東京新聞2016年5月12日 夕刊 【ロンドン=小嶋麻友美】
英紙ガーディアン(電子版)は十一日、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの招致に絡み、日本の招致委員会側が当時国際オリンピック委員会(IOC)の委員だったラミン・ディアク国際陸上競技連盟前会長の親族側に約百三十万ユーロ(約一億六千万円)を提供した疑いがあり、フランス検察当局が捜査していると報じた。
東京五輪招致を巡っては、世界反ドーピング機関(WADA)第三者委員会が一月に公表した組織的ドーピングの調査報告書で、日本側が国際陸連に協賛金を支払っていた疑いが浮上。ドーピング問題に絡むディアク前会長らの汚職を捜査している仏当局はその後、東京五輪招致を巡る資金経路についても捜査する方針を明らかにしていた。日本側はこれまで不正な資金提供を否定している。
ガーディアンによると、資金は開催が決まった2013年前後、複数回にわたり、ディアク氏の息子パパマッサタ・ディアク氏に関係するシンガポールの銀行口座に振り込まれた。パパマッサタ氏は当時、国際陸連でマーケティングコンサルタントを務めており、16年、20年の五輪開催地の選考にも関与していたとされる。
WADAの報告書では、20年五輪招致を巡り、イスタンブールが候補地だったトルコ側は四百万ドル(約4億3千万円)から5百万ドルの協賛金を支払わず、ディアク氏の支持を得られなかったのに対し、日本側は支払ったとの関係者の証言が明らかになっていた。
ロイター通信によると、IOCの広報担当者は「疑惑を解明するため、全ての関係者と接触をとり続ける方針だが、調査の詳しい内容については現時点でコメントできない」と話した。
■組織委は否定
英紙の報道について、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は12日、「組織委員会の理解とは全く異なる。IOCにベストな提案をした結果として、招致を獲得したものと確信している」とのコメントを発表した。