米新規失業申請急増、政府閉鎖やデフォルト懸念の影響=CEA委員長

2013年 10月 11日 02:47 JST
[ワシントン 10日 ロイター] - 米大統領経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は10日、朝方発表された新規失業保険申請件数が急増したことについて、政府機関の一部閉鎖や米国がデフォルト(債務不履行)に陥ることへの懸念をめぐる悪影響が米経済に表れ始めているとの見解を示した。
委員長は講演で「1週間だけの数字で偏りはある」としつつも、財政問題をめぐる与野党協議のこう着に対する雇用者の反応を示す内容になったと語った。
 
 
 

米債務上限協議、「引き上げ期間」短ければ再びドル売りも 

[東京 11日 ロイター] - 11日の東京市場は米財政協議の進展への期待感からリスクを選好する動きが強まり、日経平均.N225が4営業日連続して買われたほか、円も対ドルで下落した。
ただ、連邦債務上限の引き上げで合意したとしても、その引き上げ期間が共和党の提案する6週間にとどまれば、再びドル売りの動きも出かねず、市場の先行きにはなお不透明感が漂っている。
 
<リスクオフ解消で株高、円安に>
「米国から様々な報道が出ているが、米財政協議が進展する方向にあるとの市場の認識は変わっていない」(国内証券)。同日午前の東京株式市場は日経平均が4日続伸。一時197円高となり、1万4400円に迫る場面があった。午後に入ると上げ幅をさらに広げた。為替市場でも「そろそろ共和党も手を打たざるを得ないのではないか」(大手邦銀)との見方から、これまで売られてきたドルを買い戻す動きが優勢になった。
民主・共和両党の議員によると、政府機関の一部閉鎖や米国のデフォルト(債務不履行)危機につながっている政治的対立は解消に向けて進んでいる。オバマ米大統領と共和党指導部は10日もホワイトハウスで財政問題を協議。具体的な合意には至らず、双方の隔たりはなお残っているものの、共和党幹部からは、11日にも合意できそうだ、との見方が出ている。対立解消の兆しが見えたのは、政府機関閉鎖が始まって以降、この10日間で初めて。市場ではそれを好感して、これまでのリスクオフを手仕舞いする動きが加速した。
 
しかし、先行きについては、依然として慎重な声が少なくない。「共和党から提案されている債務上限の引き上げは短期間であり、議論が数週間延期されるに過ぎない」(みずほ証券エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏)からだ。
 
米財務省は10月17日に連邦債務が上限の16兆7000億ドルに到達するとしている。 仮に両陣営が債務上限の引き上げで合意したとしても、引き上げを認める期間の長さによって、財政運営への影響は大きく異なる。この期間について、民主党が1年を要求しているのに対し、共和党は当面のデフォルト回避するため、とりあえず6週間に限る対案を示している。「少なくとも数カ月単位でないと、リスクオンの流れは強まりにくい」と、ある国内証券の関係者は話す。
 
別の関係者は「債務上限引き上げが6週間と短期間にとどまれば、米テーパリング(緩和縮小)のスタート時期ともかかわってくるため、再びドル売りに傾く可能性がある」と指摘する。  
 
「17日の期限を前に米債務上限が引き上げられ、米政府機関のシャットダウン措置が解除されたとしても、米国の経済が強くなるのかと言えばそうは簡単に行かない」と、三井住友銀行シニアグローバルマーケッツアナリストの岡川聡氏は言う。
同氏は、「(米経済の成長を)確認するにも、経済指標の集計が遅れて正しい数字が見えなくなっている。米国が(世界景気を)けん引していかなければならない状況の中で、米国経済がもたつくのは決して中期的に良いことではない」と指摘。
 
「リスクオフのショートカバーとしてのリスクオンはありえても、17日の期限を乗り越えたからと言って継続的にリスクオンになってゆくかと言えば、それは少し甘い見方だろう」と語る。
(山口 貴也 編集:北松 克朗)
 
 

米国債の元利支払いが滞った場合のみ、デフォルトと判断=フィッチ

2013年 10月 11日 12:28 JST
[ニューヨーク 10日 ロイター] - フィッチ・レーティングスは10日、米国債の元利の両方、またはどちらかの支払いが滞った場合にのみ、デフォルトと判断すると説明した。
 
フィッチは以前、国庫資金が枯渇するとされる10月17日より前の「適切なタイミング」で、債務上限が引き上げられなければ、米格付けの「引き下げ方向での」見直しを正式に開始する、と表明していた。
 
