3月25日 13時37分

1票の格差 去年の衆院選で初「違憲」判決

    

去年12月の衆議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に、最大で2.13倍の格差があったことについて、福岡高等裁判所は、憲法に違反するという判断を示しました。選挙の無効は認めませんでした。去年12月の衆議院選挙を憲法違反とした判決は初めてです。
去年12月の衆議院選挙を巡っては、選挙区ごとの1票の価値に、最大で2.13倍の格差があり、投票価値の平等を保障した憲法に違反するとして、弁護士などのグループが、全国すべての小選挙区で選挙の無効を求めています。

このうち、福岡、熊本、長崎、大分、佐賀の5つの県のすべての小選挙区を対象にした裁判の判決で、福岡高等裁判所の高野裕裁判長は、「全国で選挙区を5つ減らす『0増5減』の対象となった県以外は、以前の定数が維持され、構造的な問題が解決されず、格差が2倍以上の選挙区は、全国で13にも上っている」と指摘しました。
そのうえで、「投票価値の格差が最高裁判所で『違憲状態』と判断されてから選挙まで3年8か月あったが、国会の取り組みは、最高裁の判決の趣旨を踏まえたものとはいえず、格差の是正に必要な合理的な期間をすぎている」として、憲法に違反するという判断を示しました。
一方、「定数配分の是正に向けて選挙制度調査会で議論を重ねていて、今後、是正していくことが期待できる」として、選挙の無効は認めませんでした。去年12月の衆議院選挙を憲法違反とした判決は初めてです。

原告の弁護士「画期的な判決」

原告の弁護士グループの伊藤真弁護士は、判決のあと記者会見を開き、「投票は、1人1票であり、人口比例が原則だということをはっきり示してくれた。価値のある画期的な判決だと評価している」と述べました。一方で、「選挙そのものを無効にしない理由が不明確である点が残念だ」として、上告する考えを示しました。