■スポーツ報知 10月14日(水)22時4分配信
横浜の大型マンション傾く、「ずっと無視され続けた」住民の不満噴出
横浜市都筑区の大型マンションで、施工不良から建物が傾き、国土交通省や横浜市が建築基準法違反の疑いもあるとみて本格的な調査に乗り出した問題について、14日、マンション管理組合の理事という男性が、事業主の三井不動産レジデンシャルに対し「昨年から指摘しているのに、ずっと無視され続けた」と批判した。
男性は昨年9月ごろ、傾いた11階建てのマンションの棟の廊下の手すりが、渡り廊下でつながる別棟の手すりより約2センチ、床が約1・5センチ低くなっていることを知った。「昨年からずっと指摘していたが、初めは『東日本大震災の影響だ』とはね付けられ、施行記録も見せてもらえなかった」と三井不動産側の対応を明らかにした。何度も訴えたところ、今年2月になって、同社はようやくボーリング調査が開始。基礎工事で打ち込むくい8本が、地盤の強固な支持層に約3メートル達していなかったことが判明した。
男性は「個人的には、昨年の時点でマスコミにすべて話したかった。誠意ある回答がないことに憤りを感じる」と厳しい表情。「震度7にも耐えられるというが、本当に安全なのか」と疑いは消えない様子だった。
一方、傾いた棟の1階に住む男性(81)は、約1か月前から玄関の扉が閉まりにくくなった。「部屋を貸して生計を立てている人もいる。他の3つの棟への風評被害が心配。ちゃんと補償してくれるのか」と不安そうに話した。男性が参加した13日の住民説明会には、約80人の住民が集まった。出席した三井不動産側の常務取締役が「元に戻すためには、1、2年かかる」と説明すると、住民からは「全力あげて直せ」と怒号にも似た声が飛び交ったという。
JR鴨居駅から徒歩10分。男性は「ららポート横浜」に隣接したマンションの利便性を考えて新築で購入したという。「8年後にこんなことが発覚すると思わなかった」と残念そうに話した。
三井不動産側は「お客さまに対しては誠意を持って対応する」(広報担当者)としている。
男性は昨年9月ごろ、傾いた11階建てのマンションの棟の廊下の手すりが、渡り廊下でつながる別棟の手すりより約2センチ、床が約1・5センチ低くなっていることを知った。「昨年からずっと指摘していたが、初めは『東日本大震災の影響だ』とはね付けられ、施行記録も見せてもらえなかった」と三井不動産側の対応を明らかにした。何度も訴えたところ、今年2月になって、同社はようやくボーリング調査が開始。基礎工事で打ち込むくい8本が、地盤の強固な支持層に約3メートル達していなかったことが判明した。
男性は「個人的には、昨年の時点でマスコミにすべて話したかった。誠意ある回答がないことに憤りを感じる」と厳しい表情。「震度7にも耐えられるというが、本当に安全なのか」と疑いは消えない様子だった。
一方、傾いた棟の1階に住む男性(81)は、約1か月前から玄関の扉が閉まりにくくなった。「部屋を貸して生計を立てている人もいる。他の3つの棟への風評被害が心配。ちゃんと補償してくれるのか」と不安そうに話した。男性が参加した13日の住民説明会には、約80人の住民が集まった。出席した三井不動産側の常務取締役が「元に戻すためには、1、2年かかる」と説明すると、住民からは「全力あげて直せ」と怒号にも似た声が飛び交ったという。
JR鴨居駅から徒歩10分。男性は「ららポート横浜」に隣接したマンションの利便性を考えて新築で購入したという。「8年後にこんなことが発覚すると思わなかった」と残念そうに話した。
三井不動産側は「お客さまに対しては誠意を持って対応する」(広報担当者)としている。
■毎日新聞 10月14日(水)21時30分配信
<施工不良マンション>「知ってたら買わなかった」住民怒り
「なぜ早く知らせなかった」「資産価値が下がるのでは」。施工不良が発覚した横浜市都筑区の大型マンション。多くの住民は施工不良の事実を知らず、突然の説明に、怒りと不安を募らせている。
「知っていたら絶対に買わなかった」。昨年12月に契約、入居した32歳の主婦は憤る。今月10日の住民説明会で、昨年11月には管理組合が三井不動産レジデンシャルに連絡し、既に同社が現地確認していたことを知らされたからだ。主婦は、入居時からボーリング調査の通知が頻繁に投げ込まれていたことを不思議に思っていたという。
