米MRIインターナショナル:資産消失 MRI社長、出資金流用 高級車購入や養育費−−SEC調査
毎日新聞 2013年10月05日 東京夕刊
米資産運用会社「MRIインターナショナル」の資産消失疑惑で、日本の顧客の出資金が社長のクレジットカードの支払いや高級車購入などに流用されていたことが、米証券取引委員会(SEC)の調査で分かった。日本の証券取引等監視委員会も把握しており、MRIが顧客をだまして資金を集めていた疑いが強いとみて金融商品取引法違反(偽計)容疑で調査している。【牧野宏美】
□派手な生活
「非常に派手な生活費用を賄うため出資金詐欺を働いた」。SEC幹部はこう断言し、エドウィン・ヨシヒロ・フジナガ社長(66)を非難する。
SECが米ネバダ州連邦地裁に提出した申立書などによると、出資金の一部は、社長個人のクレジットカードや子供の養育費の支払い、高級車購入などに流用された。
SECは、MRIが日本で営業を始めた1998年から詐欺行為を始め、約8000人から800億円以上を詐取したと認定した。
□資産を凍結
MRIは「出資金は第三者が管理する口座で厳重に守られる」と顧客に説明しながら、実際は資金を別の口座に移動させていた。フジナガ社長は2010年、出資金を別の顧客の配当などに回す「自転車操業」を指示していたという。
SECの申し立てを受け、地裁は9月12日、同社とフジナガ社長の資産凍結や資料開示などの命令を出した。凍結した資産は今後、被害者に分配される見込みだ。
□訴追可否焦点
SECは当初、監視委の要請に協力する「受け身」の姿勢だった。だが、MRIが顧客を米国に招いた際、再投資を勧誘していたことをつかみ、「違法行為が米国内でも行われていた」と判断したことなどが転機になり、調査に本腰を入れ始めたという。日本の被害弁護団は「SECには強い権限があり、迅速かつ広範囲の資産保全が可能になる」と期待を寄せる。
今後の焦点はフジナガ社長らの刑事訴追の可否だ。監視委とSECは日米両国でそれぞれ、立件に向けた調査を進めており、監視委幹部は「日米の司法当局間での調整が必要になる」と話している。
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