◎ 「全国ネットワーク」結成宣言
2003年3月20日、イラクへの激しい空爆を花火のように眺める映像が日本のテレビに映し出されました。小泉首相はアメリカ軍によるイラク侵攻を無条件で支持しました。空爆の下でおびただしい数のイラクの市民が殺され、やがて、地上部隊の侵攻によって多数の市民と子どもたちの命が奪われ、教育も医療もずたずたにされた現実が誰の目にも明らかになりました。それでも、日本政府は、イラクに自衛隊を送り込みアメリカに協力する法律を成立させました。あからさまな侵略戦争の事実とそれを支持し参加したことへの無批判の連鎖が、中東と世界の混乱の源泉となり、安倍政権による実質改憲と戦争法の強行につながっています。
今年7月16日、安倍政権は日本がアメリカとともに戦争をする国となる法律を衆院で強行可決しました。しかし、イラク特措法のときとは比べものにならないほど多数の市民が、連日、国会周辺に駆けつけています。
全国各地に反対行動が広がっています。若い世代が「私たちは戦争にいかない」と安倍戦争法を絶対許さないとアピールしています。自公連立政権の絶対多数の下で、戦争法を運動の力で押し返せる可能性が高まっています。
私たちは、第2次安倍政権の発足以降、安倍政権による教育破壊政策と闘う以下の3本の柱で取り組む全国各地の闘いの連帯を呼びかけながら、この全国ネットを準備してきました。そして、いま、戦争法に反対する運動の大きなうねりの中で、敗戦70年という節目を迎える2015年8月に、「許すな!『日の丸・君が代』強制、止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク」を発足させることにしました。
3本の柱の第1は、「日の丸・君が代」の強制と処分に反対する闘いです。「職務命令」と「懲戒処分」で教職員に「日の丸」に正対し、起立して「君が代」を斉唱することを強制した東京の「10・23通達」をはじめ、大阪の2条例(学校に「日の丸・君が代」強制する条例と不起立3回で免職を規定した「職員基本条例」)など教職員に対する厳罰化の管理制度の撤回を要求する闘い、被処分者に対する「再発防止研修」を名目とする「思想改造」の中止を要求する闘い、大学への「日の丸・君が代」強制に反対する闘いの全国連帯です。
第2は、憲法改悪と戦争する国家づくり、若者を戦場に送り込むことを目的とする安倍政権による「教育再生」=政治支配と教育への介入と破壊に反対する闘いです。政権の意向に従わせる教科書検定制度、戦争と天皇を賛美する育鵬社等「つくる会」系の教科書を子どもたちに押しつけようとする攻撃、「道徳」の教科化、教育現場の職務命令体制と教員支配のための人事評価制度、授業内容に及ぶ政治の介入に反対する全国連帯です。
第3は、教育現場での人権侵害を許さず、安倍政権による海外派兵と改憲政策に反対し、平和と民主主義の教育を破壊しようとする動きに反対する取り組みです。教育行政による介入、「体験入隊」など子どものたちへの自衛隊の浸透をはかる教育、「愛国心」教育、新自由主義的な差別・選別の教育に反対する全国連帯です。
「日の丸・君が代」強制と戦争法案および改憲は、安倍政権の中でひとつにつながっています。政権による教育支配なしに、海外に出て行く戦争は絶対に成り立たないからです。
イラク侵攻開始と同じ日、文科省の諮問を受けた中教審は、「新しい時代の教育基本法」構想を発表し、日本の戦後教育のあり方を根本から転換すべだと答申しました。キーワードは、「心豊かでたくましい日本人の育成」、「公共の精神、道徳心、自律心」、「日本の伝統・文化の尊重」「郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識」です。改悪された教育基本法の「教育の目標」は、平和を希求する人格の完成を目指す教育を否定し、「愛国心」「日本人の育成」「公共の精神」「国際貢献」という言葉をつなぎあわせた人格、すなわち、国家のために自身を犠牲にすることをいとわない「新皇民」を育てることに他なりません。
東京都教委は、都立学校の入学式や卒業式などにおける国旗掲揚・国歌斉唱を職務命令によって教職員に強制し、従わない教職員を処罰するという10・23通達以降、のべ474名の教職員に戒告から停職6ヶ月に及ぶ過酷な処分を強制し、定年後の再雇用も拒否しました。大阪府教委は、2011年の「日の丸・君が代強制条例」以降、延べ58名の教職員に戒告・減給・再任用拒否の処分を強制しました。処分は、北海道、新潟、広島、福岡等全国で強行されました。
しかし、これらを押し返す闘いも全国で取り組まれ、連帯が広がりました。東京では、この5月、「君が代」処分を理由とした再任用での採用拒否撤回(東京地裁)と根津公子さんに対する6ヶ月停職処分の撤回を訴えた裁判(東京高裁)で、原告勝利の画期的な判決が勝ち取られました。橋下大阪市長は、民衆の運動の力の結集によって都構想住民投票で敗北し、政界からの引退を表明しました。
流れは変わりつつあります。
戦争は教室から始まる。
「許すな!『日の丸・君が代』強制 止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク」は、ここに結成を宣言します。
私たちは、戦争法に反対する運動の大きなうねりと連帯し、安倍政権の戦争・改憲政策と闘い、学校を介してつながる教職員、生徒、保護者、市民の全国的な連携をめざして取り組みを開始します。「アベ政治を許さない!」、ふたたび若者を戦争に駆り立てる国家主義の教育に反対して、「全国ネット」は断固闘います。
2015年8月1日
「許すな!『日の丸・君が代』強制、
止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク」
(略称:ひのきみ全国ネット)
止めよう!安倍政権の改憲・教育破壊 全国ネットワーク」
(略称:ひのきみ全国ネット)
パワー・トゥ・ザ・ピープル!! パート2