沖縄タイムス2016年9月16日
沖縄県の翁長雄志知事は16日夕、違法確認訴訟の高裁敗訴を受けて県庁で記者会見し「あぜんとした。裁判所は政府の追認機関であることが明らかになった」と述べ、判決内容を強く批判した。知事と弁護団は上告する考えを明言した。期限である23日に上告する方針だ。
知事は判決に「地方自治、民主主義、三権分立という意味でも相当な禍根を残す」と指摘。「県民の間に、より大きい反発と結束がこれから出てくると思う」と述べ、県内で判決への批判的な世論が高まるとの認識を示した。
知事は判決文が「(名護市辺野古の)新施設の建設をやめるには、普天間飛行場による被害を継続するしかない」として、辺野古移設が唯一の選択肢とする政府の主張を追認していると批判。
「地方自治制度を軽視し、県民の気持ちを踏みにじる、あまりにも国に偏った判断だ」と述べ、政府と司法が一体化しているとの考えを強調した。
同訴訟では、地方に権限のある法定受託事務に対し、国がどのような場合に介入(関与)できるかが問われている。憲法が保障する地方自治のあり方や、国と地方の「対等・協力」関係をうたった改正地方自治法の趣旨も問われている。
上告された場合、自治法が定める国の「是正指示」や、知事の裁量による行政処分の取り消しの基準について、最高裁が初の判断を下す可能性がある。
最高裁への上告に当たっては、高裁の判決に(1)憲法解釈の誤りがあること(2)法律に定められた重大な訴訟手続きの違反があること-が理由となる。最高裁は高裁判決の中に判例に反する判断や、重要な法令解釈に関わる事項を含んでいるときは、上告の申し立てを受理する。
最高裁の審理は、通常5人の判事で構成される小法廷で開かれる。憲法問題を含むような事件については、15人全員の判事がそろう大法廷で審理される。上告に理由がない場合は、口頭弁論を開かずに却下や棄却の決定が出せる。
一方で、高裁判決を破棄する場合は、必ず口頭弁論を開かなければならない。最高裁は(1)、(2)の場合や、高裁判決に明らかな法令解釈の違反があるときは、判決を破棄できる。