虚偽データで基礎工事、大型マンション傾く 
三井不動産レジデンシャル      
  

   三井不動産グループが2006年に販売を始めた横浜市都筑区の大型マンションで、施工会社の三井住友建設側が基礎工事の際に地盤調査を一部で実施せず、虚偽データに基づいて工事をしていたことが13日分かった。複数の杭(くい)が強固な地盤に届いておらず、建物が傾く事態となっている。国土交通省は両社に因果関係を含めた調査を指示するとともに、横浜市と建築基準法違反の疑いで調査に乗り出す。

■日本経済新聞 電子版 2015/10/14 2:00


 日経電子版記事の続き 10月14日朝刊 

 建築基準法違反の疑い

 問題となっているマンションは、JR駅近くの大型商業施設に隣接して建設された最高12階建ての4棟700世帯超の大型物件。
 建物の傾きが確認されたのはこのうち1棟。建物の全長56メートルに対し、両端で最大2.4cmの差が生じている。14年11月、住民らが廊下の手すり部分の高さに差があるのに気付いたという。
 住民側の指摘を受け、三井不動産レジデンシャルと三井住友建設が調査を開始。傾いたマンションの計52本の杭のうち28本の調査を終えた時点で、6本の杭が地盤の強固な「支持層」に到達しておらず、2本も打ちこまれた長さが不十分であることが判明した。傾きの原因の可能性がある。
 支持層の深さは施工時にドリルで実際に土を掘削し、抵抗値で判断するのが一般的だ。しかし、両社が施工記録を点検したところ、問題の8本の杭のすべてで調査が行われず、虚偽データーが使われていたことが分かった。

 同様の虚偽データーは4棟のマンションの計473本の杭のうち、傾いた建物で10本、他の建物で28本が確認された。他の場所のデーターをコピーし、加筆していた資料もあったという。
 両社は4棟のすべての杭について地盤調査を実施するほか、第三者機関を入れて構造の安全性を検証する方針だ。

 三井不動産レジデンシャルは住民への説明会を始めており「あってはならないことで申し訳ない」と陳謝。施工不良は八本という前提で構造計算をし直した結果[緊急を要する危険性はない]と説明している。
 一方横浜市は「住民の安全確保のため、検証を早急にすべきだ」と求めている。
 国交渉は今月、両社に原因究明するよう指示。
同省と横浜市は杭が支持層に達していないのは建築基準法に違反する疑いがあるとして本格調査を始める。国交省の担当者は「(基礎工事時のデーター改ざんは)聞いたことがない。建物の安全性も含めきちんとした調査を求める」と話している。

 杭の施工不良によるマンションの傾きは、一四年にも横浜市西区で発覚し、販売した住友不動産が住民に一次転居を要請する事態となった。同市は住友不動産と施行した熊谷組などに対し、建築基準法に違反するとして行政指導した。

 三井不動産レジデンシャルの話 事実関係を含めて一切コメントできない。


 管理人メモ: 
 今回の事件のマンションは、横浜市都筑区「パークシティLaLa横浜」です。
 

■毎日新聞 10月14日(水)

<虚偽データ施工>横浜の大型マンション1棟傾いた状態


 三井不動産グループが2006年に販売を始めた横浜市都筑区の大型マンションで、施工した三井住友建設側が基礎工事の際に一部で地盤調査をせず、虚偽データを使って工事をしていたことが14日、横浜市への取材で分かった。複数の杭(くい)が強固な地盤に届いておらず、建物が傾いた状態になっている。市や国土交通省は事業主の三井不動産レジデンシャルに原因の究明を求め、建築基準法違反の疑いもあるとして調査を始めた。

 市によると、問題の物件はJR鴨居駅に近く、大型商業施設に隣接する最高で12階建てのマンション4棟(計約700世帯)のうちの1棟。住民の相談を受けた市建築局が8月に確認したところ、この棟と他の棟をつなぐ上階の廊下の手すりに2センチの段差が生じていた。床も1・5センチのズレがあった。

 三井不動産レジデンシャルが、傾いた棟にある計52本の杭を調べたところ、28本を調べ終えた時点で6本が地盤の強固な「支持層」に到達しておらず、他に2本は長さに不足があると判明した。

 また施工主の三井住友建設の社内調査で、地盤調査を行ったように装う虚偽のデータを用意していたことも分かった。他の場所のデータをコピーし、加筆した形跡があった。同社から市に対し、虚偽データがこの4棟にある計38本の杭で確認できたという報告もあったという。

 三井不動産レジデンシャルは傾いた棟の構造計算をし直した結果「震度6強の地震に対する安全性をクリアした」と市に報告。しかし市建築局は「第三者によるチェックを求めたい」としている。

 建築基準法の施行令は、一定規模以上の建築物を支える杭の先端が支持層に達していなければならないと規定する。

【水戸健一、坂口雄亮】


■産経新聞 10月14日(水)

横浜のマンション傾く… 建築基準法違反の疑い 三井不動産が販売
   

 三井不動産などが販売した横浜市内の大型マンションで、建設時に必要な地盤調査の一部をせずに別のデータを転用するなどして基礎工事を行った可能性があることが14日、分かった。マンションが傾く事態となっており、国土交通省は販売元の三井不動産レジデンシャルと施工主の三井住友建設に原因究明を指示した。建築基準法違反の疑いがあるとみて、横浜市とともに調査を始める。

 国交省によると、問題のマンションは平成18年に販売を開始した横浜市都筑区内の4棟で最高12階建て。大型商業施設に隣接し、計700戸以上を擁する。4棟のうちの1棟が傾いていることに気づいた住民側の指摘を受け、三井不動産レジデンシャルと三井住友建設が調査を開始した。約50本のくいのうち計8本のくいが強固な地盤まで届いていないことなどが判明した。建物の傾きとの関連性を調べている。

 両社が施工記録を確認した結果、問題のくいを含め10本の部分の地盤調査が行われておらず、別のデータの転用や加筆があったことが分かった。他の棟でも28本について同様のデータが使われていることも確認された。

 国交省は今月6日、両社に原因究明を指示。建築基準法違反の疑いがあるとみて、横浜市とともに調査を始める方針だ。

 三井不動産レジデンシャルはすでに国交省と横浜市に報告、住民に説明を始めている。同社と三井住友建設は「事実関係も含め答えられない」としている。