毎日新聞 12月1日(火)12時7分配信

<COP21>海面上昇「我々は崖っ縁」…島しょ国が訴え
     【パリ渡辺諒、賀有勇】国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は11月30日、各国首脳による演説が行われた。地球温暖化による海面上昇の危機に直面するツバルやキリバスなど、太平洋の島しょ国の首脳らは「我々は崖っ縁にいる」などと述べ、温室効果ガスの削減目標に法的拘束力を持たせるよう提案した。COP21では合意文書作成に向け、「拘束力」の中身をどこまで盛り込むかが課題になるが、こうした小国も交渉を前進させる原動力になっている。

 南太平洋の島国ツバルのソポアンガ首相は「気温がこれ以上、上昇すれば、国の完全な最期を意味する。我々はまさに崖っ縁に立っている」と危機的な状況を説明。「国の生き残りは、この会議の行方にかかっている」と述べ、法的拘束力の必要性を強調した。ナウルのワガ大統領も「気候変動で最初の犠牲になるのは小さな島国だ」と訴えた。

 ツバルやマーシャル諸島、フィジーといった太平洋の島国では、温暖化による海面上昇で国土が消失する恐れだけでなく飲み水に海水が混じるなど、生命にかかわる危機に脅かされている。将来的には「気候難民」が相次ぐことも懸念される。こうした国々は、オブザーバーを含め44カ国で「AOSIS」と呼ばれる小島しょ国連合グループを作り、温暖化交渉に臨む。

 議長国フランスやドイツ、中国、ロシアなど主要国首脳も「拘束力のある合意」を訴えたが、中身については各国で思惑が異なる。フランスのファビウス外相は30日、「首脳が協議するために集まってくれたこと自体が一つの成功。世界がパリの合意を期待している」と初日の会議を締めくくったが、12月11日までの会期中に各国がどこまで歩み寄れるかが成否を握りそうだ。