フィッチは今回、格下げに至る流れについて、さらに詳しい説明を行った。それによると、債務上限が期限内に引き上げられなければ、「短期的なデフォルトリスクの高まり」を反映する「レーティング・ウォッチ・ネガティブ(RWN)」に指定することを検討するという。
 
ただし、連邦政府職員の給与など、政府へのモノやサービスの供給に対する支払いが広範囲、かつ長期的に遅れるケースは「デフォルトに当たらない」。米国債の元利の両方、またはそのどちらかの支払いが滞った場合にのみ、米国がデフォルトに陥ったと判断するとしている。
 
フィッチの現在の米国債格付けは「AAA」。見通しは大手3社で唯一「ネガティブ」で、これは2011年11月から変わっていない。
 
 
 
米デフォルトに備える投資家、あの手この手でリスクヘッジ
 
10月10日(ブルームバーグ):米国のデフォルト(債務不履行)を回避するための期限が近付くにつれ、投資家はリスクに備え始めた。ポートフォリオ内の米国債を短期から中長期に入れ替えたり、株・債券相場急落に備えるオプションを購入したりと、方法は様々だ。
 
JPモルガン ・チェースのプライベートバンク顧客の一部は現金保有を増やしている。債務上限引き上げ期限である17日より後に満期になる財務省証券を売って、中長期期国債 に乗り換えている顧客もある。スチュアート・キャピタル・アドバイザーズは現在バリュエーションが低めの保険、ハイテク、医療関連株を購入。米国の銀行株に連動する上場投資信託(ETF)からは資金が流出し、外国株のETFに流入している。
大半の投資家はデフォルトが回避されると考えているものの、取りあえず備えをしておこうという戦略だ。ルーミス・セイレスの債券ポートフォリオマネジャー、ケビン・カーンズ氏は「まず資本を守らなければならない」と話した。
投資家は2011年8月を先例に、今回も債務上限問題が土壇場で解決されると考えている。それでも、万が一のデフォルトへの懸念は米国の短期の借り入れコストに表れ始めている。オバマ大統領が8日に米憲法修正第14条を適用して議会の承認なしで債券発行に踏み切るべきだとの呼び掛けを拒否した後、財務省短期証券(TB)のレートは上昇。17日償還のTBのレートは9日には20ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇、8日は14bp上昇した。
 
スイスの銀行UBSの資産運用部門、UBSグローバル・アセット・マネジメント(運用資産6440億ドル=約63兆円)は、ヘッジのため米国債のオプションを購入したことを明らかにした。シカゴ在勤の米マルチセクター・フィクスト・インカム共同責任者、ブライアン・フェーレンバッハ氏によれば、同社は米国債とドイツ国債に関連したデリバティブ(金融派生商品)を使ってリスクヘッジを図っている。
 
同氏はロンドンでインタビューに応じ、「これは当社の防衛戦略の一部だが、その効果を試さずに済めばよいと思っている」と語った。「ワシントンの不透明性は信頼感にマイナスだ。解決を先送りすればするほど、最後の瞬間に過ちが起こるリスクが高まる」と苦言を呈した。
 
原題:JPMorgan Clients in Cash as Schwab Sees OptionsHedging Default(抜粋)
更新日時: 2013/10/10 16:41 JST
 
 

米国、債務不履行なら07─09年より深刻な景気後退も=米財務省

2013年 10月 4日 01:41 JST
[ワシントン 3日 ロイター] - 米財務省は、米国債がデフォルト(債務不履行)した場合に生じ得る経済への影響についてまとめた報告書で、債務支払い義務を履行できなければ米国は2007─09年よりも深刻なリセッション(景気後退)に陥る恐れがあると警告した。
財務省は、米政府がデフォルトに陥れば、借り入れコストの上昇や投資の抑制、成長鈍化などの事態を招き、何世代にもわたり経済に悪影響を及ぼし続けると指摘。
「デフォルトは前代未聞で壊滅的な打撃を及ぼす可能性がある。信用市場はまひし、ドルは急落し、米国の金利は急上昇しかねない」と分析した。
その上で「世界的に影響が波及し、2008年に発生した事態、もしくはそれを上回る深刻なリセッションや金融危機が起きる恐れがある」との懸念を示した。
これとは別に、財務省高官は、議会が連邦債務上限引き上げで合意できず資金が底をついた場合、債務支払いを他の政府支払い義務より優先させることは不可能であり、オバマ政権はこうした方法には全面的に反対だと表明した。
*内容を追加しました。