主婦は夫と子供の4人家族。住居は傾いた棟ではないが、「今後の調査で施工不良が見つかるのではないか」「不良がなくても風評被害は避けられない」と不安ばかりがよぎる。だが、主婦によると、三井側は住民説明会で「是正工事を行えば風評被害はないものと考えられ、資産価値への影響はゼロ。慰謝料にも該当しない」と話したという。
ローンは30年。「何千万も大損をするのではと思うと夜も眠れない」。主婦は一昨年に生まれた次女をあやしながら肩を落とした。
一方、ある住民男性は昨年9月に、マンションの棟と棟をつなぐ廊下の手すりにずれを見つけ、同社に連絡したが、「東日本大震災の影響で問題はない」と回答。男性が今年、理事会を通じて施工記録を要求すると、支持層に杭(くい)が届いていないとの報告があったという。9日の住民説明会に出席した男性は「具体的な補償の話が出ず、不安感が大きい」と話した。
傾いた棟の1階に6年前から住む男性(81)は「1カ月ほど前に玄関のドアがきしんで開きにくくなり、異変に気づいた。住民説明会では『解決に1~2年かかる』と言われ、その間に資産価値が下がってしまうかも」と表情を曇らせた。
住民説明会の案内文には「施工不良」の文言などがなかった。このため、深刻なものではないと考えて参加せず、14日の報道で事態を知った住民も少なくないという。
「知っていたら絶対に買わなかった」。昨年12月に契約、入居した32歳の主婦は憤る。今月10日の住民説明会で、昨年11月には管理組合が三井不動産レジデンシャルに連絡し、既に同社が現地確認していたことを知らされたからだ。主婦は、入居時からボーリング調査の通知が頻繁に投げ込まれていたことを不思議に思っていたという。
主婦は夫と子供の4人家族。住居は傾いた棟ではないが、「今後の調査で施工不良が見つかるのではないか」「不良がなくても風評被害は避けられない」と不安ばかりがよぎる。だが、主婦によると、三井側は住民説明会で「是正工事を行えば風評被害はないものと考えられ、資産価値への影響はゼロ。慰謝料にも該当しない」と話したという。
ローンは30年。「何千万も大損をするのではと思うと夜も眠れない」。主婦は一昨年に生まれた次女をあやしながら肩を落とした。
一方、ある住民男性は昨年9月に、マンションの棟と棟をつなぐ廊下の手すりにずれを見つけ、同社に連絡したが、「東日本大震災の影響で問題はない」と回答。男性が今年、理事会を通じて施工記録を要求すると、支持層に杭(くい)が届いていないとの報告があったという。9日の住民説明会に出席した男性は「具体的な補償の話が出ず、不安感が大きい」と話した。
傾いた棟の1階に6年前から住む男性(81)は「1カ月ほど前に玄関のドアがきしんで開きにくくなり、異変に気づいた。住民説明会では『解決に1~2年かかる』と言われ、その間に資産価値が下がってしまうかも」と表情を曇らせた。
住民説明会の案内文には「施工不良」の文言などがなかった。このため、深刻なものではないと考えて参加せず、14日の報道で事態を知った住民も少なくないという。
【高橋隆輔、国本愛】
■毎日新聞 2015年10月14日
施工不良マンション:虚偽データで基礎工事 横浜
http://img.mainichi.jp/mainichi.jp/select/images/20151015k0000m040102000p_size7.jpg
偽造データに基づく工事で傾いた状態になっているマンションの棟をつなぐ接続箇所。ウエストコートの手すり部分(左)がセンターコートの手すり部分(右)より2センチ落ちていたという=宮間俊樹撮影
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三井不動産グループが2006年に販売を始めた横浜市都筑区の大型マンションで、施工した三井住友建設が一部で基礎工事の地盤調査を実施せず、虚偽データに基づいて工事をしたことが判明し、横浜市と国土交通省が建築基準法違反の疑いもあるとして調査を始めた。
問題の物件はJR鴨居駅に近く、大型商業施設に隣接する最高で12階建てのマンション4棟(計約700世帯)のうちの1棟。複数の杭(くい)が強固な地盤に届いておらず、建物が傾いている。住民の相談を受けた市建築局が8月に確認したところ、棟と棟をつなぐ上階の廊下の手すりに2センチの段差が生じ、床にも1.5センチのズレがあった。
