◎ 田中聡史さんの「服務事故再発防止研修」強行に抗議する声明

 本日(9月15日)都教委は、3月の石神井特別支援学校卒業式での「君が代」斉唱時の不起立を理由として懲戒処分(減給10分の1・1月)を受けた田中聡史教諭に対する「服務事故再発防止研修」(センター研修Ⅱ)を強行した。私たちは、憲法に保障された「思想・良心の自由」と「教育の自由」を踏みにじり、「服務事故者」というレッテルを貼り、反省や転向を迫る「再発防止研修」の強行に満身の怒りを込めて抗議するものである。

 都教委は、2012年度より「再発防止研修」を質量共に強化した。そのため田中聡史教諭は、6ヶ月もの長期に亘る「研修」を強制されている。その内容は、処分発令(4月15日)に引き続く所属校研修Ⅰ(受講前報告書の作成などの校長指導など)、センター研修Ⅰ(5月11日 3時間30分)、教職員研修センターに呼び出しての3回の所属校研修Ⅱ(6月15日、7月15日、8月29日 各1時間)、そして本日のセンター研修Ⅱ(2時間)である。


 これは、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性があるといわなければならない」と判示した東京地裁民事19部決定(2004年7月23日)に反することは明らかである。

 また、教育環境の悪化を危惧して、「自由で闊達な教育が実施されていくことが切に望まれるところであり・・・そのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある」という最高裁判決の補足意見(2012年1月16日最高裁判決 櫻井龍子裁判官)、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」と述べ、教育行政による硬直的な処分に対して反省と改善を求めている補足意見(2013年9月6日最高裁判決 鬼丸かおる裁判官)などの司法の判断に背く許されない行為である。

 田中聡史教諭は、東京「君が代」裁判第四次訴訟原告であり、都人事委員会の処分取消請求事件の請求人でもある。係争中の事案について「服務事故」と決めつけ、命令で「研修」を課すことは、「研修」という名を借りた実質的な二重の処分行為であり、被処分者に対する「懲罰」「イジメ(精神的・物理的脅迫)」にほかならない。

 更に重大なのは、教員を本来の職場である学校から引きはがし、「不要不急」の研修を課し、午前中の学校での勤務、特に授業や生徒への指導を不可能とすることによって、生徒の授業を受ける権利を侵害し、かつ「教諭は児童の教育をつかさどる」とする学校教育法や「教員は、授業に支障のない限り・・・勤務場所を離れて研修を行うことが出来る」とする教育公務員特例法に明白に反していることである。
 このように都教委が教育活動よりも違憲・違法な研修を優先していることは、教育条件の整備に責任を持つ教育委員会として断じて許されるものではなく、教育行政に対する都民の期待に背くものである。

 私たちは、決して都教委の「懲罰・弾圧」に屈しない。東京の異常な教育行政を告発し続け、生徒が主人公の学校を取り戻すため、広範な人々と手を携えて、自由で民主的な教育を守り抜く決意である。「日の丸・君が代」強制を断じて許さず、「再発防止研修」強行に抗議し、不当処分撤回まで闘い抜くものである。

 2016年9月15日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木 俊一  星野 直之
   【連絡先】近藤 徹(事務局長) 携帯090-5327-8318 e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp



パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2