バングラデシュ射殺 ついに現実となった「日本人標的」の衝撃
バングラデシュで、「イスラム国(IS)」を名乗る組織が日本人を銃殺した事件は衝撃だ。殺害理由は恨みや盗み目的ではない。「日本人」だったからだ。安倍首相が1月にカイロで「ISと戦う」と演説した“宣戦布告”によって、いよいよ日本人だから「テロの標的」にされることが現実となったのだ。
現地の報道などによると、バングラデシュ北西部のランプル地区で3日、星邦男さん(66)が三輪自転車タクシーに乗っていたところ、突然、バイクに乗った3人組の武装集団に銃撃された。星さんは病院に搬送されたものの、死亡が確認された。武装集団は9月28日にダッカでイタリア人男性を銃殺した組織と同一とみられ、欧米や日本の大使館が警戒を呼び掛けていたところだった。
8月に入国し、現地で農業技術の指導などに携わっていた星さん。途上国支援のために尽力していたのに銃殺されるとは想像すらしていなかっただろう。許せない話だが、ハッキリしたのはISなどのテロ集団にとって、もはや「日本人」は敵としか映っていないことだ。ISが「日本人標的」を公言している以上、バングラデシュに限らず、イスラム教徒が多い地域で同様の襲撃事件が起きる可能性は高い。
現地の報道などによると、バングラデシュ北西部のランプル地区で3日、星邦男さん(66)が三輪自転車タクシーに乗っていたところ、突然、バイクに乗った3人組の武装集団に銃撃された。星さんは病院に搬送されたものの、死亡が確認された。武装集団は9月28日にダッカでイタリア人男性を銃殺した組織と同一とみられ、欧米や日本の大使館が警戒を呼び掛けていたところだった。
8月に入国し、現地で農業技術の指導などに携わっていた星さん。途上国支援のために尽力していたのに銃殺されるとは想像すらしていなかっただろう。許せない話だが、ハッキリしたのはISなどのテロ集団にとって、もはや「日本人」は敵としか映っていないことだ。ISが「日本人標的」を公言している以上、バングラデシュに限らず、イスラム教徒が多い地域で同様の襲撃事件が起きる可能性は高い。
「公安調査庁の報告書によると、東南アジアでは、すでにイスラム国家樹立を目指してインドネシアで活動中の武装集団『ジェマー・イスラミア(JI)』がいます。戦闘員は把握されているだけで約900人。さらに近く、収監中の幹部約200人が刑期を終えて続々と出所してくる予定です。ISの思想に感化されたら暴走は確実です」(外交ジャーナリスト)
東南アジアを訪れる日本人観光客は夏休み期間だけで30万~40万人にも上る。標的となった日本人が今後、あちこちでIS戦闘員らに襲われるかもしれない。集団的自衛権の行使を容認した安倍政権が、ここぞとばかり、対ISの有志連合に自衛隊を派遣して掃討作戦に参加する――と言い出すだろうが、そうなれば泥沼化は必至だ。
軍事ジャーナリストの神浦元彰氏はこう言う。
「米ロによるシリアのIS掃討作戦によって戦闘員が今、国外にどんどん逃げ出しています。彼らが向かう先は南アジアや東南アジアなどで、今後、そういった地で元戦闘員が襲撃事件を起こす可能性があります。当然、彼らにとって“敵”である日本人が狙われることになります」
安倍首相の愚かな“宣戦布告”で一体、何人の日本人犠牲者が出るのか。
東南アジアを訪れる日本人観光客は夏休み期間だけで30万~40万人にも上る。標的となった日本人が今後、あちこちでIS戦闘員らに襲われるかもしれない。集団的自衛権の行使を容認した安倍政権が、ここぞとばかり、対ISの有志連合に自衛隊を派遣して掃討作戦に参加する――と言い出すだろうが、そうなれば泥沼化は必至だ。
軍事ジャーナリストの神浦元彰氏はこう言う。
「米ロによるシリアのIS掃討作戦によって戦闘員が今、国外にどんどん逃げ出しています。彼らが向かう先は南アジアや東南アジアなどで、今後、そういった地で元戦闘員が襲撃事件を起こす可能性があります。当然、彼らにとって“敵”である日本人が狙われることになります」
安倍首相の愚かな“宣戦布告”で一体、何人の日本人犠牲者が出るのか。
日刊ゲンダイ 2015年10月5日
