毎日新聞 2015年08月26日 

 文科省:妊娠副教材で誤った数値掲載

 文部科学省が高校生向けに作製した保健教育の副教材で、妊娠のしやすさと年齢の関係を示すグラフについて、加齢による妊娠しやすさの低下が、引用元として明記された論文よりも急激に落ち込む、誤った数値で掲載していたことが25日分かった。既に全国の高校への送付が始まっており、同省は訂正した別紙を送付するなどして対応する方針。
 副教材は「健康な生活を送るために」(A4判45ページ)。同グラフは、2006年作製の初版以来初めて盛り込んだ目玉のひとつ。有村治子少子化担当相の「医学的、科学的に正しい知識を学校教育で伝えたい」との強い意向を受けて、内閣府が同省と連携して内容を検討していた。
 副教材のグラフには「医学的に女性にとって妊娠に適した時期は20代。一般に40歳を過ぎると妊娠は難しくなる」などの解説がつく。ピークの22歳を1として妊娠のしやすさを年齢ごとに比較。副教材の方は、ピークを過ぎると徐々に低下し、25歳を過ぎると、急激に妊娠が難しくなるようにみえる。30歳では0.6程度に落ち込んでいた。
 しかし、引用元の論文では、25歳過ぎまではほぼ横ばいで、30歳でもピークの0.8を超えていた
 グラフの資料は、内閣府の結婚・子育て支援検討会の座長を務めた、吉村泰典・元日本産科婦人科学会理事長が、内閣府を通じて文科省に提出した。吉村氏は「誰が作製したのか分からないが、産婦人科では長年広く使われてきたグラフだったので誤りに気づかなかった。確かに誤りがあり遺憾だ」と話した。両府省は「チェックがおろそかだった」と釈明した。【山田泰蔵】

   


    毎日新聞 2015年08月21日 12時10分(最終更新 08月21日 13時24分)

 文科省:妊娠しやすさと年齢、副教材に 高校生向けに作製
  
 文部科学省は妊娠のしやすさと年齢の関係や、不妊に関する内容を初めて盛り込んだ高校生向け保健教育の副教材を作製した。少子化対策を担当する内閣府と連携して作製した。21日の閣議後会見で有村治子女性活躍担当相が発表した。8月下旬から全国の公・私立高校に配布する。

 副教材は心の健康や喫煙・飲酒・薬物乱用、感染症など健康に関する問題について解説や資料が掲載されたもので、題は「健康な生活を送るために」。A4判45ページ中、家族計画や妊娠・出産について4ページを割いた。

 22歳をピークに女性の妊娠のしやすさが低下することを表すグラフを使い、「女性にとって妊娠に適した時期は20代。40歳を過ぎると妊娠は難しくなる」と解説。また、男性についても「年齢が高くなると精子の数や運動性が下がる」とした。不妊治療が近年増加していることや男女ともに不妊の原因になることなども記述した。教材を使用するかどうかは、各学校の判断に任される。

 有村氏は「男女ともに医学的、科学的に正しい知識を得て、安全で健やかな将来設計を考えていただければありがたい」と述べた。【山田泰蔵】