昨日の経産省前脱原発テント弁護団声明を掲載します。
 
         2014年12月5日 言論・表現の自由を守る会事務局
  
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 経産省前脱原発テント弁護団
 
 我々脱原発弁護団は、東京地裁民事第37(村上正敏裁判長・北島典子・伊藤健太郎裁判官)の暴挙を弾劾するとともに、強く抗議します。
 
 周知の通り、福島第1原発事故の現況・最大の責任者である経済産業省の敷地には、2011911日以降<脱原発>のスローガンを高々とぁぁげた3基のテントが建てられ、<経産省前テントひろば>として、反原発・脱原発を希求する全ての人たちの、運動の足掛かり・心のよりどころとなってきました。このテントは悪質な右翼らの愚かな破壊攻撃等をも跳ね返し、33か月以上に亘って、経産省に対する直接的な批判として厳然と存在し続けています。これは、日本の民衆の歴史にあっても画期的な事態であり、主権者によるいわゆるエンキャンプメント(Encampment)権の実践として注目されているところです。
  しかるに、原発事故問題についての、自身の重い責任を自覚するどころか逆に、原発推進の誤った政策にまい進する経産省と国は、テントひろばを徹底して忌避嫌悪し、恣意的に選定した2名の被告を相手に、テントの撤去とスラップ訴訟の典型である1100万円もの高額の損害賠償請求を提起してきました。
 これに対して我々は、2013523日の第1回口頭弁論以来、昨日の第9回の口頭弁論に至るまで、テントに心を寄せるすべての方々の総力を結集して、<原発問題の深刻性・経産省の責任重大性・テントの明白な正当性>を主張立証し、正面から戦ってきました。そして前回第8回には、テントひろばを主体的に担う43名の方々による訴訟参加申し出とともに、現地福島の方々や小児医療の専門家やスラップ訴訟・憲法学等の専門家の方々を中心とする、証人請求を行いました。これらによって、本件テントの問題の本質の究明が決定的に深まり、証人調の実施によって、国・経産省の請求の誤謬性・違法性がさらに鮮明となることが明らかに期待されました。
 第9回における、参加申し出人である現地双葉町の被災者の切々たる訴えは、法廷全体を深い感動を呼び、テントひろばの持っているかけがえのない存在価値があらためて認識されました。
 
 ところが、民事第37部はこの直後突然に、過般の進行協議において自ら言いだし設定していた次回期日(226)の確認すら一方的に反古にして、全ての証拠請求を却下しました。そしてそれとともに、弁論終結を強行しようとしました。当弁護団は直ちに3人の裁判官を忌避しました。その結果、現在のところ裁判は進行を停止していますが、以上の経過に顕れた裁判所の姿勢は、実質審理を進めて事案を究明しようとはせず、国・経産省に同調した判決を早々に強行しようとしているものであることが明白です。
 
 104名もの子どもたちの癌多発の事態・汚染水対策の絶望的破綻・廃炉作業の停頓・自己終息の見通しの深刻な不鮮明性・中間貯蔵施設の迷走・累積する一方の除染土壌・いまだに続く12万人以上の流民状態と、他方での高汚染地域への帰宅強制・地域の産業経済社会の崩壊状態
・・・等々、我々の深刻で困難な現実が山積みとなっています。全国民の総力を結集して、これらの問題の抜本的解決のための努力がなされなければなりません。
 
 にもかかわらず、こうした事態を逆に積極的に隠蔽して、原発再稼働・原発輸出を強行しようとしている政府・経産省の政策は、まさに現在と将来の国民の人間としての権利・福祉を根底から破壊するものです。その意味では、経産省前テントひろばの必要性・存在意義はむしろますます大きくなっていることが明らかです。
 
 しかるに、このような情勢において、東京地裁民事第37部が昨日行った暴挙は、司法が果たすべき任務を放置し、国・経産省に一方的に肩入れして、原発推進に手を貸そうとするものであって、到底許されるものではありません。
 我々は、この暴挙を徹底的に弾劾するとともに、民事第37部に強く抗議します。
 そして、このような暴挙に決して屈することなく、全国のみなさんと力を併せてテントひろばを守り抜き、さらに発展させてゆくために努力することを誓います。
(以上)