ブラジルW杯の「代償」、会場建設で加速するホームレス化
[サンパウロ 14日 ロイター]
先月の世論調査では、ブラジルのW杯開催を支持すると答えた人の割合は48%に落ち込んだ。2008年には79%が支持していた。
<整備約束>
サンパウロには市西部に6万5000人収容のスタジアムがすでにあるが、当局は新スタジアムの建設を選択。その上で、新スタジアム周辺のイタケラ地区の開発を進め、新たな商業地区やカルチャーセンターなどを含む公共サービスの整備を約束した。
ただ、そうした計画は依然として約束のままだ。唯一整備されたのは、国際サッカー連盟(FIFA)のベース地として使われる専門学校のみ。
サンパウロのナディア・カンペオン副市長はインタビューで、「少なくとも2、3年で他の施設の大半が完成すると考えている」と述べている。
それでも、当初の計画は縮小されており、病院や裁判所、警察本部、消防署などの建設地も変更された。試合当日は交通渋滞に加え、乱暴な集団として知られるコリンチャンスファンの行動も懸念されている。
<家賃高騰>
公共事業の進捗は遅れているかもしれないが、住宅市場はそうではない。
先月の世論調査では、ブラジルのW杯開催を支持すると答えた人の割合は48%に落ち込んだ。2008年には79%が支持していた。
<整備約束>
サンパウロには市西部に6万5000人収容のスタジアムがすでにあるが、当局は新スタジアムの建設を選択。その上で、新スタジアム周辺のイタケラ地区の開発を進め、新たな商業地区やカルチャーセンターなどを含む公共サービスの整備を約束した。
ただ、そうした計画は依然として約束のままだ。唯一整備されたのは、国際サッカー連盟(FIFA)のベース地として使われる専門学校のみ。
サンパウロのナディア・カンペオン副市長はインタビューで、「少なくとも2、3年で他の施設の大半が完成すると考えている」と述べている。
それでも、当初の計画は縮小されており、病院や裁判所、警察本部、消防署などの建設地も変更された。試合当日は交通渋滞に加え、乱暴な集団として知られるコリンチャンスファンの行動も懸念されている。
<家賃高騰>
公共事業の進捗は遅れているかもしれないが、住宅市場はそうではない。
シンクタンクのFIPEによると、新スタジアム建設の影響で、新たな道路が次々に敷かれるなどしており、建設発表から1年間でイタケラ地区の住宅家賃が約2倍になった。
10年前に同地区近郊に引っ越してきたマリア・イベッチ・ドスサントス・ディアスさん(49)は、「スラム街に住む余裕もなくなった」と家賃高騰にため息を漏らす。昨年、200レアルだった家賃が350レアルに値上がりしたという。結局、娘と4人の孫らと暮らしていたディアスさんの家族もテント生活を始めた。
ディアスさんら住民は、長年にわたって空き地となっていた土地を占拠。テント生活は数百世帯から始まったが、近隣の住民が次々と流入し、丘や木の茂みにもテントが設置された。
イタケラ地区の急速な開発で、サンパウロ市全体の家賃も高騰。同市内の不動産の資産価値は2008年から3倍に膨れ上がった。
サンパウロは住宅20万戸以上が不足しているとされるが、当局者によると、イタケラ地区に建設される予定はないという。同市東部は、市の人口の3分の1が住んでいるものの、仕事は市全体の6分の1しかない。
フェルナンド・ハダジ市長は、市中心部に手ごろな家賃の住宅建設を進め、イタケラ地区などの郊外に仕事を増やそうと計画している。これは、同地区などの家賃が高騰することを意味する。
国連特別報告者で、サンパウロ大学教授のラケル・ロルニク氏は、「W杯はスポンサーや開催都市にとっては、世界にアピールするショーケースとなる。それと同時に、ブラジルが抱える社会問題に目を向けてほしいと訴える人にも絶好の機会となる」とエッセーに綴った。
(Brad Haynes記者、翻訳:野村宏之、編集:橋本俊樹)