原上さん分限免職取り消し裁判高裁不当判決
ひきつぐ会ニュース 3月31日版
2014年3月25日(Nさんから) 都教委の組織ぐるみのねつ造証拠を不当に認めた不当判決!!
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初任者(条件付き採用教員)としてろう学校に体育教員として採用された原上んが、恣意的に採用の可否を「否」とされた。そのため校長より依願退職を拒否したために、任期満了の2012年3月に分限免職となった事案である。Hさんは、大阪の学校で教員をした後プロ野球のトレーナーをしていたが、希望をもって東京の教員になった。校長は「俺が採用した」と自慢げに野球部の顧問につけたが、野球の指導などで校長と意見を異にするにつれて、夏休みには、「来年の本採用はない」というに至った。大阪に妻子を残しているので、呼び寄せようと考えていた時だった。
こんなことがある。担任をしていた生徒の妹が万引きをしたことがある。校長は、学部生徒全員の前で謝罪をさせることを学部会(中学部の職員会議)で提案した。妹がどう思うかを心配したHさんは、誰一人校長に反対意見をいうものがいない中で、「それだけは勘弁してもらえませんか」と勇気を奮って発言したのだ。結果的に生徒全員の前での謝罪はなしになったが、このようなことから「校長に逆らう者」としていやがらせが始まった。
分限免職取り消しの執行停止かかる!
原上んの給与で家族の生活を支えているため、分限免職となって、生活できなくなった。東京都障害児学校労働組合に助けを求めてきた時には、条件付採用期間が終わろうとしていた。分限免職を免れないと知った組合は、原上んと相談して分限免職取り消し本裁判を起こすとともに執行停止申し立ても同時に行った。
地裁で執行停止がだされ、現場復帰するも、高裁で「2013年3月31日(本裁判の判決が出るまでで、どちらか早い方)まで執行停止」とする仮処分が出された。学校現場から離れたが、2013年3月31日まで給与が支給されてきた。
地裁判決…棄却…敗訴
地裁では、いろいろな証拠をあげて、原上さんが教員として適格であることを主張してきたが、ろう学校校長側は、「大阪弁による周囲威圧した」とか、「手話の取得が遅い」、「生徒の頭にマーカーで×印をつけた」などとねつ造した。元同僚教員が「書いたところは目撃していないが、生徒の頭の×印を発見した直後に原上さんがマーカーを手に持っていた」と虚偽の証言をした。この同僚別の主任教諭は、「手話は3か月ぐらいで取得するものだが、Hさんは手話の覚えが悪い」等と証言し、無能力であるかのようにでっちあげた。2013年9月2日地裁は、全面的に被告側の主張を認めて「原告の請求を棄却する」という原告全面敗訴の不当判決を行った。
控訴審…弁論の中で
すぐに東京高裁に控訴。第1回口頭弁論から裁判長は、「この裁判ではそぐわないのだけれども…」と述べながら和解を提案した。原告・被告側双方で話し合いが4回ほど持たれたが、和解案は、「分限免職を受け入れる代わりに執行停止により分限免職後に支払われた給与を返さなくてもよいようにする等」の不公平な提案がなされたが、分限免職取り消しで現場復帰を求めている原上さんの納得できるものではなかった。
控訴理由書で、原判決の誤りとして、校長が公正評価をしていないと一つずつ事例をあげ訴えたが、「初めに判決ありき」の裁判長を変えることはできなかった。
3月25日の判決前に新事実に基づき、「弁論再開申し立て」をするも、間に合わなかった。
高裁判決直前の3月22日に顧問をしていたろう学校の野球部部員の生徒たちが甲子園観戦のために大阪にやってくることになった。原上さんの家は、甲子園の隣にある。生徒の方から「会いたい」とメールがあった。
原上さんは、甲子園スタンドで生徒たちと会った。聴覚障害の生徒たちなので、筆談で会話をした。頭にマーカーで×印を書かれたという本人に、今まで聞けないでいたことを聞いた。
新事実発見
分限免職になり学校を去ったため、生徒と顔を合わすことがなかった。また裁判に巻き込みたくなかったために聞けないでいたことを確認した。教員としての適格性を欠くという都教委側主張の根幹の一つが、原上さんが生徒の頭にマーカーで×印を書いたとされているものだ。
しかしこの時、その生徒に聞いたところ、誰が書いたのかはわからないが、原上先生ではないと。被告側証人の元同僚は、「×印を書くところは見ていないが、その直後原上さんは、マーカーを持っていた」と証言したことが裁判所に事実認定された。ところが、この時、その場所に証言した同僚はいなかったという新事実がわかったことをもって、すぐに「弁論再開申し立て」をしたが、弁論再開はされないで終わった。
原上さんの陳述書
私は現在大阪にいます。(中略)
いままでは裁判中であることもあり生徒たちに直接確認することもありませんでした。さらに裁判で知るまで、私が落書きをしたと本人が主張していたことすら知りませんでした。本当に本人がわたしがやったというなら誤解を解きたいし、事実を知りたかったです。私は彼の頭に何が書こうという意思を持って「落書き」などしたことは絶対にありません。このことを確認すると、生徒自身もだれがやったのか把握していない様子でした。これにはびっくりしました。さらにびっくりしたのは、その筆談を見ていた別の生徒が証言した先生はその場にいなかった。見ていなかった」と彼女の嘘の証言を指摘してくれました。彼らは今でも私の復帰を信じています。私も同僚との関係に反省すべきことはあります。しかしそれによって私を慕って会いたがってくれる生徒まで犠牲になるのは納得できません。なんの権利があって私と生徒達との関係まで断ちきられるのでしょうか。どうか組織的な偽証と真実を再度検証していただき、子どもたちの思いを大切にしていただきたいと考えます。よろしくお願いいたします。
最高裁に上告予定!
この新事実を審議してもらうべく最高裁に「上告受理申し立て」を予定している。
おりしも袴田事件の再審が決定した。「無罪の蓋然性が……これ以上拘置するのは耐え難いほど正義に反する状況にある」と。