東亜建設の営業停止処分検討
羽田工事偽装で国交省
- 2016/5/11
東亜建設工業が羽田空港C滑走路の地盤改良工事でデータを改ざんした問題で、国土交通省が建設業法に基づき同社を営業停止処分にする方向で検討していることが10日、関係者への取材で分かった。同社は計画通りに工事を完了したとする虚偽の報告書を提出しており、国交省は「粗雑な工事で重大な欠点があった」とみている。
国交省によると、地盤改良工事は、大地震で液状化を防ぐため滑走路の地中に薬液を注入するもので、東亜は計画の5.4%分しか薬液を注入していなかった。
建設業法では、請負契約の工事で不誠実な行為があった場合に処分できると規定しており、国交省は7日間以上の営業停止処分を検討している。同省が発注する工事の指名停止も視野に入れているもようだ。
国交省は東亜に対し、薬液などのデータを改ざんした不正の経緯や再発防止策などをまとめ、13日までに報告するよう求めている。
国交省は事実関係を詳細に把握した後、対処する方針。東亜は福岡空港と松山空港でも、羽田空港と同じ工法で施工しており、ほかにも不正が発覚すれば処分まで時間がかかる可能性もある。
東亜は今月6日、羽田空港C滑走路の地盤改良工事で、薬液の注入量を示すモニターの表示を改ざんするなどの偽装行為をしたと発表した。当時の東京支店長で現執行役員常務が施工不良を隠すため改ざんを指示したと明らかにした。
国交省は滑走路の耐性試験を実施し、通常の運用に問題はないことを確認している。ただ、現状では液状化対策が取られておらず、東亜からの報告を待って再工事の方法を検討する。
日本経済新聞