富山政活費不正自民市議「領収書偽造
富山市議会(定数40)の自民会派を巡る政務活動費の不正受給問題で、政活費の水増し請求を認めた同会派の岡本保市議(65)が12日、議員辞職した。岡本氏は市政報告会の参加者数を水増しするため、パソコンで自ら作成した茶菓子代名目の領収書を偽造。20万円を請求して約10万〜12万5000円を不正受給したという。一連の問題で議員辞職した同市議は3人となった。
岡本氏は10日、毎日新聞の取材に不正を認め、翌日記者会見して詳細を明らかにした。岡本氏によると、2013年5月、市内で開いた市政報告会1回の参加者が150〜200人だったのに、400人と水増しした。
手口は、市内の商店が発行した領収書を見本にし、自分のパソコンで「お茶・お菓子代として400×500円」と記載して1枚を偽造した。
岡本氏は、報告会前にあった後援会の打ち合わせや、ミニ市政報告会などで出した茶菓子代を加算。「便宜上、1枚でまとめた方が分かりやすいと思った」と説明している。市議会事務局によると、各会派の取り決めで後援会活動に政活費は充てられない。
この商店の女性は毎日新聞の取材に「岡本さんは購入する時はいつも1万〜2万円ほど。20万円という大きな買い物をすることはなかった」と証言した。岡本氏は「深く反省し、市民のみなさまにおわびしたい」と謝罪し、利息も含めて全額を返還する意向を示した。
同市議会の自民会派は8月以降、5人が不正請求を認め、うち3人が議員辞職。他に4人に疑惑が持たれている。手口は、白紙領収書に自ら金額を記入▽業者に虚偽の金額を記入させる▽受け取った領収書の金額に自ら書き加える--などで、不正請求額は分かっているだけで約1290万円に上る。
自民市議「領収書偽造」謝罪し3人目辞職
富山市議5人関与か 女性事務員が証言
富山市議会を巡る政務活動費(政活費)の不正問題で、議員辞職した前自民会派会長の中川勇氏(69)が不正請求に関与した政活費約786万円のうちの74万5000円について、女性事務員が会派の市議5人に「現金を封筒に入れて渡した」と証言していることが、会派幹部への取材で分かった。5人は「全く知らない」と否定しているといい、会派の有沢守会長は「どちらが真実か分からない。調査を続けたい」としている。
5人は議長の市田龍一(61)▽副議長の金厚有豊(68)▽岡村耕造(66)▽高森寛(71)▽谷口寿一(53)の各市議。中川氏は2013年4月、印刷業者の白紙の領収書を偽造し、5人が使わなかった政活費計74万5000円を資料代名目で無断で引き出したと説明した。しかし、市田議長と谷口市議は毎日新聞の取材に「金はもらっていない」などと関与を否定した。
会派幹部によると、事務員は7日、「5人に現金を封筒に入れて手渡した」と会派の高田重信幹事長に報告。翌日には「5人に渡したというのは信念として曲げることはできない」と話したという。別の市議によると、事務員は「(隠し続けることに)もう気持ちが耐えられない」と打ち明け、12日に記者会見を開いて説明する予定だという。
毎日新聞 2016年9月9日