2億円で議席買う

徳田議員 空前の金権選挙

“ゴッドマザー”逮捕 深まる疑惑

 徳田毅衆院議員(42)=鹿児島2区、自民党を離党=の昨年12月の総選挙をめぐる医療法人「徳洲会グループ」の公選法違反事件で、買収資金や選挙区に派遣された病院職員への報酬支払いの合計は2億円を超すことがわかりました。徳洲会グループによる空前の金権選挙の全容解明が求められています。


 東京地検特捜部などは4日、買収資金など計6000万円を提供したとして、公選法違反(買収目的交付など)容疑で、徳洲会グループの“ゴッドマザー”といわれる母の徳田秀子容疑者(75)ら2人を逮捕し、姉の越沢徳美(50)、スターン美千代(46)の両容疑者ら4人を再逮捕しました。
 特捜部によると、このうち1000万円は鹿児島、指宿両地区それぞれの責任者だった石川一郎容疑者(59)、桶谷義一郎容疑者(69)に渡され、5000万円は奄美地区の責任者だった屋田正彦容疑者(69)らに渡ったといいます。
 関係者の話では、秀子容疑者は逮捕前の任意聴取に対し、昨年11月の解散直後、屋田容疑者に2000万円を提供したことは認めていました。ただ、「選挙資金として渡したが、具体的に何に使われるかは知らなかった」と話していたといいます。
 関係者によると、秀子、美千代両容疑者は、石川容疑者らを通じ、地元の市議や県議、会社社長らに現金を渡して票の取りまとめを依頼していました。
 一部の市議らは自らの支持者の町内会長など地域の有力者で顔の広い人間に現金を渡し、夜間に有権者宅を訪問させるなどしました。顔見知りのため、受け取りを断られた場合でも情報が漏れにくく、過去の選挙でも常態化していたといいます。
 一方、徳美、美千代両容疑者や石川容疑者ら幹部8人は3日、公選法違反(運動員買収)の罪で起訴されましたが、起訴状によると、全国の系列病院の職員ら594人を徳田議員の陣営に派遣。欠勤分の給与をボーナスで補填(ほてん)するなどして計1億5560万円の報酬を支払ったとされます。逮捕容疑より派遣人数は31人、報酬額は810万円増えました。
 公選法で認められた鹿児島2区の選挙運動費用の上限は約2770万円です。徳洲会グループの買収資金と、職員への報酬支払いの合計は2億円超となり、徹底的な解明が必要です。
 
 
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-12-11/2013121115_01_1.jpg
しんぶん赤旗2013年12月11日
 

徳洲会事件:徳田毅議員から任意で再聴取 東京地検特捜部

 毎日新聞 2013年12月11日
 
 昨年12月の衆院選を巡る医療法人「徳洲会」グループの公職選挙法違反事件で、東京地検特捜部が徳田毅(たけし)衆院議員(42)=鹿児島2区、自民を離党=から任意で再聴取したことが、関係者への取材で分かった。4日に逮捕された徳田議員の母秀子(75)、次姉スターン美千代(46)両容疑者らは、買収資金6000万円を陣営に提供した疑いがあり、一部が地元の県議や市議らに渡った疑惑が浮上している。特捜部はこうした資金の流れを把握したかどうか、徳田議員に説明を求めた模様だ。
 関係者によると、再聴取は今月8日に行われ、徳田議員は事件への関与を否定したとみられる。徳田議員は先月4日にも特捜部の事情聴取を受けており、その際も、系列病院の職員に選挙運動の報酬が支払われていた事件への関与を否定していた。関係者によると、秀子、美千代両容疑者も容疑を否認しているという。
 
 
 
 
1か月前の12月13日まで、自民党の議員だった徳田毅衆議院議員:
 
2006年10月、鹿児島県庁で記者会見を開き、自身が代表を務める自由連合を離党する意向を表明。
徳田の離党により所属国会議員数がゼロになった自由連合は政党助成法上の政党要件を喪失。
自由連合の今後については父・虎雄に一任する考えを表明した。
同年11月の沖縄県知事選挙では、自由連合は糸数慶子を推薦したが、毅は告示日の11月2日に自由連合を離党して自由民主党、公明党が擁立した仲井眞弘多を支援し、仲井眞が当選した。
 
2006年11月29日、自民党に「入党願」を提出。
徳田の入党を認めたことについて、宮路和明自民党鹿児島県連会長(当時)は同年4月の衆議院千葉7区補欠選挙、沖縄市長選挙における徳田の与党への協力を一因に挙げている。
12月20日に改めて自民党に入党届を提出し、正式に自民党に入党した。
これにより鹿児島県の衆議院小選挙区は、自民党が独占した。
 
2007年の第21回参議院議員通常選挙では保守王国の鹿児島県でも自民党が苦戦を強いられたが、自民党の加治屋義人が2664票の僅差で逃げ切り、再選された。加治屋は鹿児島全県では前回に比べて得票数を減らしたが、徳田の地盤である奄美市や大島郡では票を伸ばした。
 
2008年6月5日、宏池会に入会。
 
2009年8月の第45回衆議院議員総選挙では、初めて自民党公認で鹿児島2区から出馬し、民主党公認で出馬した打越明司を下して再選。
2012年10月に宏池会を脱退し、谷垣禎一前自民党総裁による勉強会「有隣会」に参加した。
2012年12月に第46回衆議院議員総選挙で3選後、第2次安倍内閣の国土交通省政務官に起用されたが、「一身上の都合により」2013年2月に辞任した。
 
2013年11月12日には、親族が選挙違反事件で逮捕される事態となり、同月13日に自民党へ離党届を提出し、翌14日に離党が承認された。
『週刊新潮』はその内容について、2004年に未成年の女性に対して準強姦に当たる性行為を行い、2007年に和解したものだと報道している。
 
迂回献金疑惑
2013年2月、資金管理団体「徳田毅政経研究会」から自民党鹿児島県第2区支部へ2011年12月1日に行なわれた献金と同日同額が、支部から本人宛に寄付されていたことが判明した。資金管理団体から本人へ直接寄付をする事は政治資金規正法違反なのでこれを回避するために迂回したのではないか、と指摘されている。
 
親族の公職選挙法違反
2013年9月17日、公職選挙法違反の疑いで医療グループ「徳洲会グループ」の東京本部と系列病院が家宅捜索を受けた。2012年12月の徳田の衆議院総選挙に際して、グループが傘下の全国の病院の職員・看護師に対して鹿児島2区の徳田の陣営に選挙運動をさせ、報酬を支払っていた疑いが強まったためだった。
2013年11月12日、東京地検特捜部と警視庁刑事部捜査第二課により、医師で株式会社徳洲会社長を務める親族及び眼科医で関連会社GPホールディングス社長を務める親族のほか、株式会社徳洲会経営企画室室長、東京西徳洲会病院事務局長など各地の徳州会病院事務局長3人が、公職選挙法違反の容疑で逮捕された。容疑は、2012年11月26日の衆院解散後から投票日前日の12月15日まで、徳洲会傘下の病院などの看護師や職員を運動員として派遣するよう指示。報酬の支給を約束したうえで、戸別訪問やポスター張りなどに従事させた疑いが持たれている。