつ。
社会福祉法人貴静会が設置する認可保育所「ゆうぽーと保育園」が隣接する。
建設は三井不動産と明豊エンタープライズの共同事業であり(事業途中で三井不動産から三井不動産レジデンシャルに移管[要出典])、総合不動産業の強みをいかす複合開発とされた。
設計・施工は三井住友建設で、一次下請けとして日立ハイテクノロジーズ、二次下請けとして旭化成建材が関与した。
着工2005年11月30日、竣工2007年11月、ららぽーと横浜と一体での総工費は550億円。
日本電気横浜事業場跡地を用地とした。
建設には都市計画提案制度が活用され、都市みらい推進機構平成23年度土地活用モデル大賞審査委員長賞を受賞した。