■IS「戦闘員がバングラ邦人殺害」 ネットニュースで
過激派組織「イスラム国」(IS)が運営するラジオ局アルバヤンは4日に流したネットニュースで、バングラデシュで日本人の星邦男さん(66)が殺害された事件について、「ISの戦闘員が、日本人の背教者を注意深く調査した後に殺した」と伝えた。
ニュースでは、冒頭に男性アナウンサーが、星さんの殺害事件を短く伝え、ISの活動など別のニュースを読んだ。その後、再び殺害事件について「バングラデシュの戦闘員による作戦で、ISに敵対する十字軍同盟の市民を狙った」などと約20秒間伝えた。
アルバヤンはISが支配するイラク北部モスルに拠点があるとされる。ニュースを報じたことで、事件直後に出たISのバングラデシュ支部を名乗る犯行声明をISが正式に認めた形だ。ただ、実行グループに直接指示するなどISの関与があったかどうかは不明だ。
朝日新聞 2015年10月5日21時55分(カイロ=翁長忠雄)
■IS名乗る声明、現地邦人ら動揺 バングラデシュ殺害
バングラデシュでの日本人男性殺害事件で、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)のバングラデシュ支部を名乗る犯行声明が3日、インターネット上に出た。真偽は不明で、地元警察は「あらゆる可能性を考えて捜査している」としている。日本人が過激派の標的になった可能性が浮上したことに、現地の邦人社会では動揺が広がっている。
殺害されたのは、星邦男さん(66)。警察によると、首都ダッカから約300キロ離れた北西部ロングプールで牧草の栽培など農業関係の活動をしていた。3日朝に自転車三輪タクシーで移動中、オートバイに乗った複数の男に撃たれた。2011年から同国に渡航を繰り返し、直近では今年8月下旬に入国したことが確認されている。
声明はアラビア語で「ISに対抗する十字軍連合国の国民を殺害した。イスラムの国には十字軍連合国民の命も安全もない」としている。9月28日にはダッカで援助団体のイタリア人男性が殺され、ISを名乗る似た内容の声明が出ていた。
在バングラデシュ日本大使館などによると、同国の在留邦人は約1千人。縫製業を中心に日系企業232社が進出している。大使館は事件後、邦人に注意を呼びかけるメールを送った。
日本貿易振興機構(JETRO)ダッカ事務所の河野敬所長は「対日感情が良好で、これまで日本人を狙った犯罪はほとんどなかった。ショックだ」と語る。「(進出企業は)夜間の外出を控え、流しの自転車タクシーに乗らないといった対策を取っているが、はっきりした情報がなく不安の声もある。出張を自粛する動きも出ている」という。
青年海外協力隊員68人や職員、その家族ら計約120人を抱える国際協力機構(JICA)バングラデシュ事務所は4日、協力隊員らに出勤や外出をやめて自宅待機するよう伝えた。ロングプール県にも4人の隊員がいるという。(ニューデリー=貫洞欣寛)
■「なぜ殺されることに」親族困惑
「国内で起きた事件ではないし、実際に本人を見ていないから実感が湧かない」。東北地方に住む星さんの親族の男性は困惑した表情で語った。
この親族の男性によると、星さんは岩手県雫石町で農畜産業を営む家に生まれ育った。地元の高校を卒業後に両親の手伝いを始め、約30年前に父親の死を契機に地元を離れ、それからは埼玉県内で農業関係の仕事に就いていたという。
この男性はバングラデシュ行きは知らなかったといい、「農業の仕事で現地に行ったのだろうが、なぜISを名乗る人に殺されるようなことになったのか。捜査を待ちたい」と話した。
また、小学校から高校までの同級生で、雫石町に住む男性(66)は「テレビや新聞を見て邦男だったからびっくりした」。報道で知った同級生らで連絡を取り合ったという。昨年11月に町内で開いた中学校の同級会で会ったのが最後だったという。「埼玉で農業の仕事をしている話は聞いたが、外国に行くなんて言ってなかった」と話した。(松本龍三郎)
2015年10月4日20時31分 朝日新聞
2015年10月4日20時31分 朝日新聞