■翁長知事「断じて容認せず」

沖縄県の翁長雄志知事は27日夜、那覇市内で記者会見し、政府が米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)移設先の名護市辺野古埋め立てを知事に代わって承認する「代執行」を決めたことについて、「政府の最後通告だ。不当なのはもちろん、多くの県民の思いを踏みにじるもので、断じて容認できない」と述べた。(時事通信)
   

米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設で、政府が翁長雄志知事による辺野古埋め立て承認取り消しの効力を停止したことを受け、辺野古に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前で抗議する市民ら=27日午後(時事通信)


■政府、「代執行」で決着図る=辺野古移設、深まる対立

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、政府は27日、翁長雄志知事に代わって国が埋め立てを承認する「代執行」に踏み切ることを決めた。
 司法判断を仰ぎ、県の対抗手段を封じるのが狙いだ。ただ、政府が強制手段も辞さない姿勢を示したことで、沖縄側との対立が一層深刻化するのは必至だ。

  「仲井真弘多前知事から正式に埋め立て承認を受けた。(承認手続きに)全く瑕疵(かし)はない」。菅義偉官房長官は27日の記者会見で、辺野古移設を推進する政府の正当性を強調。翁長知事による承認取り消しを批判した。
 政府は28日に、取り消し処分の是正を「勧告」する文書を県に送付する。県が拒否するのは確実で、政府は次の段階として、是正を「指示」する文書を送付。これも拒否されれば、県に対する職務執行命令を求め、高等裁判所に提訴する方針だ。
 政府は1995年にも、大田昌秀知事(当時)が米軍用地の強制使用に必要な代理署名手続きを拒否したことを受け、橋本龍太郎首相(同)が代理署名を代執行した。この時は、政府が勧告してから約半年後に高裁で県が敗訴、代執行に至った。
 強権的ともいえる対応の一方で、政府は基地負担軽減に取り組む姿勢もアピールし始めた。辺野古移設を条件付きで容認する名護市の3地区に対して26日、地域振興関連費を県、市の頭越しに直接支出する異例の措置を表明。29、30日には菅長官が米領グアムを訪れ、在沖縄米海兵隊の移転予定地を視察する。

  27日は代執行と並行して、石井啓一国土交通相が県の承認取り消しの執行停止を決めた。これに対し、県は近く国地方係争処理委員会に不服審査を申し立てる方針。同委員会は第三者機関のため、政府に不利な判断が下される可能性もある。政府が代執行を急ぐ背景には、不測の事態を避ける狙いもありそうだ。 

時事通信 10月27日(火)19時6分配信