◆ 2016年卒入学式の状況 (リベルテ)
「10・23通達」から13回目の卒入学式が終わりました。卒業式で4名の教職員が不起立・不入場によつて処分されました。私もその1人です。「10・23通達」による被処分者はこれで478名に達しました。
卒業式での不起立についての事情聴取で都庁に呼び出されたとき、私の勤務校の校長は、都庁の職員から「まだ不起立する人がいるんですね」と言われたそうです。処分される人数が減ったことだけが強調されがちですが、実は、10・23通達が出されてからずっと今まで卒業式での処分は途絶えたことはありません。今でも「初めて」の方がいるということはすごいことだと思います。
高校の該当者については3月25日に戒告という処分が、特別支援学校の該当者については4月15日に減給10分の1、1ヵ月という処分が発令されました。
特別支援学校の方は不起立10回目ですので、更に処分が加算されるのではないかと危惧されていました。前回と同じ処分にとどまったのは、10・23通達関連裁判が確実に前進して都教委が負け続けていることが背景にあるのだと思います。
今年の卒業式は私が担任をする学年の卒業式でした。私は2004年の入学式で処分されてから10年間担任をさせてもらえませんでした。もう担任にはなれないとあきらめかけていた2013年、私は担任になることができました。これが最後の担任だと思って、私は自分にできる精一杯のことを3年間やってきました。
自分が裁判をしていることも生徒たちに話しました。生徒たちはいつも裁判の状況を気にかけ、応援してくれました。
卒業式の日の朝には、生徒たちに「内心の自由」の説明をし、「私は起立できない」と話しました。「さわさんが座るなら、E組はみんな座ろうよ。」と言ってくれたのは、私を3年間一番てこずらせたM君でした。
卒業式後、校長室に呼ばれて校長・副校長・都教委職員2名に囲まれて、不起立の確認をされました。私が退席した後、都教委の職員の一人は「あの人は、たとえ命を奪われても踏み絵を踏まない人ですね。」と言っていたそうです。
ある集会で、私の学校の3年生の保護者が「こどもが『起立しなかった先生がいた。すごいなあ!』と話していた。」と発言していたということを人づてに聞きました。
孫が1年生にいるという方から「前から色々と話の出来る先生はいないのかと思っていました。そんな勇気のある先生がいらしたなら是非紹介してほしいです」というメールが届いたということも聞きました。
10・23通達以前のことを知らない教職員が職場で半数を超え、「日の丸・君が代」問題は教職員の間で確実に風化しつつあります。けれどちゃんと話せばわかってくれる生徒や保護者も確実に存在することに勇気づけられます。
私はこの国を覆いつくそうとする「戦争をする国」にしようとする流れには決して加担したくありません。現職の教員として、これからも平和の種を蒔き続け、この運動のバトンを次の世代へとつないでいきたいと思っています。
川村佐和
「10・23通達」から13回目の卒入学式が終わりました。卒業式で4名の教職員が不起立・不入場によつて処分されました。私もその1人です。「10・23通達」による被処分者はこれで478名に達しました。
卒業式での不起立についての事情聴取で都庁に呼び出されたとき、私の勤務校の校長は、都庁の職員から「まだ不起立する人がいるんですね」と言われたそうです。処分される人数が減ったことだけが強調されがちですが、実は、10・23通達が出されてからずっと今まで卒業式での処分は途絶えたことはありません。今でも「初めて」の方がいるということはすごいことだと思います。
高校の該当者については3月25日に戒告という処分が、特別支援学校の該当者については4月15日に減給10分の1、1ヵ月という処分が発令されました。
特別支援学校の方は不起立10回目ですので、更に処分が加算されるのではないかと危惧されていました。前回と同じ処分にとどまったのは、10・23通達関連裁判が確実に前進して都教委が負け続けていることが背景にあるのだと思います。
今年の卒業式は私が担任をする学年の卒業式でした。私は2004年の入学式で処分されてから10年間担任をさせてもらえませんでした。もう担任にはなれないとあきらめかけていた2013年、私は担任になることができました。これが最後の担任だと思って、私は自分にできる精一杯のことを3年間やってきました。
自分が裁判をしていることも生徒たちに話しました。生徒たちはいつも裁判の状況を気にかけ、応援してくれました。
卒業式の日の朝には、生徒たちに「内心の自由」の説明をし、「私は起立できない」と話しました。「さわさんが座るなら、E組はみんな座ろうよ。」と言ってくれたのは、私を3年間一番てこずらせたM君でした。
卒業式後、校長室に呼ばれて校長・副校長・都教委職員2名に囲まれて、不起立の確認をされました。私が退席した後、都教委の職員の一人は「あの人は、たとえ命を奪われても踏み絵を踏まない人ですね。」と言っていたそうです。
ある集会で、私の学校の3年生の保護者が「こどもが『起立しなかった先生がいた。すごいなあ!』と話していた。」と発言していたということを人づてに聞きました。
孫が1年生にいるという方から「前から色々と話の出来る先生はいないのかと思っていました。そんな勇気のある先生がいらしたなら是非紹介してほしいです」というメールが届いたということも聞きました。
10・23通達以前のことを知らない教職員が職場で半数を超え、「日の丸・君が代」問題は教職員の間で確実に風化しつつあります。けれどちゃんと話せばわかってくれる生徒や保護者も確実に存在することに勇気づけられます。
私はこの国を覆いつくそうとする「戦争をする国」にしようとする流れには決して加担したくありません。現職の教員として、これからも平和の種を蒔き続け、この運動のバトンを次の世代へとつないでいきたいと思っています。
『東京・教育の自由裁判をすすめる会ニュース リベルテ 第43号』(2016年4月23日)
パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2