シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第11号 10/2付資料】
 
国連広報局(DPI)第11号/2013102
 
シリア情勢をめぐる2年半以上にわたるこう着状態を経て、安全保障理事会(安保理)は927日、シリアに化学兵器の使用、開発、生産、取得、備蓄、保持を禁じる決議21182013)を全会一致で採択しました。安保理はこの決議により、2014年前半までにシリアの化学兵器の廃棄とその厳密な検証を行うための特別手続きを含む化学兵器禁止機関(OPCW)執行理事会決定に支持を表明しました。また、安保理はシリアに対し、とりわけOPCWと国連が指名した要員を受け入れ、すべての化学兵器施設について支障なく立ち入りを認めることにより、両機関と全面的に協力するよう求めました。
 
-安保理決議21182013)日本語仮訳は以下をご覧ください。
 
-決議採択に関するプレスリリース(日本語)は以下をご覧ください。
 
潘基文(パン・ギムン)事務総長は、この決議を「シリアに関する久しぶりに明るいニュース」として歓迎する一方で、シリアが保有する化学兵器の廃棄が計画されているからといって「通常兵器なら自由に人を殺してもよいということにはならない」と釘を刺しました。そして、安保理に対し、その団結が取り戻されたことを踏まえ、人道状況政治危機という、同じく重大な紛争の2つの側面集中的に取り組むよう呼びかけました
 
-事務総長の安保理での発言(日本語)は以下をご覧ください。
 
930日、オーケ・セルストレム教授率いる化学兵器調査チームは、シリアで2度目の現地調査を完了しました。チームは10月末までに、最終的な報告書を提出する予定です。
 
-詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
 
一方、OPCW査察官19人と国連職員14人からなる共同先遣チーム101日、ダマスカスに到着し、シリアの化学兵器廃棄の監視プロセスに取りかかりました。先遣チームは、シリア当局から提供された情報の検証と、シリアによる化学兵器生産施設の廃棄を支援する活動の計画に注力することになっています。
 
-詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
 
安保理は102日、拘束力を持たない議長声明を採択し、シリア当局による広範な人権侵害と国際人道法違反、および、武装集団による人権侵害と国際人道法違反を非難しました。安保理はシリア政府に対し「人道援助活動の拡大に便宜を図るための措置を直ちに講じるとともに、官僚的な阻害要因その他の障害を除去する」よう強く促しました。
 
-安保理議長声明は以下をご覧ください。
 
安保理との協議を終えたヴァレリー・エイモス人道問題担当事務次長 緊急援助調整官は記者会見を開き、次のように語りました。「今後の私たちの任務は、こうした強い言葉を残虐行為や暴力の犠牲者となり続けている子ども、女性、そして男性にとって意味のある行動へと移すことにあります
 
-詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
 
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)執行委員会メンバーは101日、その年次会合で国際社会に対し、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノンおよびトルコがシリア難民の受け入れを続けられるようにするため、大規模な支援を提供するよう強く促しました。
 
アントニオ・グテーレス難民高等弁務官は、各国による難民の寛容な受け入れを歓迎する一方で、近年見られない規模の緊急事態の発生により、UNHCRの能力が限界に達していると警告しました。そして、難民の80%は現在、開発途上国が受け入れていることを指摘し、国際社会に負担を分かち合うよう訴えました
 
-詳しくは以下のステートメントおよびプレスリリースをご覧ください。
 
主な国連ニュース記事:
 
シリアで大量の避難民発生続く
ジュネーブ(2013927日) ? チャロカ・ベヤニ 国内避難民の人権に関する国連特別報告者は、国際社会に対し、シリア紛争の全当事者による目に余る国際人権・人道法違反によって避難を強いられている数百万人の窮状から目をそらさぬよう強く促しました。
 
 
シリアの「危機的状況にある文化財緊急レッドリスト」がニューヨークで発足
イリーナ・ボコバ国連教育科学文化機関(UNESCO)事務局長は925日、ハンス=マルティン・ヒンツ国際博物館会議(ICOM)委員長およびアン・リチャード米国人口・難民・移住担当国務次官補と共同で「シリアの危機的状況にある文化財緊急レッドリスト」の発足を発表しました。ICOMのレッドリストは、警察、税関その他、全世界で文化財の保護に関わるすべての職員が、特に違法な売買、取引および輸出の対象となりやすい種類の文化財を判別する手助けをすることで、その作業に便宜を図るものです。