河北新報 2015年06月14日

<内陸地震7年>山麓 深い傷今も


 岩手・宮城内陸地震で震度6強を観測した栗原市の栗駒山麓では、大規模地滑りや山腹崩壊が多発し、山地災害の威力を見せつけた。14日で発生から丸7年。国内最大級の地滑りにより、山塊が水平方向に最大300メートルスライドした同市栗駒の荒砥沢崩落地周辺は、今も一般の立ち入りが禁止され、治山や砂防の工事が続く。約210万立方メートルの崩落土砂が迫川をせき止めた同市花山の湯浜地区では、巨大な砂防えん堤建設が進む。8日、林野庁職員らの案内で荒砥沢、湯浜両地区を歩いた。
(栗原支局・藤本貴裕、若柳支局・横山寛、写真部・小林一成)


【地滑り】荒砥沢崩落地を崖の上に位置する冠頭部から望む。むき出しの山肌の向こう側の林は約500メートル四方の山塊で、地滑りにより表層形状を保ったまま300メートルほど水平方向にスライドした。山塊は「巨大移動体」とも呼ばれる


【えん提】円筒形の構造物は、国交省が本年度中の完工を目指す湯浜地区の砂防えん堤。完成すれば、水が流れる部分の堤高は14.5メートル、両側の袖部は16.5メートル、幅は110メートルになる。工事用道路は急勾配で資材の運搬が困難なため、鋼製の筒の中に崩落土砂を入れる。雪深い地区で工事は5~11月ごろに限られ、大雨が降るたびに土石流に見舞われるなど、難工事だ


途絶】荒砥沢崩落地内の巨大移動体に入り、草木をかき分けながら進むと、ぶつ切りにされた旧市道荒砥沢線の上に出た。移動体には旧市道が900メートルほど残っているという



【傾斜】大きく傾いた旧市道荒砥沢線。所々に刻まれた亀裂をのぞくと、底が見えないほど深かった。「亀裂の入り口が雑草に覆われているところもあるため、慎重に歩かないと危険です。落ちたら命の保証はありません」と林野庁職員