事業主の三井不動産レジデンシャルの調査では、傾いた棟にある52本中28本の杭を調べた結果、6本が地盤の強固な「支持層」に到達しておらず、2本は長さ不足と判明。三井住友建設の調査では、地盤調査を実施したように見せかける虚偽のデータが用いられていたことも分かった。同法の施行令は、一定規模以上の建築物を支える杭の先端が支持層に達していなければならないと規定している。
市によると、偽造データの使用そのものは同法に抵触せず、杭が支持層に達していなくても安全が確保できていれば違法ではない。市は杭が支持層に届くよう指導する方針という。また、国交省の担当者は「原因究明が最優先で、その結果によっては他の建物への調査が必要になるかもしれない」と説明する。
横浜市内のマンションを巡っては昨年6月にも西区で建物が傾く問題が起きた。建築主が住友不動産、設計と施工が熊谷組の11階建て分譲マンション(65戸)で、杭の一部が支持層まで届いていないことが住民の入居後に発覚。住友不動産は住民に仮転居を呼びかけるとともに、建て替えや買い取りの方針を示した。
【水戸健一、坂口雄亮】
■毎日新聞 2015年10月14日 18時50分(最終更新 10月14日 22時31分)
東証:三井住友建設がストップ安…マンション施工不良問題
http://img.mainichi.jp/mainichi.jp/select/images/20151015k0000m040117000p_size7.jpg
偽造データに基づく工事で傾いた状態になっているマンションの棟をつなぐ接続箇所=横浜市都筑区で2015年10月14日、宮間俊樹撮影
14日の東京株式市場で三井住友建設の株価が急落し、値幅制限いっぱいまで売られるストップ安で取引を終えた。終値は前日比50円安の109円で下落率は31.4%に達した。横浜市の大型マンションが施工不良で傾いた問題を嫌気する売り注文が殺到し、年初来安値を更新した。
三井住友建設株は13日までは小幅な値動きだったが、14日は取引開始直後から売りが優勢で、午後にストップ安をつけた。
岡三証券の石黒英之日本株式戦略グループ長は「三井住友建設が施工した他の建物にも問題が波及するのではないかと警戒され、事業の先行き不透明感が高まった」と話した。(共同)
■毎日新聞 2015年10月14日 22時45分(最終更新 10月14日 22時52分)
施工不良マンション:「やっぱり傾いていた」住民不安
http://img.mainichi.jp/mainichi.jp/select/images/20151015k0000m040119000p_size6.jpg
偽造データの基礎工事が発覚したマンション前に集まった報道陣=横浜市都筑区で2015年10月14日午後6時4分、宮間俊樹撮影
「やっぱり傾いていた」「業者には誠意ある対応をしてほしい」。三井不動産グループが販売を手掛けたマンションが傾いていることが分かった問題で、住民からは憤りや不安の声が相次いだ。
問題が発生した棟に8年前から両親と同居しているという30代の女性は、以前から玄関のドアが開閉しづらいと感じていた。今回、傾いていることが分かり「やっぱりそうだったか」と思ったという。
三井不動産は9日から説明会を開いているが、住民全員が参加しているとは思えない規模という。女性は「他の住民の希望が分からないのでどう対処していいのか。建て替えるにしても一時的な引っ越しが必要になるので、三井不動産とは対立しないで解決を図りたい」と話した。
また、昨年9月にマンションの棟と棟とをつなぐ廊下の手すりがずれていることに気付いた60代とみられる男性は、三井不動産側の対応の遅さに憤る。
男性は建築関係の仕事に就いていた経験があり、手すりのずれを見て「欠陥マンション」だと直感した。すぐに三井不動産に伝えたが、「東日本大震災の影響で問題はない」との回答があった。建物を支える杭(くい)が固い地盤の「支持層」まで届いていなかったとの報告があったのは今年になってからで、「誠意ある対応をしてほしい」と不信感をあらわにする。
男性は「私たちのような年金受給者はまだいいが、若い世代は夢を抱いてこのマンションを買ったと思う。しかりとした説明をしてほしい」と話した。
問題発覚を受け、このマンションを施工した三井住友建設は「施工会社の責任を痛感し、所有者や居住者に深くおわび申し上げます。杭工事を担当した下請け業者がデータを転用・加筆したという事実が確認されており、調査を進めています」との内容のコメントを発表した。
【国本愛、水戸健一】