毎日新聞 2013年12月31日(火)3時45分配信

<マルハニチロ>当初より重い農薬毒性に訂正 会見で

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「アクリフーズ」の群馬工場=群馬県大泉町で2013年12月30日午前10時5分、本社ヘリから
 
 水産大手のマルハニチロホールディングスの子会社「アクリフーズ」の群馬工場(群馬県大泉町)で製造した冷凍食品の一部から殺虫剤として使われる農薬「マラチオン」が検出された問題で、同ホールディングスの久代敏男社長らは31日未明に記者会見し、最高濃度(1万5000ppm)が検出されたコーンクリームコロッケを体重20キロの子供が約8分の1個食べると、吐き気や腹痛などの症状を起こす可能性があると発表した。

【自主回収する市販品】12月31日に改めて公表

 同社は29日にこの問題を公表した際、体重20キロの子供は1度に60個のコロッケを食べなければ毒性は発症しないとしていた。当初用いていた毒性の指標について厚生労働省から30日に指導を受け、別の指標に基づく評価に訂正した。久代社長は会見で、「消費者に大きな誤解を与えたことをお詫び申し上げたい」と謝罪した。

 会見に同席した同社の佐藤信行品質保証部長によれば、本来は「食べても健康に大きな影響を及ぼさない限度量(ARfD)」を指標として採用すべきだったが、「投与した動物の半数が死亡する量(LD50)」を基に毒性を評価していたという。

 佐藤部長は「(毒性を評価する指標は)食品安全に関わる部署で検討したが知識がなく勘違いしていた。厚労省や保健所に相談するのも失念していた」と釈明した。

 また、マラチオンが検出されたのは、▽ミックスピザ3枚入り▽チーズがのび~るグラタンコロ!▽チーズがのび~るチキンナゲット▽COOP照り焼きソースの鶏マヨ!▽照り焼きソースの鶏マヨ!▽スーパースイートコーンフライ▽とろ~りコーンクリームコロッケ--の7品目29日の会見時から3品目増えたことも明らかにした。

 これにより、回収対象となる商品は市販と業務用を合わせて計94品目に上り、約640万袋が回収の対象となると訂正した。【小泉大士】
 
 
 
【ことば】マラチオン
 マラチオンは、有機リン系の低毒性の殺虫剤。イネ、野菜、果物、花、観葉植物の害虫駆除に、国内外で広く使用されている。特異臭がある黄色っぽい液体で、水にはほとんど溶けない。別名「マラソン」とも呼ばれる。
 農林水産消費安全技術センターの資料によれば、毎日一生とり続けても体に悪影響が出ない量(1日許容摂取量)は、体重1キロ当たり0.02ミリグラム。メーカーのホームページによると、目に入ると刺激があり、皮膚につくとかぶれる恐れがある。