【衆院選】投票率低下/要因を検証し向上策講じよ(12月16日付)
福島民友新聞 社説
投票率の低下に歯止めがかからない事態を深刻に受け止めなければならない。
14日投開票の衆院選で、県内5小選挙区の平均投票率は52.51%となり、戦後最低を更新した。初めて60%を割り込んだ前回の58.86%よりも6.35ポイント下がった。
東日本大震災と原発事故後初めての国政選挙となった前回も14ポイント近く落ち込んでいた。昨年夏の参院選も福島選挙区は54.52%にとどまり、震災と原発事故以降の3度の国政選挙とも2人に1人は棄権している。
あくまで数字上のことだが、国政に民意の半分が届いていない事態だ。県民の民意が十分に反映されなければ、震災と原発事故の風化が進んでしまわないか。投票率が下がる要因をしっかりと検証することが重要だ。
県内の有権者がなぜ棄権したのか、民主主義の権利の行使をなぜためらうのか。ふだんから言われている若い世代の参加を促すことも重要だが、注視しなければならないのは、避難区域を抱える町村の推移だ。
今回、県内市町村別の投票率で最も低いのは住民避難が続く大熊町の43.96%。同じように浪江、富岡、双葉、飯舘、楢葉の各町村も40%台だ。この中には前回から約10ポイント、震災と原発事故前の前々回との比較では約30ポイント落ちているところがある。
県内外に避難している住民にとって投票しにくい状況が続いているのであれば、選挙に参加しやすい改善の手だてを早急に考えなければならない。
避難自治体では、原発事故の避難後に行われた首長選も投票率が落ち込んだが、それでも50~60%台を維持し、国政選挙よりも高い。単純には比較できないだろうが、国政選挙に対する期待のなさや不信感が潜んではいまいか。
迷いもあるのかもしれない。閉塞(へいそく)感や将来への不安をぬぐうために何を、だれに託せばよいのか分からないから投票所に足が向かないということはないだろうか。
こうした迷いは復興にかかわるものばかりではない。社会保障の先行きや地方の行く末への不安を抱えながらも意思を示さない有権者の声をすくい上げるためにも、投票行動を閉ざしてはならない。
投票率は全国的にも低下傾向にある。国政選挙は与野党の勢力を決する手段でもあるが、政策の実現と実行が伴わなければ、政治離れを助長する。政治への信頼を重ねていくことが、投票率を高めることにもつながると銘記したい。
福島民友新聞 社説
投票率の低下に歯止めがかからない事態を深刻に受け止めなければならない。
14日投開票の衆院選で、県内5小選挙区の平均投票率は52.51%となり、戦後最低を更新した。初めて60%を割り込んだ前回の58.86%よりも6.35ポイント下がった。
東日本大震災と原発事故後初めての国政選挙となった前回も14ポイント近く落ち込んでいた。昨年夏の参院選も福島選挙区は54.52%にとどまり、震災と原発事故以降の3度の国政選挙とも2人に1人は棄権している。
あくまで数字上のことだが、国政に民意の半分が届いていない事態だ。県民の民意が十分に反映されなければ、震災と原発事故の風化が進んでしまわないか。投票率が下がる要因をしっかりと検証することが重要だ。
県内の有権者がなぜ棄権したのか、民主主義の権利の行使をなぜためらうのか。ふだんから言われている若い世代の参加を促すことも重要だが、注視しなければならないのは、避難区域を抱える町村の推移だ。
今回、県内市町村別の投票率で最も低いのは住民避難が続く大熊町の43.96%。同じように浪江、富岡、双葉、飯舘、楢葉の各町村も40%台だ。この中には前回から約10ポイント、震災と原発事故前の前々回との比較では約30ポイント落ちているところがある。
県内外に避難している住民にとって投票しにくい状況が続いているのであれば、選挙に参加しやすい改善の手だてを早急に考えなければならない。
避難自治体では、原発事故の避難後に行われた首長選も投票率が落ち込んだが、それでも50~60%台を維持し、国政選挙よりも高い。単純には比較できないだろうが、国政選挙に対する期待のなさや不信感が潜んではいまいか。
迷いもあるのかもしれない。閉塞(へいそく)感や将来への不安をぬぐうために何を、だれに託せばよいのか分からないから投票所に足が向かないということはないだろうか。
こうした迷いは復興にかかわるものばかりではない。社会保障の先行きや地方の行く末への不安を抱えながらも意思を示さない有権者の声をすくい上げるためにも、投票行動を閉ざしてはならない。
投票率は全国的にも低下傾向にある。国政選挙は与野党の勢力を決する手段でもあるが、政策の実現と実行が伴わなければ、政治離れを助長する。政治への信頼を重ねていくことが、投票率を高めることにもつながると銘記したい。