「世界土壌デー(12月5日)」および「国際土壌年」 開始に寄せる
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長メッセージ
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きょうは初の「世界土壌デー」であると同時に、「国際土壌年( 2015)」の開始日にも当たります。
 
健全な土壌がなければ、 地球上の生命を維持することはできないでしょう。 土壌は農業の基礎でもあります。また、 必要不可欠な生態系サービスや、人間の安寧にとって大切な食料、 燃料、繊維、医療用品の基礎も提供しています。
 
土壌は有機炭素の最大の貯蔵庫として、気候変動の緩和と、 これに対する適応にも欠かせない存在です。 水不足が広がりつつある現在、 土壌は水資源の適切な貯蔵と分配に根本的な役割を果たします。
 
しかし、 世界のあらゆる場所で土壌劣化が急速に問題化しています。 全世界の土壌の約33%が、 すでに都市化によって劣化しています。土壌侵食や栄養枯渇、 塩分上昇、乾燥化、汚濁も、さらなる脅威となっています。
 
世界はあまりにも長い間、 土壌を当たり前のものとして扱ってきました。しかし、 土壌は簡単に再生できない天然資源です。持続可能な土壌管理は、 すべての人にとっての優先課題とすべきです。
 
私は、国連食糧農業機関(FAO)による「 地球土壌パートナーシップ」の設立を歓迎します。FAOの「 世界土壌憲章」は、 回復と修復に代わる健全かつ安価な代替選択肢として、 持続可能な土壌管理への投資を促す措置を多く提言しています。
 
「世界土壌デー」にあたり、この重要でありながら、 忘れられた資源を保護するため、 さらに取り組むことを誓おうではありませんか。 健全な土壌なしに、健全な生活は成り立たないのですから。