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       国連:拷問禁止委・ドマ委員 (写真:言論・表現の自由を守る会)
 
 
 毎日新聞2014年3月22日朝刊
 
 自白依存、日本を懸念 司法制度「ただ一つの弱点」
 
 国連の人権条約に基づく拷問禁止委員会は昨年5月、日本に対する勧告を発表した。日本政府は5月31日までに緊急性があるとされた「取り調べと自白」や「死刑」など4項目について回答するよう求められている。日本が自白に依存していることを懸念し、審査で「中世の名残だ」と指摘したブーシャン・ドマ委員(67)が来日。回答期日を間近に控え、日本が何をすべきか聞いた。
 
―― まず日本に伝えたい点は何か。
 
◆日本を自動車に例えると車輪はすべてそろっている。ただ一つ弱点がある。それが司法制度だ。4輪目だけ微調整すれば完璧になる。拘置所や警察の留置場はどの国と比べても近代的な施設だ。だが、捜査手法は古い。委員として(起訴前に留置場に拘禁する)代用監獄制度に反対している。最大23悲観も留め置くのは受け入れられない。弁護人の立ち会いも認められるべきだ。警察の権限は四方のコントロール下に置かないと危険だ。特定期間に絶対的権力を与えてはならない。権力は必ず腐敗するからだ。
 
―― 審査で日本の取り調べは自白中心で「中世のようだ」と指摘した。
 
◆日本の制度はあまりにも容疑者の自白に頼りすぎている。中背には拷問があったが、拷問では真実にたどり着かない。今は法医学や携帯電話などいくらでも代替手段がある。相手が何も語らなくても証拠をそろえて立件できる。まず物的証拠を集めること。その情報を確認するために容疑者にあたるという風に考えてほしい。今h化近代的な技術が発達している。科学捜査があらゆる面で可能となると証拠はなかなか消せない。ハイテクをたどれば跡をたどれる。
 
―― ドマ委員は世界中で裁判官の教育をしており、勧告でも裁判官らの研修強化が盛り込まれている。なぜ重要なのか。
 
◆民主主義では裁判所は重要な役割を果たす。強力な司法がある国は発展への潜在力が大きいと言える。世界では当たり前のように判事も人権について訓練を受けている。判事は常に意思決定する側なので、どんなに答弁をやっっても判事が聞く耳を持たない、または理解力がないと意味がない。
 
―― なぜ今回初めて死刑廃止の検討を求めたのか。
 
◆人が人を殺すことで解決するのは正義に反し矛盾がある。死刑を直ちに廃止せよと言っているのではな区、存置か廃止か慎重に検討してほしいと言っている。それは各国が決めることだ。だがもし日本が死刑を残すなら、なぜ死刑確定者に長い間執行の日時を伝えないのか。これも拷問の一種だ。
 
―― もし日本政府が韓国を長期間実行しなかったら何か行動を起こすのか。日本政府は法的に従う義務はないと言っている。
 
◆私たちの委員会は誰に対しても何に対しても強制しない。どの国連の委員会の勧告であろうと法的拘束力はない。政府はいろいろな口実の後ろに隠れたがるが、道義的責任はある。2007年の第1回審査から昨年の第2回までの期間、日本は多くのことを成果として挙げている。たとえばドメスティックバイオレンス(DV)防止法の改正や最高検察庁の観察指導日設置など、大きな前進をしている。ただ重要な部分が欠けている。人間が人間を扱うのに、尊厳を奪ってはならない。最終的な目標に向け、どういうことがされているのか知りたい。
 
 
回答を求められた4項目の主な内容
<代用監獄>
・操作と抗菌機能の分離のための立法や措置
・警察留置場の公金期間の上限設定
・弁護人へのアクセスなど逮捕時点からの法律扶助
・代用監獄制度の廃止の検討
 
<取り調べおよび自白>
・取調べの時間制限、違反への制裁規定の設定
・自白中心の実務をやめ捜査手法を改善すること
・取調べの全過程の電子的記録と法定利用の確保
 
<死刑>
・死刑確定者と家族への執行日時の事前通知
・単独室収容の規則改定
・死刑廃止の可能性の検討
 
<軍事的性奴隷制の被害者)従軍慰安婦)>
・法的責任を公に認め加害者を処罰すること
・当局者や公的人物による事実の否定や被害者を再び傷つける行為への反論