1ドル=90円台は時間の問題――。金融市場が緊迫している。
5月30日に111円台半ばだったドル円相場は、3日に発表された米雇用統計が低調だったことから、一気に円高に振れた。3日のNY市場では、一時106円台半ばをつけ、わずか5日間で5円も円高が進行した。
「異常ともいえる円高ペースです。雇用統計の結果を受け、米利上げは遠のいたという読みが主流となり、ドル安・円高がモーレツに進みました。円高をストップさせる材料が見当たらないだけに、このまま1ドル=100円をうかがう動きになるかもしれません」(市場関係者)
円高を加速させそうなイベントが米国で6日(日本時間7日未明)にある。FRBのイエレン議長の講演だ。この場で、利上げの先延ばしを示唆する発言があったら、円高はさらに進みかねない。
5月30日に111円台半ばだったドル円相場は、3日に発表された米雇用統計が低調だったことから、一気に円高に振れた。3日のNY市場では、一時106円台半ばをつけ、わずか5日間で5円も円高が進行した。
「異常ともいえる円高ペースです。雇用統計の結果を受け、米利上げは遠のいたという読みが主流となり、ドル安・円高がモーレツに進みました。円高をストップさせる材料が見当たらないだけに、このまま1ドル=100円をうかがう動きになるかもしれません」(市場関係者)
円高を加速させそうなイベントが米国で6日(日本時間7日未明)にある。FRBのイエレン議長の講演だ。この場で、利上げの先延ばしを示唆する発言があったら、円高はさらに進みかねない。
「講演内容によっては、100~101円の円高が出現するでしょう。この水準でしばらくもみ合い、90円台に入る可能性は十分にあります」(株式アナリストの黒岩泰氏)
大手企業の想定為替レートは1ドル=110円が主流だ。もし90円台なんてことになったら、大幅な為替差損が発生し、業績は悪化する。回避するには、何としても円高をストップさせる必要がある。
今月15、16日には日銀の金融政策決定会合が開かれる。ここで追加金融緩和を打ち出せれば、円安の流れが生まれ、企業も一息つけるが、金融関係者は「まず、ない」と言う。
「安倍政権が消費増税の延期というカードを切ったことで、日銀は動きづらくなっています。世界の金融マーケットは、日本の財政規律の緩みを問題にしつつあります。いま日銀が動くと、その批判を一段と高める恐れがあるのです」(株式評論家の倉多慎之助氏)
残された手は為替介入だが、先日の伊勢志摩サミットで、オバマ大統領は日本の「円売り介入」を牽制した。首脳宣言でも通貨安戦争の回避を確認している。
1ドル=100円割れを覚悟したほうがよさそうだ。
大手企業の想定為替レートは1ドル=110円が主流だ。もし90円台なんてことになったら、大幅な為替差損が発生し、業績は悪化する。回避するには、何としても円高をストップさせる必要がある。
今月15、16日には日銀の金融政策決定会合が開かれる。ここで追加金融緩和を打ち出せれば、円安の流れが生まれ、企業も一息つけるが、金融関係者は「まず、ない」と言う。
「安倍政権が消費増税の延期というカードを切ったことで、日銀は動きづらくなっています。世界の金融マーケットは、日本の財政規律の緩みを問題にしつつあります。いま日銀が動くと、その批判を一段と高める恐れがあるのです」(株式評論家の倉多慎之助氏)
残された手は為替介入だが、先日の伊勢志摩サミットで、オバマ大統領は日本の「円売り介入」を牽制した。首脳宣言でも通貨安戦争の回避を確認している。
1ドル=100円割れを覚悟したほうがよさそうだ。
日刊ゲンダイ2016年6月6日