作業員の被ばく 20%過小評価か 福島第一、国連委が指摘
東京新聞 2013年10月13日 朝刊
【ニューヨーク=共同】国連放射線影響科学委員会(事務局ウィーン)は十二日までに、東京電力福島第一原発事故で作業員の内部被ばく量が約20%過小評価されている可能性があるとの報告書を公表した。半減期が約二十時間と短い放射性ヨウ素133などの影響が考慮されていないことが原因としている。
放射性ヨウ素は体内に取り込まれると甲状腺にたまりやすく、がんのリスクが高まる。東電の資料によると、原発事故でこれまでに甲状腺が受けた被ばく線量(等価線量)が一〇〇ミリシーベルトを超え頸部(けいぶ)超音波検査の対象となった作業員は約二千人に上る。被ばくに関する健康診断の対象者が増える可能性がある。
報告書によると、科学委は昨年十月までに原発で作業した約二万五千人の検査記録などを調べ、体内でヨウ素131(半減期約八日)の検出が可能だった作業員の被ばく量については東電による報告の数値と科学委独自の評価が合致した。
しかし「半減期がもっと短いヨウ素同位体、特にヨウ素133を吸入し影響を受けていた可能性は考慮されていない」と指摘。その結果、内部被ばくによる放射線量が過小評価されている可能性があるとした。
作業員のうち十二人は内部被ばく量が高く甲状腺がんなど甲状腺障害のリスク増大が推定されるとした。さらに百六十人以上の作業員の被ばく量が一〇〇ミリシーベルトを超えており、将来のがんリスクが増大する可能性があるとも指摘したが、増大の程度は小さいとした。
科学委は国連により一九五五年に設置された組織で、被ばくの程度や影響などを評価して報告をまとめる。